フーコーのビオ・ポリティック

Michel Foucault)(1926.10.15~1984.6.25)

検察審査会(けんさつしんさかい)とは、検察官が独占する起訴の権限(公訴権)

2010-07-18 11:16:35 | 日記
検察審査会(けんさつしんさかい)とは、検察官が独占する起訴の権限(公訴権)の行使に民意を反映させ、また不当な不起訴処分を抑制するために、地方裁判所またはその支部の所在地に設置される、無作為に選出された国民(公職選挙法上における有権者)11人によって構成される機関。

検察審査会法(昭和23年7月12日法律第147号)に基づき設置されている。

目次 [非表示]
1 概要
2 検察審査員
2.1 選出
2.2 除外
2.3 免除
2.4 責務
3 審査
3.1 申立
3.2 審議
3.3 決議
3.4 再捜査
3.5 拘束力
4 審査された事件
5 一覧
6 テーマにした作品
7 脚注
8 関連項目
9 外部リンク


概要 [編集]
全国の地方裁判所と地方裁判所支部がある場所に149か所165会設置されている。

検察審査会法第2条により「検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項」や「検察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項」を扱う機関とされている。

日本においては、事件について裁判所へ公訴を提起(起訴)する権限は、原則として検察官が独占している(起訴独占主義)。したがって、犯罪被害者等が特定の事件について、告訴を行うなど裁判がなされることを希望しても、検察官の判断により、不起訴・起訴猶予処分等になり公訴が提起されないことがある。

このような場合に、検察官の不起訴判断を不服とする者の求めに応じ、判断の妥当性を審査するのが、検察審査会の役割である。これは、アメリカの大陪審制度を参考にしたものである。

検察審査会の議決は、検察官の恣意的な判断によって、被疑者が免罪され、犯罪被害者が泣き寝入りする事態を防ぐという役割を有する。

検察審査員 [編集]
選出 [編集]
司法に一般国民の常識を反映させるという目的で、検察審査会法第4条により、各検察審査会管轄地域の衆議院議員の選挙権を有する国民の中から、くじで無作為に選ばれた11名で構成される。任期は6か月で、そのうち半数が3か月ごとに改選される。審査員が欠けた場合に備えて、補充員がいる。

除外 [編集]
検察審査会法第5条・第6条により以下の者からは選出できないとされている。

学校教育法に定める義務教育を終了しない者、1年以上の懲役または禁錮以上の刑に処せられた者
天皇・皇后・太皇太后、皇太后・皇嗣・国務大臣・裁判官・検察官・会計検査院検査官・裁判所常勤職員・法務省常勤職員・国家公安委員会委員・都道府県公安委員会委員・警察職員・司法警察職員・自衛官・都道府県知事・市町村長・弁護士・弁理士・公証人・司法書士
免除 [編集]
検察審査会法第8条により以下の者から免除出来るとされている。

70歳以上・国会議員(会期中のみ)・地方議会議員(会期中のみ)・国家公務員・地方公共団体職員・教員・学生・過去5年以内に検察審査員又は補充員・過去5年以内に裁判員又は補充裁判員・ 過去3年以内に選任予定裁判員・過去1年以内に裁判員候補者として出頭したことがある者・重病者・海外旅行中等

責務 [編集]
検察審査会法第43条・第44条により、検察審査会を正当な理由なく欠席することは禁止され、守秘義務を負い、審査された事件から得られた情報を、他に漏らすことは終生禁止されている。これらについては、招集に応じないとき等は10万円以下の過料、職務上の秘密を漏洩した場合は6年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す旨の罰則規定がある。

審査 [編集]
この節は現在進行中の事象を扱っています。記事の内容は最新の情報を反映していない可能性があります。

申立 [編集]
検察審査会法第2条2項、30条により審査申立は、告訴者、告発者、事件についての請求をした者、犯罪被害者(被害者が死亡した場合においては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)が出来るとされている。

