「70歳以上には気管挿管処置(人工呼吸器で治療すること、いわゆる重症治療)はしない。」という選択を今の状況ですることは、正しく戦う努力もせずに白旗を上げることで、信じられない思いです。命を大切にするのではなく、現状の権力構造が変更されないことを優先して大切にしているのですから。
「コロナで大変ですね。お忙しいでしょう。」と医療業界へ声をかけられることもありますが、日常診療の中で、実際にコロナ対応で忙しいのは、現場に駆り出されいる一部のスタッフです。基本的にそれ以外のスタッフは、診療控えがあったり、病院が面会制限をしたり(家族対応への時間が少なくなります)、事務作業を簡略化したりすることで、これまでより時間に余裕が生まれていることが多いと思います。コロナだから大変、という医療スタッフは限られているはずです。
例えば、私の知っている市民病院は、仕事がないから今のうちに有給を取りなさい、と言って、医師を14時に帰らせていたのを知っています。昨年のコロナ禍の時です。コロナの入院をごく少数しか受けず、その上でしかも内科の医師まで14時に帰しているということを知って、かなり驚きました。すごい(逆の意味です)病院だな、よくそんなことができるな、というのがそれを聞いた時の正直な気持ちでした。やれることを尽くしていたらいいのですが、そうではないのが(ずっと職員数の少ないわたしたちの病院に、コロナ病床の増床が保健所から要請されてきていたのですから)わかっていたのでそう思えたのだと思います。
このコロナ禍に上手に職員の労働時間を管理しましたね、って褒める役人とかがいるのだろう、と推測もでき、責められるどころか褒められてるんだろうな、と少し虚無的な気持ちにもなりました。
その市民病院は、私が見るところ、流石に今は14時帰ることはしていないと思いたいですが、コロナ対応は今でも同じような調子です。そうした病院では、実際にコロナ対応を任されているスタッフへの協力も推して知るべしです。おそらく、院内の協力が得られない中、ごく一部の心ある医師やスタッフが、青色吐息で対応していることと思います。そして、その人たちの苦しい思いや、現実に即した声は、ごろつき上層部に手柄だけ持っていかれて、声は消されます。
実際は、こんな市民病院は少ないと思います。すごく苦労している市民病院が多いと思います。このことで私が言いたいことは、そんな中でも、下衆な上層部が生まれてしまうと、こんな病院が成り立ってしまう、ということです。その一例です。そして、その極まったところが今の大学病院だと思うのです。
続けたいと思っています。
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