イスラエルの人々は、ガザへの検問所が新しく解放され。ガザへの人道的支援物資は運びこまれているのだが、国連が怠慢で、搬入荷物の引き取りもせずに放置し、パレスチナ人は物資輸送トラックを襲撃し自分で首を絞めている、というイスラエル軍の報道を信用しているのだろう。イスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)というものを軍の中に組織して「人道的な占領政策」をイスラエル政府は実施している、と宣伝している。なにしろ、中東で唯一の民主主義国だから、と信じて疑わないのだろう。
バイデン政権はガザに最低一日あたり350台のトラック搬入をイスラエルに要求した。だが、現実はこの一か月、一日平均わずか40台だと国連は報告した。しかもガザ北部にはこの一か月ほとんど搬入されていない。アメリカが計算したガザで人々が生きていくために必要な物資のわずか一割しか搬入されていいないのだ。この飢餓地獄をイスラエルの人々は、アメリカの人々はどのように考えて自分を納得させているのだろうか。いや。日本の人々は、どう自分を納得させているのだろうか。国連の支援と援助はイスラエルによって、阻まれている。世界中から集められたガザへの支援はガザへ届かないのだ。
ガザに家族を持ち、福岡市で闘病生活を送っているひとりの日本人女性は、かろうじて残されているガザ家族への送金を利用して、今支援を必要としているガザの人々への支援に取り組もうとしている。小さな試みだが、国連や赤十字の活動がイスラエルによって制限阻止されている現状では、大切な試みだと思う。何としても支えていきたい。
◆◆11/13記事◆◆
◆11/13(水) イスラエル、ガザへの支援物資増の米要求を満たさず 国連現地機関が指摘(BC News)
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は12日、アメリカがイスラエルに求めたガザへの支援物資の搬入の増加を、期限までにイスラエルが実行しなかったとした。ブリンケン国務長官はイスラエルに対して11月12日までに、毎日最低350台のトラックがガザに入るのを許可するよう求めていた。イスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)は12日朝、新たにキスフィム検問所を開放した。国連によると、ガザに運び込まれる支援物資の量は最低で、過去1カ月ガザ北部に物資がほとんど搬入されておらず、飢餓の恐れが迫っている。過去1カ月間にガザに入ったトラックの台数は、1日平均40台強(国連人道問題調整事務所OCHA)イスラエルは、ガザへの支援物資の量を大幅に増やしたと主張し、OCHAのデータは不正確で、物資は搬入したが配布されず、境界のガザ側には、支援物資の荷物が何百ケースも滞留し、引き取りを待っており、支援物資を運ぶトラックの一部は、武装した人々に略奪されている。国連は支援物資の安全で円滑な運搬は、占領しているイスラエルが責任をもつべきだ。イスラエルの軍事行動で支援物資の配布はできない。ガザでの死や破壊の多くは、アメリカ製の武器によって引き起こされてきた。バイデン米大統領の任期が残り少なくなり、武器の供給を打ち切ることはない。
◆11/13(水) 新たな“イスラエル人人質”の映像 ハマスと連帯する武装勢力が公開 「食料など不足」(テレビ朝日) )
イスラム聖戦が13日、人質のロシア系イスラエル人、アレクサンドル・トルファノフさん(28)が「食べ物、飲み物、電気が不足している。石鹸やシャンプーなど必需品も減り、皮膚病になった。我々を解放するはずの軍事作戦のために私の命は危険にさらされている」と訴える映像を公開した。トルファノフさんは去年10月にガザ近くのキブツから母親らとともに連れ去られ、母親らは去年11月に解放された。人質家族らの団体は「この映像は人質返還の緊急性を浮き彫りにしている。冬が近付くなか、1年以上も恐ろしい状況にさらされてきた人質らは命を失うリスクが高まっている」として、一刻も早い救出を訴えた。
◆11/13(水) ネタニヤフ首相、イランの再報復攻撃を牽制 「3500億円無駄に」(朝日新聞デジタル)
ネタニヤフ首相は12日、イランの10月1日の約200発の弾道ミサイルの攻撃に23億ドル(約3500億円)を費やし、わずかな被害を与えただけで、新たな攻撃は、イラン経済をまひさせるだけで、テヘランの暴君たちが、あなたの家族を危険にさらそうとしているとした。
