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雨の国の王者

探偵小説好事家本人のためのノート

その43博打でもなく(2007/02/24)

2007-02-24 20:11:19 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 新聞広告の新潮社の最新刊案内に<志水辰夫>の名前を見つけて・・・。
 
 <第1回 志水辰夫S(GI) 長距離>

 ◎『背いて故郷』柏木斉騎手 講談社文庫厩舎 (志水辰夫調教師)
 ○『裂けて海峡』長尾知巳騎手 講談社文庫厩舎 (志水辰夫調教師)
 ▲『行きずりの街』波多野和郎騎手 新潮文庫厩舎 (志水辰夫調教師)
 △『尋ねて雪か』佐古田史朗騎手 徳間文庫厩舎 (志水辰夫調教師)
 ×『狼でもなく』尾関譲騎手 徳間文庫厩舎 (志水辰夫調教師)

 志水辰夫=ディック・フランシスと看破したのは、茶木則雄氏(隔月刊誌『EQ』でのこと)だったとおぼろげながら記憶する。
 その発言に、わたくしは「ああ」と思わず声をあげたにちがいない。
 志水辰夫を、読みながら、どこか懐かしいような感慨を持ちつづけていた。
 それが何か、茶木氏のことばを訊くまで、判らなかった。
 そうだ、志水=フランシスなのだ。
 裏返して云えば、わたくしがフランシス贔屓だったことを、改めて、茶木氏が教えてくれたのだ。

 ◎『背いて故郷』は、歯ごたえじゅうぶん。現代国産ハードボイドの頂点の席を要求できる作品。
 しかしながら、角がありすぎて、志水辰夫初心者には、向かないと思う。
 ○『裂けて海峡』は、志水辰夫のロマンティックな一面が、濃厚に漂う逸品。
 叙情てきすぎるところが好悪の分かれめになるだろう。
 ▲『行きずりの街』は、上記2作を、ハードボイルドと認めないひとには、格好の作品。角がとれ、大人のハードボイルドに仕上がっている。
 △『尋ねて雪か』は、人気は低いようだが、わたくしはとても贔屓にしている。
 ×『狼でもなく』も、通俗すぎる面が、低い評価の原因らしいが、そこが良いのだ。

 志水辰夫への悪口は、たいてい「男のハーレクインロマンス」という表現に要約されているように感じる。
 情感の溢れる、菊村到とは、ちがった意味の、日本てきな、それも骨太の作家だと思っているのだが。
 個人てきには、初期の作品群が、濃密で好きだけど。
 
 (じつは、志水辰夫批判を書きこもうと考えていたのだが、好きな作家なので、意が萎えてしまった。)
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その42真実(2007/02/17)

2007-02-17 20:09:36 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 やはり仁義をきって・・・。

 <思考機械>の「その9続幻の探偵小説」で、わたくしが触れた、はやみねかおる著『神隠島』についてだが、ある意味、わたくしの言葉は正確でないと思い直し、ここに訂正させていただく。
 わたくしは「・・・・・・『神隠島』は出版されていないから、読んだというひとは少ないのではないかと思う。・・・・・・」と書いた。ここまではよい。
 語弊があると思うのは、以下の部分「・・・・・・作者との約束により、中身をくわしく紹介できないのが非常に残念である。
 そして、読み終えたあとは、原稿を破棄することが本作を読むことのできる条件でもあったため・・・・・・」だ。
 じつは、この『神隠島』、云ってしまってよいと、わたくしが自己解釈で、勝手に判断するのだが、読もうと思えば、今日(2007年2月17日)時点では、読むことができる。どこでどうやってかは、インターネットで検索すれば、すぐに判るだろう。
 しかしながら、そこで読むことがかなうのは、全篇ではなく、表向きの解決篇までなのだ。
 わたくしが言葉足らずだったのは「『神隠島』の真の解決篇こそが、幻の探偵小説だった。」ということだったのだ。
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その41出さなかった手紙(2007/01/29)

2007-01-29 20:08:19 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 わたくしは、いたってふつうの素直な翻訳探偵小説好きの子どもでした。
 そんな、わたくしが、中田耕治という名前を記憶したのは、ずいぶんむかしのことで、おそらくとしか申せないのですが、たぶん、ロス・マクドナルドなどの翻訳家としてではないかと思います。
 当時、わたくしは、謎ときの翻訳探偵小説に夢中でしたから、中田耕治の名前に、それほど関心は、ございませんでした。
 それからしばらくして、中田耕治という人物に、興味がわいてきたのは、国産探偵小説を、どういうわけか、わたくしは馬鹿にしていたのですが、鮎川哲也等の探偵小説を読んで、日本も捨てたものじゃないではないかと、いままでの考えをあらためて、刊行中であった<探偵小説専門誌『幻影城』>で、国産探偵小説ベスト99に選出された『暁のデッドライン』の作者として名前を見つけてからです。
 ああ、このひとは、探偵小説も書いているのだ、と少なからず、驚きました。
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その40やっぱりバカミス(2007/01/27)

