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“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

file.no-109 『 BLACK SUN 奴隷王 』

2011-03-06 11:51:12 | 書籍
最近、頭が、どんどん馬鹿になっている気がします。
風邪気味が続いているということもある―― とは思いますが。

活字から、離れているせいもあるのでしょうか。
いや、新聞は読んでいます。 それでも、ここ最近仕事以外であまり活字を読まない。
じっくり読むのは、回覧文書だけ。あと、カタログ?

どんだけ危ないかということを書きましょうか…。

『小笠原宇紀』さん…男女の性別は存じ上げないので、「さん」と敬称。

ご存知ですか、この名前。BL作家さん―― 現在は、商業誌に絞っておいでのようですが―― なのです。
某世界最大手通販サイトの、小笠原さんのご本の購入者レヴューでは、

(『BLACK SUN 奴隷王』レヴュー)
 ・もう小笠原ワールドというか。ご乱交の数々。
 ・小笠原先生特有(?)のHシーンは一対一ではなく、無節操な感じなので、 特定のカップリングのみしか受け入れられない、という方はご注意下さい。
  それが大丈夫なら充分楽しめる内容だと思います。
 ・濡れ場も結構あるのに、あまりエロく感じられないのが残念です。
 ・軍人に陵辱される聖職者という設定に萌える方には購入をおすすめします。

(『Nightmare Fortress -魔神の城塞』レヴュー)
 ・単行本化されている小笠原先生の作品はすべて持っていますが、 いまだかつてここまでHシーンに満ちた作品はないです。捲れど捲れど乱交シーン。
 ・エロ歓迎!という人も多いかと思いますが、ただ要注意なのは リバや複数相手の無節操なエロはダメ!という方には 見てて辛いものがあるかも知れません。 それが大丈夫な方には問題ないと思います。
 ・ほとんどエロシーンというとアレですが、描写が多いです。
 ・あんまりにもエロシーンが多すぎて、普通の光景に見えてしまう自分の感覚に疑問を抱きます。
 ・中身は結構乱交状態になっているので、そういうのが苦手な方にはお勧めできないかもしれません。
(太字は、私のチョイスによるものです、念のため。 ここが大事!ってなハナシ。)

………お分かりですね?

前者は、2007年のミリオンコミックス(大洋図書)。後者は、2006年のリブレSBBC(リブレ出版)。
どちらも、BL出版の本気を見せつけてくれる意欲作(?)です。
いや、意欲というか…乙女の物欲とでもいうか…。

ぜひ、石原都知事に読ませ、小笠原さんと二人で、無制限ディベート・デスマッチを、公開生放送でやっていただきたいところ。
それくらいには、ガチンコものです。

以前に自店にて購入していたのですが、軍人に陵辱される聖職者というのがツボでした。
金曜の夜…花金だというのに、自宅で、実家に帰って来た姉と私と父の三人で、なぜか映画『天使と悪魔』の観賞会をやったので、それで…『BLACK SUN』を思い出したのです。

しかし、書名を思い出しても、作家さんの名前が思い出せなくて。

「“小笠原”さんっていうんだけどね~」と言いながら、友人と書棚を漁っていたのが昨日の話。
カ行に、ないんですよ。
…で、結局、諦めて、あとでPC開いたら、

 小笠原宇紀 読み:おがさわらうき

…ハイ、私は、『コガサハラ』って読んでたんですねぇ~。
これが、アラサーというものですか…私も年を取った…って違うか!

肝心要な、ご本の内容はと申しますと…まさしく、ご乱行。
なんというか、『十字軍』シリーズを、現在ご執筆中の、塩野七生女史と、「十字軍シチュ」についての、トップ会談を奨めてみたいくらい。
絵が巧い、エロが濃ゆい…それよりなにより、小物や書き込みが、巧いんです。
よく研究…というか考証か…それとも、野生の直感でか、わりと美味しい本に仕上がってます。
どう「美味しいか」は、ヒトそれぞれですが。 もちろん読み手にとって、大事なこと。
エロがお好きな方にも、歴史モノがお好きな方にも、奨められる本というのは、なかなか…。

 ***

『 私説三国志 天の華 地の風』という、耽美歴史小説があります。

小林智美という、女流挿絵作家―― スクエニの「ロマサガ」シリーズのキャラクター・デザイン担当で知名度の高い方ですが。
ナチュラルに、耽美絵も描かれる方です。
その、小林女史が、挿絵担当だったのが、『天の華 地の風』。
『私説三国志』のクラウンが付いているように、日本人が描く、三国志小説。 しかし、数あるオヤヂーズ向け三国志(例えばそれは、吉川栄治)のそれとは大きく違う点があります。

それは、主人公 諸葛亮が、BLで云うところの『受け』であり、『超絶美形』ということ。 50代半ばにして、20代の女よりも美しいという描写があるくらいの美しさ。
周瑜、魏延、姜維、関羽といった武将が、(勝手に)彼の色香に惑う。 董卓や呂布にも、アレやコレをされたようなショタちっくな描写もある。

…で、それらだけなら、ただの一流BL小説なんですが、困るのは、史料を必要以上に活かしきっていること。
つまり、史実「蜀科成立時の塩鉄論」、「南方異民族征伐」、「贋金通貨鋳造」など…読めば読むほど、諸葛の実績を巧く使っている。
また、人物の描写も巧い。 下手な日本人の書く三国志本を読むよりは、こちらをお勧めするぐらい。

それだけに、BL…というよりはむしろ、耽美というぐらいに濃い表現がちりばめられている事が惜しい。
まさか、諸葛丞相を組み敷いて、あんあんうっふんしてるのに、泪を流すぐらいに感動させるシーンもあるというのは、天下の鬼才というべきか。
おそらく、耽美表現がなければ、文学賞ノミネートまでは狙えたと思います。
まさしく、超一流歴史BL耽美小説

―― そんな『天の華』と同列に置きたくなるのが、『BLACK SUN 奴隷王』です。
昨年は、在庫があったようなので、版元に問い合わせれば、まだあるかもしれません。それぐらいには、手を尽くしてもよいくらいに面白い本です。

 『BLACK SUN 奴隷王』
  小笠原 宇紀  ミリオンコミックス(大洋図書) 2007/3/29

 

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