「ガラクタは宝の山」
それが母さんの口癖だった。
母さんはリサイクル好きだ。
と言っても、もっぱら拾ってくる方専門だったけど。
どこからかガラクタを拾ってきては、それなりに使えるようにしてしまう。
新品同様とまではいかなかったけど、洋服も、テレビも、冷蔵庫も、自動車も・・・
魔法の手としか言いようがなかった。
だから、家の中のもので店から買ったものといえば、冷蔵庫の中にいつもぎっしり詰まっている特売の卵や野菜ぐらいだった。
この家自体が、買い手がつかずに取り壊される寸前だったのを、不動産屋から二束三文で買い叩いたものだ。
さらに言えば、父さんまでがリサイクル品だったのかもしれない。
母さんに拾われていなければ、二度目の妻にも捨てられた父さんは今も道端で飲んだくれていたかもしれない。
そんな父さんをまで例の魔法で小奇麗に仕立て直し、母さんは器用に使いこなしている。
「世の中にはね、要らない物なんて一つもないのよ」
なるほどそうかも知れない。
でなければ、死んだ後の自分の目や心臓まで、人にくれてやろうとは思わないだろう。
とことん使い倒すこと、跡形もなくなるくらい。
それが母さんにとっての愛情表現なのかも知れない。
今では僕も妹も、そう考えることして、ぐれたりすねたりするのは止めにした。
たとえ、母さんや父さんと血のつながりはなくっても。
幼いときに二人して、とある養護施設からもらわれてきたものだったとしても。
そう。
母さんご自慢のリサイクル一家。
それが僕たちだ。
それが母さんの口癖だった。
母さんはリサイクル好きだ。
と言っても、もっぱら拾ってくる方専門だったけど。
どこからかガラクタを拾ってきては、それなりに使えるようにしてしまう。
新品同様とまではいかなかったけど、洋服も、テレビも、冷蔵庫も、自動車も・・・
魔法の手としか言いようがなかった。
だから、家の中のもので店から買ったものといえば、冷蔵庫の中にいつもぎっしり詰まっている特売の卵や野菜ぐらいだった。
この家自体が、買い手がつかずに取り壊される寸前だったのを、不動産屋から二束三文で買い叩いたものだ。
さらに言えば、父さんまでがリサイクル品だったのかもしれない。
母さんに拾われていなければ、二度目の妻にも捨てられた父さんは今も道端で飲んだくれていたかもしれない。
そんな父さんをまで例の魔法で小奇麗に仕立て直し、母さんは器用に使いこなしている。
「世の中にはね、要らない物なんて一つもないのよ」
なるほどそうかも知れない。
でなければ、死んだ後の自分の目や心臓まで、人にくれてやろうとは思わないだろう。
とことん使い倒すこと、跡形もなくなるくらい。
それが母さんにとっての愛情表現なのかも知れない。
今では僕も妹も、そう考えることして、ぐれたりすねたりするのは止めにした。
たとえ、母さんや父さんと血のつながりはなくっても。
幼いときに二人して、とある養護施設からもらわれてきたものだったとしても。
そう。
母さんご自慢のリサイクル一家。
それが僕たちだ。