2007-01-27 20:07:14 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 急に思い出したのだが、ある意味<バカミス>の代表作といってもよいのではないか。
 それが、

 梶龍雄『蝶々、死体にとまれ』中央公論社新書(昭59)

 知るひとぞ知る、奇跡の書。
 壁に投げつけるどころか、そのような元気をも吸いとってしまうような恐るべき探偵小説なのである。
 未読の方で、疑っているひとは、騙されたと思って、ぜひ読んでみなさい。
 絶対に、騙された、と思うから。
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その39ベスト1(2006年)(2006/12/30)

2006-12-30 20:05:48 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 「標題については、どこの書評サイトでも年末に、にぎやかに発表してるみたいなので、わたくしも、吉例にしようかと、ふと思いたったのだ。
 <机上殺人現場>が、わたくしが読了した書籍だが、なかには評していない本もある。
 たとえば、雑誌やコミックスの類。あるいは、短篇集のうち気に入った数篇のみ読んだような場合。または、評するにも値しないような小説などだ。
 それをぜんぶひっくるめて、発表だ。

 では。」

 という、前口上が、本年最初のことだったけれども、今日明日で、そんなにベスト1が出るとは、なかなか思えないし、そして、この作を押しのけて、その位置に座れるとは、考えにくいので、フライングぎみではあるが、ええい、いまからが、本当のベスト1の、発表だ。

 ハウスホールド『影の監視者』筑摩書房(世界ロマン文庫14)

 以上。
 世評たがわぬ傑作。
 今年冒頭も申し上げたが、1年に一度、こういう小説が読めることができて、幸せだ。
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その38桜田忍作品リスト(2006/11/05)

2006-11-05 20:02:21 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 暇だったので、国会図書館のサイトにお世話になって、自分の書棚の書籍とつきあわせて、つくってみた。
 なお、*は<月野佳郎>登場作品。
 推測で確認していないところも、多多あるし、ずいぶんといいかげんに作成したので、活用はしないほうがよいだろうね。
 まあ、桜田忍が、いっとう好きっていうひとは、わたくしは、みたことがないから、活用なんて大胆なことをするひとがいようとは思わないけれども。

*恐喝の街 ベストセラーズ(76)→<月野佳郎探偵帖fileⅠ> 春陽文庫(83)
二重死体 日本文華社(76)→春陽文庫(85)
狼の牙 ベストセラーズ(76)→ケイブンシャ文庫(85) ※福田洋名義
殺人回路 日本文華社(77) →春陽文庫(86)
密封死体 日本文華社(77) →春陽文庫(86)
闇の逃亡者 青樹社(77) →春陽文庫(83)
欲望の三重殺 弘済出版社(77)→悪欲相続人 春陽文庫(84)
傷だらけの手錠 日本文華社(77)
*影絵の女 青樹社(78)→背徳の街<月野佳郎探偵帖fileⅡ> 春陽文庫(83)
*闇は死の色 日本文華社(78)→ケイブンシャ文庫(86) ※福田洋名義
*他殺地帯 日本文華社(79)→<月野佳郎探偵帖fileⅦ> 春陽文庫(88)※福田洋名義
背信の肌 日本文華社(80)
甘肌の誘惑 日本文華社(80)
*夜の手配師 日本文華社(80)→春陽文庫(88) ※福田洋名義
*野良犬のブルース 青樹社(81) →飢狼のブルース<月野佳郎探偵帖file?> 春陽文庫(88)※福田洋名義
恐喝のバラード 弘済出版社(81)
熱き野望に死す 日本文華社(82)
ネオン街乗取り殺人 日本文華社(83)→野望の構造 春陽文庫(84)
*殺人者を葬れ 日本文華社(83)→春陽文庫(87) ※福田洋名義

*謀殺の街<月野佳郎探偵帖fileⅢ> 春陽文庫(83)
*虚飾の街<月野佳郎探偵帖fileⅣ> 春陽文庫(83)
*華やかな荒野<月野佳郎探偵帖file?> 春陽文庫(89) ※福田洋名義
恐喝相続人 弘済出版社→春陽文庫(83)
総会屋謀殺 弘済出版社→?復讐相続人 春陽文庫(84)

(追記)
顔のない情婦 春陽文庫(89)
見つけなくてよいのに、国会図書館のサイトで上の書名を見つけてしまう。ううむ。2010.9.25

(再追記)
ううむ。駄目だ駄目だ。なっちゃいないなあ。
今度は、インターネットサイト<ケンジの推理小説図書館>さま(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/)にお世話になって、二冊ほど追加。
<ケンジの推理小説図書館>さまには、多謝。
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その37書鬼(2006/07/10)

