今日の20:45のNHK静岡放送局のニュースで、菊川市の消防団が消防団の構成員としての適齢期の年代で、入団していない世帯に対して、「消防団協力金」を集金しているとの報道があった。
こうした現金の徴収については住民の間から「地域社会の中で半ば強制のような形で行われており消防団への参加はボランティア精神に基づく自由な意思によるべきで疑問に感じる」という声も上がっているらしい。
確かに「地域社会の中で半ば強制のような形で行われており」というのは問題であろう。「消防団への参加はボランティア精神に基づく自由な意思によるべき」というのも正論ではある。
しかし…である。地域の防災力を向上させるために、現役もOB・OG団員にしてもボランティア精神が根底にあるのは確かであろうが、「自分がやらねば破綻する」との危機感をもって入団している者がほとんどであろう。「ボランティアだから好きでやっている」と思われても、「出動手当や年額報酬がある」といっても拘束時間に比して著しく低くお金目的では毛頭なく可哀そうである。
私は、お金を強制的に徴収していたという点は、非難される部分もあるだろうが、マスコミや世間の論調がそちらだけに偏ることなく、団員のなり手が少ない中で一生懸命やっている団員に対してサポートする意味でも、地域を活性化し自助を拡大するためにも、極力自分(又は自分の子供)が入団しよう、サポートしようという流れになってもらいたい。
今回の経緯を考えてみると、いきさつの詳細は分からない。しかし、私は以下のように推察する(うちの地元分団では元々協力金の制度がなかった)。
�何年前からか、入団希望団員が減少してきた。
�どうにかしようということで、「出不足金」の意味合いで、労役の代わりに徴収することとした。
⇒この時点では、お金を集めるのが目的ではなく、できれば団員として入団して欲しいという気持ちが多分にあったと考えられる。
�協力金さえ払えば入団しなくてもよい、と考える人が多くなってきた。
お金を納めれば、ボランティアといえど労役を逃れられるというのでは、韓国など徴兵制の国で問題となっている徴兵逃れと同様である。 適齢期で入団しない理由は人それぞれであろう。仕事の帰りが夜遅く、訓練等に参加できない。昼間地元にいないので、火事に出動できない。消防団なんて酒を飲んでいるだけで自分には合わない。などがよく聞く理由である。
消防団も入ってみれば、そんなに悪い組織ではない。確かに入社の当日から朝4時に起きて月水金曜の週三回、規律やポンプ操法等の朝練習をしていた頃は辛かったが、仲間や先輩がいたおかげで達成感と仲間意識が深くなった。
幕末の西郷隆盛や大山巌などを輩出した薩摩藩では、「郷中教育」というものがあったらしい。地域の青少年は、地域の先輩の手で自律的に教育するというものである。私は司馬遼太郎氏の随想でこの郷中教育を知った時、青年団のようだと思った。
私が高校を卒業するころにはもう地元に青年団はなかったが、昔は、中学(そのまま就職する場合)や高校を卒業すると青年団に入り、地域のお祭りやいろいろなことを教わったそうだ。先輩に叱られ、褒められ、酒の飲み方を教わったり社会の基礎知識を叩き込まれたと先輩には聞いたことがある。 (16-22・23歳位)
その年季が明けた頃ようやく消防団への入団資格(22-24・25歳位)が生じたらしい。私が入ったころの副分団長クラスの人たちは、青年団から消防団へあがるのに同級生が多く全員が一緒に上がれなかったので、何年か籤で上がる人を選び、選に漏れて一年青年団に留年?となった人とは、喧嘩になるなどしたという。
地域と密着している時代を多く感じた。私も小学校の頃は、「消防団に"入れてもらう"には、いい年頃になったら酒を二升詰め所に持って行ってお願いし、そのうちの一升を飲めないと入れてもらえない」というどこから聞いたかわからない噂を信じていた。(就職してしばらくしてからその話を先輩にしたら、全員ではないが実践している人がいた(^.^))
私も平成10年入団で正団員として9年在籍したが、入団の際に当時の副分団長が勧誘に来てくれた際に、バイトを早退し刺身の盛り合わせなどのつまみとビールをふんだんに用意しておいた。すると副分団長は、「今時分、勧誘に来てこんなに歓迎されることはない」と喜んでくれた。
私は、どうせやるなら、やらされる感でなく主体的にやろうという意気込みと、昔から尊敬する地元の先輩である副分団長と一緒に活動できるという気持ちから生まれたものだったが、そう言われて嬉しかったので、今でも覚えている。
青年団にしても消防団にしても、先輩後輩の関係はずっと続く。田舎では退団した後も、地区の役員となっても、PTAの役員となっても人間関係は続くのである。ここで不義理をして入らなかった者、途中で辞めた者は気まずいこともあるだろう。
東北大震災の時に津波の誘導に尽力し、殉職した団員も多いと聞く。団員なら皆同じような気構えを持っているはずである。世間に変な誤解をされないように祈っている。
コメントありがとうございます。
入る意思があって説明会に行ったのに、また仕事上やむを得ず説明会に行けなかったのに、協力金を強制されるというのは、仰る通り疑問が残るという気持ちになられるのもよくわかります。
