辛口KOJIの 「キリリ」 といこう!!

HIV陽性者の家族と友人の会1st.geocities.yahoo.co.jp/gl/base_kobe

続・HIVはゲイの病気です

2006年12月30日 | エイズの活動
今年も色々なエイズ相談を受けました。人それぞれに悩むけれど、内容も人それぞれ。

そんな中で、「HIVは、ゲイの病気です」という気になるコピーを掲載しました。もっぱら、現在では、ウイルスも特定できていますし、検査方法も確立できていますから、主にコンドームを使用しない性行為をすれば、誰にでも感染がの機会があります。

しかし、現在の日本は、HIV感染の第一波の段階にあり、この段階では、どうしても様々な脆弱性を持つ人たちの間に広がります。特に、男性同性愛者には、深刻で、ますます拡大しています。もちろん、前向きに評価すれば、啓発活動が浸透し、受検者数が多いからでもあるでしょう。

問題のあのコピーは、ロスのゲイ&レズビアンセンターが作成したものです。どんな思いで作成したのかと思うと胸が痛みます。

さて、話を戻すと、相談を受ける中で、HIVに感染された方やその近しい人たちの中に、ホモフォビア(男性同性愛者に対する嫌悪)がある人がいらっしゃって、そんな方は、「HIVは、ゲイの病気です」というコピーは、受け入れられないのでしょう。ゲイだと思われたら困る。「自分は、ゲイではない!!」と叫びたくなるという訳です。

『自分が、ゲイに偏見があるから、他人も同じように、自分がHIVに感染したら偏見を持つだろう。いや、社会から疎外される!』という図式ですね。つまり、HIVだけのはずが、日頃のゲイ嫌いによって、更に問題を複雑化させてしまうということです。自分で自分を追い詰めることになります。

やはりエイズは、本当に難しい。あのコピーに苦い思いをするのは、ゲイの仲間だけではなく、実は、ヘテロセクシュアルの方も多いということです。

ゲイの中のゲイフォビアもあります。ゲイを受け入れることなく生活している多くのクローゼットの人たち。(もちろん皆さんの選択も尊重します)

そんな人たちが、HIVに感染すると、ゲイフォビアが、自分自身に向かってしまう。これをフェルト・スディグマといいます。

日本社会の中に、現存する差別・偏見を見事なまでにあぶり出しながら、感染拡大を続けるHIV。

単なる予防に偏重した啓発活動は、色々な場面で、色々な人たちの心を疎外しています。

昨日、ある女性のピアエデュケーションをされている学生さんから、メールを頂きました。「親友がHIVに感染して、始めて、繁内さんの言っていることがわかったような気がします」という内容でした。

ピアエディケーションに関わっておられる皆さん、よく考えて下さい。特にご指導をされていらっしゃる先生、行政のご担当の皆さん、エイズ対策の基本は、「HIV陽性者を励ますこと。図らずも弱い立場にいる人たちを励ますこと」です。

みなさんの活動は、予防ありきになっていませんか?

計らずもHIVを増加させる活動になっていませんか?

今年も大詰めになりました。ぜひ、顧みてご検証をお願いします。




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