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御恩と奉公 ~誰(何)に対する奉公だったのか~

2010-08-15 23:28:53 | Weblog

御恩と奉公の簡単な仕組みは子どもたちに理解されやすい。
しかし、より記憶を強化するために討論を行う。


討論を行うと、子どもは自ら情報を整理し、それらを
組み立て直すため、エピソードとして頭に残りやすい。

鎌倉時代の討論の材料として次の発問を提案する。


【「奉公」は誰のために行ったのか】

私のクラスでは次の3つに意見が分かれた。

・ 執権のため
・ 鎌倉幕府のため
・ 頼朝のため

さて、先生方はどの意見に賛成だろうか。

【執権のため】
・ 源氏は3代で途絶え、その後は執権の北条氏が
 鎌倉幕府の実権を握っているから。

・ 頼朝自身も北条氏の助けがあったからこそ将軍に
 なることができたから。

・ 北条氏は自分たちが実権を握ることを見通していた
 から、源氏を助けたのではないか。

・ 元寇のときには北条氏のために戦っている。
  北条氏のために奉公したのではないか。

 

【鎌倉幕府のため】
・ 教科書に「幕府のために戦いました」と書いてあるから。

・ 教科書の~に「頼朝と武士たちのこのような関係を」と
 書いてあるので、頼朝だけに限らないと考えます。

・ 頼朝だけだと、頼朝が死んだあとで成立しなくなる。

・ 執権だけだと、頼朝など源氏が将軍の時には成立しなくなる。

 

【頼朝のため】
・ 頼朝が平氏を滅ぼしていないと鎌倉幕府は存在しないから

・ 領地を頼朝からもらっていたから

・ 教科書に「このような頼朝の御恩に対し」と書いてあるから。

・ 御恩を上げたのは頼朝だから、御恩に対しての方向なので
 頼朝だと考える。

・ 資料集に「最後まで頼朝に仕えた」と書いてあるので。

・ 頼朝のためにというのは死んだあとでもずっと続いていた
 のではないか。北条政子の言葉の中に「頼朝様のため」という
 内容が書いてあるし、武士たちは、それに従っている。

 

私は【幕府のため】だと考えている。

1 元寇のおり、武士たちは幕府からの御恩を求めている。

2 他の例を考えてみると「天皇のため」は初代天皇のためとは限らない。

3 子どもの意見にも納得である。

などの理由から【幕府のため】だと考える。


面白い内容の討論となった。
授業の最後に意見を書かせて本時は終了する。


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