未来を拾いに

aikoのことしか頭にないひとのブログ

最後のストライク

2006-06-01 05:01:08 | 雑記

若くして病に倒れたカープの名ストッパー、津田恒実投手の奥さんが書かれた闘病記です。一度ドラマ化され、広島地区での最大視聴率は46.7%、平均視聴率は36.1%という数字を記録したそうです。 

「笑顔と闘志を忘れないために」。市民球場のブルペンには、この言葉を刻んだ「津田プレート」があります。カープのピッチャーは、ブルペンでの投球練習を終えて勝負のマウンドへ向かう際、そのプレートを触って出ていくのだとか。 

「弱気は最大の敵」。津田投手の座右の銘です。その言葉通り、キレのある速球で常に真っ向から勝負を挑む、記憶に残るピッチャーでした。 

この本には、家族や友人に見守られながら復活に向けて必死に努力されていた様子や、彼の人柄が偲ばれる様々なエピソードが奥さんの視点から克明に描かれています。 

私が津田投手の死の報に接したのはその日のオールスターの中継開始直後、アナウンサーの言葉からでした。でも、突然の登録抹消と引退からその時まで、そのように病気と闘っていたんだ、ということはこの本で初めて知りました。 

津田投手は、脳の病気でした。大事な思い出や大切な人の記憶、言葉やコミニュケーションの方法が失われていく中、本人と奥さんの恐怖や苦悩は筆舌に尽くしがたいものがあったと思います。2人の心の絆には、本当に胸を打たれます。 

最後のくだりで、タイトルである「最後のストライク」の意味が綴られています。その意味は、読んで確かめてください。 

これまで数え切れないくらいの本を読んできましたが、「電車で読んでたら涙が止まらなくなって困った」というような経験をした本はこれしかありません。何度読み返しても、涙なしには読めない本です。 

全てのカープファンは勿論のこと、津田投手や野球をご存じない方にもおすすめしたい一冊です。