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“ 嵐が吹き消した 恵みのろうそくを 再び取り上げ、それに新しい明かりを灯さなければならぬ。” 教皇ヨハネ二十三世

file.no-110 『 ガイアの復讐 』 parte01

2011-03-21 22:38:56 | 書籍
  
前回、原子力について述べましたので、今回は著名な原子力推進派 ジェームズ・ラブロック博士の著作を。

 『ガイアの復讐』( 原題:The REVENGE of GAIA )
 ジェームズ・ラブロック:著 竹村健一:訳 中央公論新社 2006年発行

言うまでも無く、ラブロック氏は、まっとうな科学者である。
氏の提唱する『ガイア理論』とは何か。 それについて述べ、社会の直面するエネルギー問題に切り込んでいくのが本書です。

地球生物圏および それ以外――この場合、地殻がマグマと接触するあたり、地下約160キロの深度から始まり、地表から160キロ上空の宇宙との境界あたりまでを含む広い範囲における、生物・非生物を含めた、環境を制御する総合システム。
地球に生物が誕生した頃から存在し、今なお機能し続ける。「それ」 を説明する理論が、いわゆる『ガイア理論』。
―― そう捉えて差し支えないと思います。 定義は、今現在も変化し続けています。

最初に、集約しますなら、『ガイア理論』は
地球の自己調節システム。あらゆる生命体・惑星表面の大陸・海洋・大気すべてが、緊密に結び付き、ゆるやかに進化・継続するシステム。
肯定派によれば、理論上では、システムの究極目標は、その時点―― 過去・現在・そして未来において、生命にとっての可能な限り最適な状況を作り出すことだそうです。

地球は、確かに 不思議ではある。
なぜ、こうも生命にとって都合のよい環境が発生し、今現在も維持し続けれているのか。

中世は、それを「神による計画」とした。 現代は、宗教ではなく科学的側面から、仕組みを解明しようとする。
しかし、気候が長期的に変動し続ける中で、「生物」が完全に死滅する破局に、いまだ至っていない―― この不可解な謎は、充分に解明されていない。
氏の理論は、これに一定の解を与え、地球の生物を 活かそうと機能し続けている、この「総合システム」 を理解しようとするものである。

この名称に、「ガイア」 を選択し、隠喩として、「生きているガイア」 を匂わせている。
これは、あくまで隠喩であり、そのほうが理解の一助となるからである。
しかし、だからと言って、「地球は生きている。意識を持っている。」
―― そう言いたいのかと思ってはいけない。
そんな事は、まったく論じていない。 科学ですからね。
論じてしまえば、それはもう科学ではない。

「地球には、大いなる意志がある!」 …などと素っ頓狂なことを半ば本気で扱っているのは、一部の環境団体や、「設定上」 そうせざるをえないファンタジー作品などである。
たとえば、そう―― ゲェーム『FF7』 や映画『ファイナルファンタジー』 とか、ですね。

 ***

私が、ゲームFFを蜂からプレイし始め、ついには、同人というお腐れワールド に身を沈めたにもかかわらず、『FF7』 とその派生ブツには、あまりお箸を付けなかったのには、あの世界観に強烈な違和感を感じたからという理由もあります。

何と言っても、FF7のあの「ライフストリーム」
星の生命、生きるエネルギー―― それも、可視化されるほどの命のほとばしり。
星の命と対話するとか言う、うっさん臭い『古代種』とか。
「なにそれ、ヤンキーのニューエイジ?」 当時は、酷評したものでした。

映画『FF』では、あれが前面に押し出されすぎて、「精神体」がどうたらと 尺の多くが使われる始末。
その、「生きた」 CG描写に力を割き過ぎたためか、肝心の脚本がお粗末なものになった感があります。
CG技術やメカニックデザインは、とても感動しました。クレイジーなほどのCG技術に驚嘆しました。 突き詰めれば、スクウェアは、映画を作りたかったのだ という説明も納得。
いや、スクウェアが、というよりむしろ、坂口プロデューサーが、と言うべきか。

160億円の予算を使いまくり、130億円もの赤字を出しておきながら、なお 会社に留まったのは、将来的に『映画を作る野望』 を捨て切れなかったからなのでしょうか。 まさに、すべてを捨て去りし者。
―― それは、誰にも理解できない謎。

映画の中で、『ガイア理論』をダイレクトに取り上げ、名指しで登場させ、「星は生きている」だの、争いのために死に、星ひとつ破壊した種族のその怨念が、その星のカケラごと地球にやって来ただの。
はては、そのカケラから、憎しみのライフストリームが噴き出し、地球のガイアと接触・侵蝕する様など――。
まるでガイア理論が、「地球は生命体」 と公式見解を出しているのかと思わさせられたほど。
怪しげなエコロジーゲームなのかと、FF7についても 誤解を植え付けられました。

ガイアシンフォニーでしたか、胡散臭いエコロジストの好きそうな、交響曲は。
それ臭いには―― いや、それくらいには、マイナスなイメージを『ガイア理論』に与えたのではないでしょうか。

( あら、長くなっちゃた。 というわけで、続きます。
 
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