◆11/13(水) イスラエル国防相「レバノン停戦ない」 ヒズボラに「全力攻撃」続行(朝日新聞デ「ジタル)
カッツ国防相はヒズボラを武装解除し、国連安保理が緩衝地帯と定めた地域の北端にあたるリタニ川の北側に追いやるまでは、いかなる取り決めにも合意しないとした。
スラエルは空爆をガザ中部に再度、拡大した。ガザ北部の「包囲・食料遮断による飢餓・閉じ込めての空爆・砲撃・病院閉鎖」などの虐殺攻撃は現在も続いている。イスラエルはガザ北部からパレスチナ人を追放・殲滅し、入植地拡大=併合の意図を隠していない。このやり方をガザ全土に拡大しようとしているのではないか。ジェノサイドも民浄化も強化されている。ガザ北部の三つしかない病院も機能停止だ。
イスラエル軍による食料支援物資の搬入阻止に、国連さえも飢餓の可能性を訴えている。可能性ではない。飢餓はすでに現実になっている。
米国はこの現状のどこを指して、人道状況が改善したなどと言うのか。バイデン政権のガザ政策を批判し、支持を拒否した民主党パレスチナ人国会議員の決断も踏みにじられている。米国がイスラエルへの軍事費支援を凍結するという一言で停戦は成立する。バイデンも、ハリスもトランプも同じ穴の狢だ。
サウジ皇太子がイスラエルのジェノサイドに抗議した。しかし、抗議の声は遠い昔に、ガザ攻撃が始まった時に、いやそれ以前に上げるべきであった。今、サウジアラビアに問われているのは、直ちに停戦で合意しなければ、原油輸出をストップする決断ではないのか。少なくとも日本は本気で停戦に走り回らなければならなくなる。ガザの人々に、パレスチナの人々に、「兄弟」と呼び掛けるのであれば、行動こそその証ではないのか。
イスラエルのセブン・アイの全店が閉店した。BDS運動の成果だと言える。これに満足してはいけない。ガザの人々が私たちに求めているのは、ガザへの注目と関心であり、即時の停戦の実現だと思う。復興のプランや、イスラエルと繋がる企業への抗議は、停戦が成立した後でも遅くはない。今は、直ちに、すぐ停戦を求める国際的な声と行動だと思う。
」
◆◆11/12記事◆◆
◆11/12(火) イスラエル、ガザ中央部と南部で攻撃強化 37人死亡(ロイター)
11日、10日夜以降の軍の空爆でハンユニス近郊などで37人が死亡。中部では、軍の戦車がヌセイラト難民キャンプに進攻、発砲、住民や避難民にパニックが広がった。
◆1/12(火) ガザ紛争死者の7割が女性・子ども、国連が報告書 最年少は生後1日の男児(ロイター)
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は8日、3カ所の情報源で確認した紛争勃発から9月初旬までの死者は8119人、パレスチナ保健当局の死者数4万超よりはるかに少ないが、70%近くが女性と子どもとの見方は一致している。民間人への広範囲・組織的な攻撃は『人道に対する罪』で、国家・民族・人種・宗教的グループに対する意図的な破壊的行為は、ジェノサイドに該当する。一度に5人以上死亡する事例が88%を占めるのは、軍が広範囲に被害をもたらす武器を使用しているため。死者のうち、最年少は生後1日の男児、最高齢は97歳の女性、子どもは全体の44%で、年齢別では5─9歳が最も多く、次いで10─14歳、4歳以下と続いた。イスラエルの在ジュネーブ国際機関政府代表部は報告書の内容を否定した。
◆11/12(火) ハマス、イスラエルの「虐殺」阻止要請 アラブ・イスラム諸国、サウジで首脳会議(時事通信)
アラブ連盟とイスラム協力機構(OIC)が11日、リヤドで合同首脳会議を開催し、ハマスは、エルサレム首都のパレスチナ国家の樹立に向け、アラブやイスラム諸国に対し、「イスラエルの攻撃やジェノサイドを終わらせる実効的な解決策」を要請した。合同首脳会議は共同声明で、「地域の平和は、すべてのアラブの土地に対するイスラエルの占領を終わらせなければ達成されない」と強調。占領地からのイスラエル撤退を要求した。
サウジのムハンマド皇太子は「破滅的な人道状況を克服するため、パレスチナやレバノンの兄弟たちを支援する」と表明した。
イスラエルのサール外相は11日、パレスチナ国家樹立は「ハマスの国家」になると否定した。レバノンでは11日、軍が北部地域を空爆。16人が死亡した。カッツ国防相は12日、「戦争の目的が達成されるまでヒズボラを攻撃し」「独自にテロを防ぐ権利が保障されなければ、合意案にも同意しない」と述べた。
