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大同マルタOB会

卒業生が何でも話せる広場にしたい。

オランダから見た大同染工 -2-

2017-11-02 16:53:19 | 技術
2017年11月02日 | 技術
       オランダから見た大同染工 ーⅡ-
  彫 刻
「スクリーン彫刻は自社内で行われていなかった。型の作成は京都の街の反対側で行われおり、それらはもともと関心がなかったが、ワックス・カンガのロールを彫刻する賃請負彫場は近くで行われており、そこには行くことができた。《 堀彫刻所 》
 そこには10台の“ペンタグラフマシン”が並んでいたが、その内の 6台には布がかぶさっており、4台しか稼働していなかった。しかし、それより多くの人々が手彫りに従事していた。
輪郭線の彫りは、特定の紙(硫酸紙に硫黄と絵の具を混ぜた液で描く)をロールに巻き付け、ロールの中から温めル方法で、パターンがロールに印押される。(銅と硫黄が反応して黒く写しだされる) そのモチーフを非常に高い技術《熟練度》と驚くべきスピードで手で彫っていく。
 大同の発注で行うこの彫刻場は“ペンタグラフ”と“手彫り”を特化していた。

特に注意すべきは 大同がドイツから新しい電動の彫刻機を導入するといったことで、これが3月に届くらしい。この機械の値段は 6.000万円、つまり 66万ギルダーで 喜ばしい事ではない。
 
 日本ではこれまで我々の写真版の効果を 8,10,12枚 のスクリーンをスクリーンフィルムプリントで使うことによって真似ており、それでも我々の水準にたどりついていなかった。しかし、この機械が導入されれば水準は非常に近くなるということだ。輪郭線は 30分で作れるということで、これは喜ばしいニュースではない。」
「我々(ブリシンゲン)側で問題になっている『デッサン室・トレス室』のことは、日本では問題になっていなかった。トレーサーは日本に数百人もおり、熟練度も十分であった。これをもって日本では写真版の問題は解決している。

 しばらくは、我々の優位は脅かされないと思っていたのにヨーロッパの、特に我々のような特定の西ヨーロッパの工場の優位は、日本に追いつかれるということだ。 我々は日本に対して特に彫刻に関しては技術的優位があった。呉羽の記事によれば、上記以外の点でもヨーロッパとアメリカには優位性がある。それは、デザイナーのもとで全世界において売ることのできるデザインを選び、全世界で売れる配色を創造できることである。この優位は当然ながら新しい彫機の導入をもってしても覆すことは出来ない。 加えて日本は「服地」と「カーテン生地」の組成(組立)という分野において、ヨーロッパと競争するつもりならば、その(商業)組織を適応させなければならない。しかし、日本の劣勢要因の一つであった写真版を持たないという点は取り除かれたのである。」
【 注:- 大同のドイツからの導入した〈写真彫刻技術〉をこんなにも高く評価し、脅威を感じていたとは、おそらく日本中誰も知らなかった。この後、大同の彫刻技術が業界一の評価を受け発展したことと合わせ、彼の目が如何に正しかったか 特に興味深い。】
 
吉岡悠先輩からの投稿を転載しました。
 
座敷童子(田中 頌)
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オランダから見た大同染工 ーⅠー

2017-10-26 10:32:45 | 技術

 大同マルタ会ブログからの転載(先輩の吉岡 様が投稿されました。ありがとうございます。)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

オランダから見た大同染工 ーⅠー


 1961年ブリシンゲン社の技術者が極秘に大同染工を見学した報告書から


 京工繊大の上田 文先生とオランダに同行された法政大学の杉浦未樹教授はアムステル大学客員研究員を務められたこともあってオランダ語が堪能である。
(専門は『近世オランダを中心とした流通史』)


 先生はオランダで繊維製品の流通を調査している中で、フリスコ社で大変なものを発見された。それはフリスコ社の前身「ブリシンゲン社」の技術者であるH.Rodenburg氏が1960年、極秘に大同染工を見学した8頁もの詳しい報告書である。このほどその 翻訳文をいただいたので概要紹介したい。


冒頭、「大同染工は日本で最良の捺染会社である」と嬉しい〈書き出し〉から始まって、驚くほど正確に、工場の内容を的確、詳細に報告している。当時、彼らオランダが、日本や大同の何に関心をもっていたか知ることが出来て、実に興味深い。

「1ヵ月の総生産量は400万ヤード、90万ヤードがオートスクリーンプリントで、残りはローラープリントである。310万ヤードの中、単色プリントは60万ヤードと予想される。従って、ローラープリントは250万ヤードと考えられる。


