ヨーロッパで花火があまり盛んではないのは、緯度の高さのせいではないかと思います。日本では夏に日が長いといっても、夜の7時には暗くなりますし、夕食を済ませて子供たちが寝る前に花火というのは、時間のタイミングもピッタリです。
ヨーロッパでは、夏は10時過ぎまで明るくて、夕食も外にテーブルを出して食べるくらいですから、本当に花火ができるほど暗くなるのは11時すぎまで待たなくてはなりません。さすがにこんなに遅くなってから小さな子どもと「さあ、花火しよう。」というわけにはいかないですよね。
日本で子ども時代を過ごしたことのある人なら誰でも、夏休み中に花火をして遊んだ経験がありますね。夏休み中は、花火のパッケージが日本中のスーパーでもコンビニエンスでもおもちゃ屋さんでも手頃な値段で手に入ります。花火があまり一般的な娯楽ではないヨーロッパでは、小さな手持ち花火はほとんど販売されていません。売っているのを見たことがあるのは爆発音だけが出る爆竹だけです。
現在は航空会社の規制がとても厳しくなってできなくなりましたが、以前は夏に日本から大きな花火のセットをフランスに持っていっていました。フランスの従兄や友人の子どもたちにとても喜ばれるプレゼントでした。打ち上げ花火を眺めるだけで自分で直接花火を持った経験がないので、みんな大喜びです。でも、花火の危険性も知らないので、何をするかわからなくてうっかり目を離せない、ということもありましたが。
子どもたちに花火の持ち方を説明して、「人に向かってしてはダメ。」「自分の足に落とさないように気を避けて。」と説明して火をつけてあげると興奮して、次から次へと大騒ぎで遊んでいます。
気がつくとそばに立っているフランスのおばあちゃんが、とても羨ましそうに子どもたちの花火をする様子を見ています。ひょっとしてと思い、
「やりますか? 」
と声を掛けると
「えっ、私もいいの?」
ととても嬉しそうに花火を一つ持って火をつけていました。
日本では小さな手持ち花火は子どもがするものという感覚があったので、大人に勧めることは考えもしませんでしたが、全く経験のないフランス人は大人でもしてみたかったようです。子どものように目を輝かせて花火を持っていたお姑さんの笑顔が印象に残りました。
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