審議 [編集]
検察審査会は、不服申立に応じて、審査会議を行う。審査においては、審査会の求めにより、不起訴とした検察官に、必要な資料の提出と、出席をして不起訴とした理由の説明をさせることができる(35条)。また、公務所又は公私の団体に対する照会(36条)、審査申立人及び証人の尋問(37条)、専門家から助言の聴取(38条)ができる。

決議 [編集]
検察審査会法第39条により、検察審査会は、審査の後以下の3つの議決を行うことが出来るとされている。

起訴を相当と認める時は「起訴を相当とする議決」(起訴相当)
公訴を提起しない処分を不当と認める時は「公訴を提起しない処分を不当とする議決」(不起訴不当)
公訴を提起しない処分を相当と認める時は「公訴を提起しない処分を相当とする議決」(不起訴相当)
検察審査会法第27条により、議決は過半数(6人以上)で決するとされているが、「起訴相当」とする議決には、同第39条の5により8人以上(3分の2以上)の多数によらなければならないとされている。

2009年5月以降は「不起訴相当」とした事件については、検察官が不起訴処分をした場合は手続が終了する。一方、「不起訴不当」と「起訴相当」の議決がなされた事件については、検察審査会法第41条により、検察官は、再度捜査を行い、起訴するかどうか検討しなければならない。2009年5月以降は「不起訴不当」の議決した事件については、検察審査会法第41条8項により、検察官が不起訴処分とした場合は検察審査会に再び不服申立をすることができない(2009年5月以前は「不起訴相当」とした事件で不起訴処分となった場合でも、検察審査会に再び不服申立をすることができた)。

再捜査 [編集]
「起訴相当」と議決した事件については、再度捜査をした検察官から、再び不起訴とした旨の通知を受けた時(3ヶ月以内(検察官が延長を要するとして期間を延長した場合は指定した期間)に検察官からの対応の通知がない場合も含む)は、検察審査会は、再び審査を実施する(41条の2)。この際、専門家として弁護士を審査補助員に委嘱して、審査を行なわなければならない(41条の4)。再び「起訴相当」と判断をした場合は、検察官に検察審査会議に出席して意見を述べる機会を与えたうえで、今度は8人以上の多数で「起訴をすべき議決」(起訴議決)がされる(41条の6)。この場合は、裁判所が指定した指定弁護士が、被疑者死亡や公訴時効等の事由がある場合を除いて、公訴を提起し、公判が開かれることになる(41条の9、41条の10)。

拘束力 [編集]
2009年5月20日以前は、検察審査会が行った議決に拘束力はなく、審査された事件を起訴するかの判断は検察官に委ねられるため、「不起訴不当」や「起訴相当」と議決された事件であっても、結局は起訴されない場合も少なくなかった(ここ数年でも起訴される確率は2-3割[1])。しかし、司法制度改革の一環として、検察審査会法が改正されたため(刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成16年法律第62号)第3条)、この起訴議決制度が、2009年5月21日から導入され、議決に拘束力が生じるようになった(2009年5月21日に施行)[2]。2010年1月27日には、明石花火大会歩道橋事故について、初の起訴議決がなされ、明石警察署の元副署長が強制的に起訴されることとなった[3]。

審査された事件 [編集]
「不起訴不当」、「起訴相当」議決がされた後で起訴された事件は2002年末までに1100件あり、なかには懲役10年が下された例もある。また、甲山事件のように、一度不起訴になった後、検察審査会の不起訴不当議決をうけ検察が起訴したが、最終的には冤罪となった例もある。


議決後に起訴された事件で無罪となった例
1974年:甲山事件(確定)
1988年:岡山サーキット場放火事件(確定)
2002年:徳島市高校生交通死亡事故(確定)
健保組合横領事件

「不起訴不当」または「起訴相当」議決が3回以上なされた例
岡山市短大生交通死亡事故(3回「不起訴不当」)