2006-07-10 20:01:10 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 わたくしの蔵書の多くは、古書店で購えたものだ。
 その書籍のいくつかには前所有者の痕跡がみられる。
 それは、探偵小説を愛するひと、あるいは本そのものを愛するひとの残した、蔵書印だったり、線引きだったりするのだが、なかでも、わたくしのお気に入りの例を紹介する。
 すべて同一所有者からの放出品、いずれも、ハヤカワポケットミステリだ。
 
 まず、大きめ(6cm×4cm)の蔵書印。計、5箇所に押印。
裏表紙には、管理シールを貼付。
 そして、数十冊ある本のほとんど末尾には、青インクで、書き込みがある。
たとえば「昭和三十五年一月十六日讀了」(J・B・オサリヴァン『憑かれた死』)のような読了日のみの書留から、「昭和四十年一月四日讀了 シムノンの数多い作品中屈指の名作」(ジョルジュ・シムノン『死体が空から降ってくる』)といった、思わずにやりとさせられるひとことのようなものなど。
 それが、コメント氏の贔屓らしいエリック・アンブラーともなると、「相かわらず弱小諸国間の争とか、国際間の智識、バイヤーの活躍、革命等に関する機微がくわしいのでひきつけられる 昭和三十七年七月一日讀了」(『武器の道』)と力強い応援から、「38.11.30讀了 アンブラーの作品の佳作。アウト・ローの主人公を主役にしている点が彼の作としても珍しい」(『真昼の翳』)というような、いかにも読み込んでいるらしいコメントにまでにひろがる。

 旧蔵書氏は、翻訳探偵小説が、大好きだったのだろうなあ。 

 この、ていねいな字の持ち主の名は・・・・・・、謂わぬが華か。
 けだし有名な蔵書家なのだろうかしらん。
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その36世界から言葉を引けば(2006/01/09)

2006-01-09 19:59:31 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 石川喬司『世界から言葉を引けば』(河出書房新社)の表題作は、むろん、初出(SFマガジン)では読んでいない。単行本になってから、何かのSF書評でその存在を知ったのだけれども、その『・・・引けば』を、わたしは、どうかんちがいしたのか「マイナスの引く」ではなくて「辞書を引く」の意として理解していた。

 ・・・・・・そこ(夢の中の行きつけの古本屋)へ行くためにはいくつかの就眠儀式を慎重に行わなければいけない。
 そこには「予言機械製作必携」「こうすれば透明人間になれる」「未来世界史」「一週間でマスターできる動・植物との会話術」「世界女優恥部立体図鑑・フランス篇」などの本が飾り窓に置かれていて、店内には、いつも体中から埃りの匂いをさせている親爺が掘り出し物の本を用意して待っていてくれる。・・・・・・

 わたしにも、夢のなかに、行きつけの場所がある。
 いつ行けるかは、そのときになってみないと、わからないのだが、そこは日本海沖の東側に位置するらしい孤島で、名を<寺島(てらしま)>という。
 孤島にしては、ずいぶんとりっぱな町並みで、近未来都市のような街づくりなのだ。
 わたしの知り合いは<文(ぶん)>さん。
 年長で、細身の長身。おだやかな口調で話す信頼篤い人物で、おまけに島の実力者。わたしとは、ずっと以前からの仲のようだ。
 彼には、息子が二人いる。
 小学生低学年と幼稚(保育)園児ぐらいの年齢。
 
 わたくしは、訪ねるたびに、彼らとひなが一日、ゆったりとした日をおくるのだ。
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その35ベスト1(2005年)(2006/01/02)

2006-01-02 19:58:01 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 標題については、どこの書評サイトでも年末に、にぎやかに発表してるみたいなので、わたくしも、吉例にしようかと、ふと思いたったのだ。
 <机上殺人現場>が、わたくしが読了した書籍だが、なかには評していない本もある。
 たとえば、雑誌やコミックスの類。あるいは、短篇集のうち気に入った数篇のみ読んだような場合。または、評するにも値しないような小説などだ。
 それをぜんぶひっくるめて、発表だ。

 では。

 池田得太郎『家畜小屋』中央公論社

 以上。
 世評たがわぬ傑作。
 1年に一度、こういう小説が読めれば幸せだ。
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その34続続探偵小説家・石原慎太郎(2005/08/27)

2005-08-27 19:55:07 | 思考機械(旧題・探偵小説のこと)
 では、各々の作品紹介。
 『夜を探がせ』は、著者はじめての長篇探偵小説に間違いはないようだ。
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