ローラープリントの正確な生産量を知ることが出来たのが興味深かった。」
【 注: 彼は、防染捺染を60万ヤードと予想して、地色はローラーの2度捺〈しごき〉で行うもの(単色プリント)と推定している。大同防染技法の実際は〈しごき捺染〉を使わず、地色はパッディングの連続染色で行っていた。従って大同は2度捺染を殆ど使わず、実際は310万ヤード全部ローラー捺染生産量である。 逆に彼らの防染地染めは「しごき」の2度捺染の技法が主であることが伺える。防染の割合は大同も彼の工場でもこんなものか。】

「従業員は事務員を入れて 850人、工場は特に男性で占められていた。我々の工場で男性が配置されているところ(捺染、色調合液場、加工機械)は大同でも男性だ。」

「漂白は今年建設された新しい建物で行われていた。ベントラー連続精練漂白機が設置された新工場は、航空図で場所を示してくれたが、作業は見ることが出来なかった。話を通じてわかったことは、綿、T/Cはベントラーで強力な漂白剤クロライトを使っている。」
【 注:その後すぐ、〈クロライト漂白〉は、作業者の健康面を考慮し、〈過酸化水素漂白〉に切り替えている。】 

以下 彫刻、ローラー捺染、オートスクリーンプリント、仕上、製品仕立検査、と職場毎に詳細な記述が続く。特に「彫刻」の写真彫刻技術をドイツから導入するニュースを知っていて、注目していたのには驚くほかない。  オランダから見た大同染工 ーⅠー
 1961年ブリシンゲン社の技術者が極秘に大同染工を見学した報告書から

 京工繊大の上田 文先生とオランダに同行された法政大学の杉浦未樹教授はアムステル大学客員研究員を務められたこともあってオランダ語が堪能である。
(専門は『近世オランダを中心とした流通史』)


 先生はオランダで繊維製品の流通を調査している中で、フリスコ社で大変なものを発見された。それはフリスコ社の前身「ブリシンゲン社」の技術者であるH.Rodenburg氏が1960年、極秘に大同染工を見学した8頁もの詳しい報告書である。このほどその 翻訳文をいただいたので概要紹介したい。
冒頭、「大同染工は日本で最良の捺染会社である」と嬉しい〈書き出し〉から始まって、驚くほど正確に、工場の内容を的確、詳細に報告している。当時、彼らオランダが、日本や大同の何に関心をもっていたか知ることが出来て、実に興味深い。

「1ヵ月の総生産量は400万ヤード、90万ヤードがオートスクリーンプリントで、残りはローラープリントである。310万ヤードの中、単色プリントは60万ヤードと予想される。従って、ローラープリントは250万ヤードと考えられる。
ローラープリントの正確な生産量を知ることが出来たのが興味深かった。」
【 注: 彼は、防染捺染を60万ヤードと予想して、地色はローラーの2度捺〈しごき〉で行うもの(単色プリント)と推定している。大同防染技法の実際は〈しごき捺染〉を使わず、地色はパッディングの連続染色で行っていた。従って大同は2度捺染を殆ど使わず、実際は310万ヤード全部ローラー捺染生産量である。 逆に彼らの防染地染めは「しごき」の2度捺染の技法が主であることが伺える。防染の割合は大同も彼の工場でもこんなものか。】

「従業員は事務員を入れて 850人、工場は特に男性で占められていた。我々の工場で男性が配置されているところ(捺染、色調合液場、加工機械)は大同でも男性だ。」
「漂白は今年建設された新しい建物で行われていた。ベントラー連続精練漂白機が設置された新工場は、航空図で場所を示してくれたが、作業は見ることが出来なかった。話を通じてわかったことは、綿、T/Cはベントラーで強力な漂白剤クロライトを使っている。」
【 注:その後すぐ、〈クロライト漂白〉は、作業者の健康面を考慮し、〈過酸化水素漂白〉に切り替えている。】 

以下 彫刻、ローラー捺染、オートスクリーンプリント、仕上、製品仕立検査、と職場毎に詳細な記述が続く。特に「彫刻」の写真彫刻技術をドイツから導入するニュースを知っていて、注目していたのには驚くほかない。  オランダから見た大同染工 ーⅠー
 1961年ブリシンゲン社の技術者が極秘に大同染工を見学した報告書から

 京工繊大の上田 文先生とオランダに同行された法政大学の杉浦未樹教授はアムステル大学客員研究員を務められたこともあってオランダ語が堪能である。
(専門は『近世オランダを中心とした流通史』)
 先生はオランダで繊維製品の流通を調査している中で、フリスコ社で大変なものを発見された。それはフリスコ社の前身「ブリシンゲン社」の技術者であるH.Rodenburg氏が1960年、極秘に大同染工を見学した8頁もの詳しい報告書である。このほどその 翻訳文をいただいたので概要紹介したい。
冒頭、「大同染工は日本で最良の捺染会社である」と嬉しい〈書き出し〉から始まって、驚くほど正確に、工場の内容を的確、詳細に報告している。当時、彼らオランダが、日本や大同の何に関心をもっていたか知ることが出来て、実に興味深い。