私の地区は、こういった協力金を徴収する地域ではなかったので、周り(近所)で徴収されたという人も、私が徴収に回ったこともありません。
また、kikugawa様が最後に仰っているように、"長男のいる家庭だけ"というのも不公平感があるのでしょうね。
うちの自治体ではここ2-3年で女性消防団員も何人か増えてきましたが、田舎では、消防団員=長男がなるもので"女系(姉妹)だけの家"は対象でないという"感覚"があるのも実際のところだと思います。
いずれにせよこういう事態が表に出てきた以上、協力金というのはなくなっていく方向になりそうな気がします。
おげさん、ご意見ありがとうございます。
kikugawa市も協力金は強制ではないです。
ただ、市から出る報酬では活動はできませんし、団員の確保もできません。
自分の地域は自分たちで守るという気があるのなら火事場に来てほしいです。僕は最初の火事場では何もできませんでした。
火事場に来いというと『協力金払っているから…』と逃げる人もいますし、入るつもりで行ったら入れなかったという人もいます。人間は自分の都合のいいようにしかいいません。
今でも思い出しますが火事場で亡くなった人の捜索…いないことを祈って家の中に入ります。むなしくも発見…足元にはブルーシートがある中の残火処理。その臭いは一生忘れることはないでしょう。何日も眠れない日が続きます…
消火後の夜を徹しての火の番、冬季の夜中までの夜警とか、表にならない活動には目を向けず、飲み会や旅行を批判する人達…
不祥事が続いている消防団でも真面目な人はいます。
この場を借りて意見させていただきます。
不要なら解散の署名をお願いします。
はじめまして。コメントありがとうございます。
>>消火後の夜を徹しての火の番、冬季の夜中までの夜警
⇒よくわかります。私が現役で副分団長だった頃、町内でクリスマスイブ
幸い人的被害はなかったのですが、住宅は全焼し裏山が隣接していたので、山火事になり、風が出てきたのでひと山だけでなく飛び火して広範囲が焼け、家に帰ったのは二時頃でした。
家族や恋人との楽しい団らんの時を犠牲にして、出動した団員がほとんどだったと思います。現場ではあまりの寒さのためホースのジョイントから漏れた水がシャーベット状になり、皆の手はかじかんでいました
また、翌日は汚れたホースを洗うために出役しましたが、水道が凍って水が出ず、用水路の水をくみ上げて20本ほどを洗ったことを思い出します。
>>不祥事が続いている消防団でも真面目な人はいます。
⇒もちろんそう思います。矢面に立っているときは、抗弁することもなかなか難しいでしょうが、むしろまじめな人の方が多いのではないでしょうか。
御天道様が見ているという言葉があります。いいことも悪いことも、人知れず誰かが見ていることはあるし、そうでなくても自分の意識を高く=矜持をもってください。
消防活動頑張ってください
冬場の火事は辛いですよね
指がかじかんで…体も冷えるし、、、身体は動かないし(嘆)
正直、夕方に鎮火しても朝の8時に解散とかありますよね…僕は朝まで詰めて、そのまま子供の幼稚園の行事に参加もしました。。。前日朝から仕事→消防→幼稚園…みんなそれ以上に頑張っていると思うんですよ!!
親が出てきてグズグズ言うな!!
って思います。
子供のことに…ましてや、やっていない方が言ってくるということにがっかりしています。
もっと言いたい事ありますがやめときます (笑)
最近では交代勤務の人も活動していますから、そういった人のことも理解して発言していただきたい(怒)そういった人でも入らないと成り立っていかない時代ということも知ってもらいたいですね…
ポンプ車の前でのスケッチ風の写真…
いいですよね!!お金では絶対買えないものだと思います。
僕も消防団に入らなければ関わりもない人も多くいたと思います。でも、入ることで知り合えて…入ってよかったと思います!!
何もできませんが精一杯活動させていただきます。
書き込みの勢いからすると、協力金を4万円請求されたのでしょうね。
一つ最初にお断りしておきますが、私は協力金を徴収しているわけでも、徴収して当たり前だと言っているわけでもありません。
ただ、消防団に携わっていた者として「くその役にも立っていないのに体裁だけ立てて活動しているだけ。詐欺と言われても仕方がない」という部分は憤りを感じます。
東北大震災の前から、静岡県では東海地震対策として「自助、互助、公助」のスローガンを掲げています。各地域の自主防災会及び消防団はこの互助の要となるものだと思います。
9月初旬や12月初旬に各地域で開催されている、防災訓練に参加されたことはありますか?
発災時に自らの安全が確認できたら、隣近所や知らない人まで助けようという気持ちがありますか?
気持ちとともに防災知識や消火技術などの技術や知識は備えているのでしょうか。
消防団の団員はいろいろな訓練を通じて消火技術はもとより、土嚢の作り方、チェーンソーの使い方なども身につけています。それよりも、発災時に自らの安全が確認できたら、隣近所や知らない人まで助けようという気持ちを誰しも持っていると感じています。
4万円という大金を取られた悔しい気持ちもあるでしょうが、消防団全体をいわれなき「詐欺」とまで悪し様に言うのはやめていただきたいですね。