起訴議決がなされた例
明石花火大会歩道橋事故(3回「起訴相当」議決の後「起訴議決」)
JR福知山線脱線事故

ある刑事事件が冤罪であると暗に指摘した検察審査会の議決の例
徳島ラジオ商殺人事件(証人による偽証罪の審査)
丸正事件(被害者親族による殺人罪の審査)
高知白バイ衝突死事故(警察による証拠隠滅罪の審査)
一覧 [編集]
北海道:札幌、岩見沢、室蘭、小樽、函館、旭川、釧路、帯広、北見
青森県:青森、弘前、八戸
岩手県:盛岡、二戸、一関
宮城県:仙台、古川
秋田県:秋田、能代、大館、大曲
山形県:山形、米沢、鶴岡、酒田
福島県:福島、郡山、会津若松、いわき
茨城県:水戸、土浦、下妻
栃木県:宇都宮、大田原、栃木、足利
群馬県:前橋、太田、高崎
埼玉県:さいたま第一、さいたま第二、川越、熊谷
千葉県:千葉第一、千葉第二、松戸、木更津、八日市場
東京都:東京第一、東京第二、東京第三、東京第四、東京第五、東京第六、立川
神奈川県:横浜第一、横浜第二、横浜第三、横須賀、小田原
新潟県:新潟、新発田、長岡、高田、佐渡
富山県:富山、高岡
石川県:金沢、七尾
福井県:福井
山梨県:甲府
長野県:長野、上田、松本、飯田
静岡県:静岡、沼津、浜松
愛知県:名古屋第一、名古屋第二、一宮、半田、岡崎、豊橋
岐阜県:岐阜、大垣、多治見
三重県:津、伊賀、四日市、伊勢
滋賀県:大津、彦根、長浜
奈良県:奈良、葛城
和歌山県:和歌山、田辺
京都府:京都第一、京都第二、宮津、舞鶴
大阪府:大阪第一、大阪第二、大阪第三、大阪第四、堺、岸和田
兵庫県:神戸第一、神戸第二、伊丹、姫路、豊岡
岡山県:岡山、倉敷、津山
広島県:広島第一、広島第二、呉、尾道、福山、三次
山口県:山口、周南、萩、岩国、下関
鳥取県:鳥取、米子
島根県:松江、西郷
徳島県:徳島、美馬
香川県:高松、丸亀
愛媛県:松山、大洲、西条、今治、宇和島
高知県:高知
福岡県:福岡第一、福岡第二、飯塚、久留米、柳川、小倉
佐賀県:佐賀
長崎県:長崎、佐世保、五島、厳原
熊本県:熊本、八代
大分県:大分、中津
宮崎県:宮崎、都城、延岡
鹿児島県:鹿児島、名瀬、鹿屋
沖縄県:那覇、平良、石垣
テーマにした作品 [編集]
「検察者」 - 小杉健治の小説。
「検察審査会の午後」 - 佐野洋の小説。
「事件・市民の判決」 - 1996年にテレビ東京で放送された、上記が原作のテレビドラマ。
近鉄金曜劇場「正塚の婆さん」 - 1963年にTBSで放送されたテレビドラマ。
月曜ミステリー劇場「検察審査会 (テレビドラマ)」 - 2005年にTBSで放送されたサスペンスドラマ。
脚注 [編集]
^ 平成19年度犯罪白書「起訴相当・不起訴不当議決事件の原不起訴理由別事後措置」
^ “検察審査会「起訴相当」2回で起訴へ 議決に法的拘束力”. 朝日新聞. (2009-05-19). http://www.asahi.com/national/update/0519/TKY200905180395.html
^ “検察審査会、初の起訴議決=元副署長、刑事裁判に-明石歩道橋事故”. 時事通信社. (2010-01-27). http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2010012700848 2010年1月28日 閲覧。
関連項目 [編集]
検察官適格審査会
検察審査会法
裁判員制度(民意を司法制度の反映させる目的、正当な理由なく辞退できない点、守秘義務を負う点で類似)
司法のあり方を検証・提言する議員連盟
外部リンク [編集]
検察審査会 - 裁判所公式サイト
検察審査員の職務・義務・旅費日当等
審査補助員制度
検察審査会による起訴議決制度のイメージ
検察審査会法 - e-Gov 法令データ提供システム
司法制度改革推進本部 - 首相官邸
「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%9C%E5%AF%9F%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E4%BC%9A」より作成