◆11/12(火) イスラエルのパレスチナ人攻撃は「虐殺」、サウジ皇太子が非難(ロイター)
サウジアラビアのムハンマド皇太子は11日、アラブ・イスラム諸国臨時首脳会議で、イスラエルのパレスチナ人に対する行為を「虐殺」で断固として拒絶すると述べ、イスラエルによるイランへの攻撃を阻止し、イランの主権を尊重するよう国際社会に求めた。皇太子は9月にパレスチナ国家が樹立されない限りサウジはイスラエルを承認しないと述べている。首脳会議声明は、イスラエルの国連総会での加盟国としての資格を凍結する動きに触れ、加盟国の資格凍結は安全保障理事会の管轄外で、総会で決定できる。
◆11/12(火) 米国の要求「ほぼ満たす」 ガザ人道状況改善の期限迫る イスラエル(時事通信)
ザでの人道状況改善の期限が迫る中、イスラエルは11日、安全保障に関連する項目では、米側と依然協議中だが要求をほぼ満たしたとした。米国の要求事項の一つだったイスラエルとガザ中部を結ぶキスフィム検問所の開放を実施したと表明した。一方、ハマスがガザで商業活動を掌握しているとして、1日50〜100台の商業トラックの通過は認められないと回答した。支援物資をガザ北部から南部に輸送する車列の積み荷から弾薬を発見し、関係者を拘束し、尋問のため治安部隊に移送した。
◆11/12(火) 極右派のイスラエル財務相、ヨルダン側西岸の主権拡大に向けた作業指示(ロイター)
ヨルダン側西岸の入植活動で国防省監督の権限をもつスモトリッチ財務相は11日、ヨルダン側西岸の主権拡大に必要なインフラ整備に向けた「専門的・包括的な事務作業の開始」を指示し、トランプ次期政権の支持が得られるよう、働きかけを求めた。
サール外相は、主権拡大問題で政府の立場は確定していないが、トランプ次期政権と協議するとした。アッバス議長は、この発言はヨルダン川西岸を国際法に違反し併合する意図だと反発。全責任を負うのはイスラエル側で、支援し続けた米国にも責任があると非難した。
◆11/12(火) 米国防総省「シリア内のイラン連携標的9カ所を攻撃」(中央日報日本語版)
米中部司令部は11日、シリア内の9つの目標物を空爆した。イスラエルはここ数年間、シリア内でイランに同調する武装団体と兵器倉庫、車両、民兵隊本部を空襲、軍はこの作戦を認めていない。米国は、イスラム国ISの再建と勢力拡張阻止のため、シリアに900人の軍人を駐留させている。
◆11/12(火) セブン&アイ、イスラエルで閉店 全8店舗、日系企業で初(共同通信)
セブン&アイ・ホールディングスがイスラエルで展開するコンビニ全8店舗を、戦闘で事業を継続のリスクが高いと7月末までに閉店した。昨年10月以降、イスラエルからの日系企業の大規模な閉店や撤退は初めて。セブンは昨年1月、テルアビブにセブン—イレブンの1号店を出店。5、6年で全土に広げる計画だった。シャーベット状の飲料「スラーピー」やユダヤ教の戒律に沿った食品などを販売していた。現地の日本人社員は全員退避した。セブンは今年8月末時点で韓国や米国、中国など19カ国で、約8万4千店を展開。イスラエルに進出していたのはセブンのみ。今後は2030年までに30カ国・地域で計10万店に引き上げる計画で、欧州や南米、中東、アフリカを中心に拡大する方針を掲げている。
激しい空爆画ガザ北部で続いている。中部ヌセイラト難民キャンプに戦車が侵入し砲撃している。ジャバリアの病院からすぐ隣のガザ市の病院への患者の移送が、国際赤十字が介在しても検問所で足止めされ、患者一人が死亡したという。また、世界保健機構はガザ北部で飢餓が差し迫っていると発表した。
国際赤十字も世界保健機構もガザの現場で活動されている人々には本当に頭が下がる。かれらの現場での死闘に比べ、国際機関の声明の無力さは言いようがない。飢餓がわかっていながら、それに有効な支援や援助ができない国際人道機関とは何だろうか。国際法や人道法を順守しない国への有効な手段はないのだろうか。絵空事と笑われるかもしれないが、国連本部や国際機関の事務所を、ガザに移転させる気概はないのだろうか。人道避難地域のテントのなかでもいい。グテーレス事務総長の執務室を避難テントに移設してはどうか。
イスラエルの国際法違反を批判し、軍関係者と思われるイスラエル人の宿泊を拒否したホテルの支配人が解雇された。私の知人は、昨年、イスラエルの攻撃とそれを自分が勤務するマクドナルドが支援することを受け入れられず、マクドナルドを退社している。気概で問題が解決するものではないが、問われているのは私たちだと思う。