「1ヵ月の総生産量は400万ヤード、90万ヤードがオートスクリーンプリントで、残りはローラープリントである。310万ヤードの中、単色プリントは60万ヤードと予想される。従って、ローラープリントは250万ヤードと考えられる。
ローラープリントの正確な生産量を知ることが出来たのが興味深かった。」
【 注: 彼は、防染捺染を60万ヤードと予想して、地色はローラーの2度捺〈しごき〉で行うもの(単色プリント)と推定している。大同防染技法の実際は〈しごき捺染〉を使わず、地色はパッディングの連続染色で行っていた。従って大同は2度捺染を殆ど使わず、実際は310万ヤード全部ローラー捺染生産量である。 逆に彼らの防染地染めは「しごき」の2度捺染の技法が主であることが伺える。防染の割合は大同も彼の工場でもこんなものか。】

「従業員は事務員を入れて 850人、工場は特に男性で占められていた。我々の工場で男性が配置されているところ(捺染、色調合液場、加工機械)は大同でも男性だ。」
「漂白は今年建設された新しい建物で行われていた。ベントラー連続精練漂白機が設置された新工場は、航空図で場所を示してくれたが、作業は見ることが出来なかった。話を通じてわかったことは、綿、T/Cはベントラーで強力な漂白剤クロライトを使っている。」
【 注:その後すぐ、〈クロライト漂白〉は、作業者の健康面を考慮し、〈過酸化水素漂白〉に切り替えている。】 

以下 彫刻、ローラー捺染、オートスクリーンプリント、仕上、製品仕立検査、と職場毎に詳細な記述が続く。特に「彫刻」の写真彫刻技術をドイツから導入するニュースを知っていて、注目していたのには驚くほかない。

座敷童子(田中 頌)

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「染を語る」展示会

2011-12-09 16:56:26 | 技術
昨日京都工芸繊維大学で開かれた展示会にカッチャンと洋ちゃんが参加されました。
 
カッチャンからのメールでした。
 
 
今晩は、今日は大変失礼しました、私みたいな若輩者が参加しまして大変迷惑をかけましたが、
 
久し振りに有意義な1日を過ごさせて頂き感謝しています。
 
私も今日は2万歩程歩き良いリハビリになりました、
 
これから寒い寒い冬が到来です風邪などひかぬようお過ごし下さいませ‼
 
サトカツより
 
 
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「染を語る」展

2011-11-17 16:19:44 | 技術

 

 

京都工芸繊維大学の美術工芸資料館30周年記念として「染を語る」展1114日より1222日まで開催されます。

 

展示会コンセプト: 「江戸時代末期から明治、大正期にかけて、我が国の染織業界が歩んだ道を館蔵品の裂地を通して尋ねる。」ものです。

 

写し友禅、ローラー捺染など近代の染色技法を理解するための伝統的な染色技法による衣装、裂地、型紙、板締染用の道具、友禅染用の絵具などが展示紹介されています。

 

興味のある方はどうぞ。 

会場へは地下鉄「松ヶ崎」駅から5分です。

私も滋賀県から出かけます。 シガリアンⅢ世

 

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捺染技術の映像に讃美の声

2010-11-07 10:46:13 | 技術
オカチンの作った捺染に関するフォトストリーが各方面に反響を与えていそうです。

尖閣諸島沖のDVD流失より我々にとっては重要なことです。

これからもいろいろ話題を取り上げて、映像化してください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

オカチン君の動画 京工大と神戸ファッション造形大学の青木先生に転送したら、
 
返事がきました。
 
消え去っていく技術かもしれませんが、云々・・・ 記録していく人がおられることは感激です。
吉○ 悠
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

青木です

 

メールありがとうございました。

展覧会、お陰さまで、たくさんの方に見ていただけました。

そして、吉○悠様のアドバイス、本当に助かりました。心より感謝いたしております。

 

動画拝見しました。こんなにしていただいて感激です。

実際にお仕事に携わっていらした方だからこそ・・・といった、気持ちが伝わる動画で、なんだか胸が熱くなる思いで拝見しました。消え去っていく技術かもしれませんが、せめても、昭和のある時期、大活躍した機械や職人の方々・・・を

こうして記録し、未来に伝えることの必要性をあらためて感じた次第です。

 

それから、先日、学会で、アフリカへ輸出していた機械捺染を取り上げて研究している方がいらっしゃいました。

このあたりのこともしっかりと記録しておく必要がありそうだと、その研究者の方とお話しました。

また、お尋ねすることがあるかと思います。

 

どうぞ今後ともご教示賜りたくよろしくお願い申し上げます。

まずはお礼まで。

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