おフランスの子育て事情・少子化対策

先進諸国の中でもトップクラスの出生率を維持しているフランスの子育ての様子、少子化対策をご紹介します。

ベビーシッターの社会的効用 (2)

2009-10-14 | 保育制度

アメリカで高校生や大学生がベビーシッターのアルバイトをするのは日本でも知られていますが、フランスでもベビーシッターのアルバイトは盛んです。母親の就労率の高いフランスでは、平日の就労中は保育園に預けるか、労働契約を結んだ「保育ママ」を利用しますが、平日の夜や週末に親が出かけたり用事があるときには、臨時の学生のべビーシッターを頼むことが多いようです(もちろん、おじいちゃん、おばあちゃんというオプションもあります)。

保育園は夜は開いていませんし、昼間にフルで働いている「保育ママ」では、夜までなかなか引き受けてくれないうえに値段も高めです。学生のアルバイトに頼むのは何より値段が手頃というのが理由ではないでしょうか。

この学生ベビーシッターは、頼む親にとって値段が手頃で頼み易い、という利点がありますが、学生にとってもいろいろな意味で人気のあるアルバイトです。夜の8時か9時頃までは、食事をさせて、お風呂に入れたり相手をして遊んであげたり、とすることはありますが、寝かしつけてしまえば、そのあとの時間はお留守番さえしていればよいわけです。テレビを見たり勉強したり、と時間を好きなように使えます。そして、学生にとってもう1つの良いところは、(本人にそんな意識はないと思いますが)子どもの世話のしかたを覚えることでしょう。

「小さな子どもと触れ合う機会を設けて、その接し方を学ぶ。」などと、わざわざ場を設定して、講習会かセミナーのように経験しに行かなくても、ベビーシッターをしながら実地で少しづつ育児力が「自然に身についていく」のです。ベビーシッターのアルバイトは、社会全体の若者の育児力をあげることにも一役買っているのですね。


メールアドレス : ofuransunokosodate@mail.goo.ne.jp

ベビーシッターの社会的効用 (1)

2009-10-07 | 保育制度
日本では、市町村や区が中学・高校生と地域の乳幼児との触れ合い広場のような場所を準備して、中学・高校生に乳幼児、特に赤ちゃんの世話のしかたを覚える場を設定することがあります。

数年前、高校生だった我が家の娘がその話を聞いて
「フランスだったらいつの間にか自然に覚えるものを、日本では授業で勉強しないと覚えないのね。」
とびっくりしていました。

「フランスだったらいつの間にか自然に覚える」
と我が娘は言いましたが、フランスに住んでさえいれば子どもの世話のしかたが自然に身体にしみこむわけではなく、日常のいろいろなところで、小さい子どもと接する機会が多くあり、小さな経験の積み重ねで、本人も意識しないうちにいつの間にか身についていく。
ということですよね。

残念ながら、現在の日本の子どもたちは兄弟も少ないので、大学生や高校生が年の離れた小さな弟や妹を面倒見るという話は皆無に等しいし、塾や習い事、部活等々何かといそがしい中学生・高校生、さらには大学生が乳幼児に接する機会はほとんどありません。

そういう状況下では、行政がわざわざ準備をして機会を設けないと、普段の生活では小さい子どもに全く接することはないから、どうやって子どもの面倒を見たらよいのかわからないというのはあたりまえです。こういう学生さんでは、ベビーシッターのアルバイトはちょっと無理ですね。

小さい子どもを持つお母さんたちの方も、ベビーシッターが必要な時でも
「若い学生さんじゃ心配で子どもを任せられないわ。」
といっているのを聞いたことがあります。当然、どこかの業者が紹介してくれる経験を積んだプロのベビーシッターを頼むことになりますが、経験や質、万が一の時の保証等も付いていて安心ですが、お値段もなかなかのものになります。気軽に頻繁に利用は難しいでしょう。日本では、学生のベビーシッターはこれから先もなかなか定着しないかもしれません。


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