映画なんて大嫌い!

 ~映画に憑依された狂人による、只々、空虚な拙文です…。 ストーリーなんて糞っ喰らえ!

チェイス 国税査察官

2010年06月05日 | テレビ番組
     ■土曜ドラマ「チェイス~国税査察官」 (NHK=2010年04月17日~05月22日放送・06月02日~03日再放送/全6回)


 先日深夜、二夜連続で再放送していたドラマ『チェイス~国税査察官』を録画して見る。昨今のTVドラマに対しては、半ば諦めのような感情があり、NHKのドラマでさえ不信感を抱いていたところであったが、この坂元裕二によるオリジナルの脚本は良く書けていた。航空機事故で妻を喪った国税査察官(江口洋介)が、ある脱税調査を切っ掛けに、事故機の裏側で暗躍していた脱税コンサルタント(ARATA)の存在を突き止める。妻の復讐を心に誓い、一歩ずつ追い込んで行く中で、次第に明らかになる遠い過去の事件。その怨讐が、人々の運命を狂わせていた…。『砂の器』のような物語構成はご愛嬌としても、場面同士の綾の織り込み方が上手く、台詞も無駄なく感じられた。若干、捜査チームの人数構成が貧弱だったのと、担当する案件が常に重点的だったので、もっと時間に忙殺されていく感じが出ていれば、よりリアリティーが演出出来たのではないか…そんな印象は残る。俳優が感情を剥き出しにする演出への不満はあったものの、見ていて何度か感情が込み上げて来たのも事実なので、あれはあれで正解だったのかも知れない。民放ドラマに見られるような、無意味にカメラを動かす過ちや、雑音としか思えない音楽の多用などもなく、その点でも好感が持てた。実際、菊地成孔の音楽は素晴らしく、また効果的であった。俳優の演技に触れる事へは憚れるが、江口洋介、ARATA、大浜直樹、水野絵梨奈の健闘は見事で、脇を固める木村多江、益岡徹、奥田瑛二、中村嘉葎雄、石橋蓮司、平田満らの存在感は、このドラマの支柱であった。これだけの柱が立てば、物語や演出の隙間は何とか埋め合わせる事が可能であろう。それにしても、いい終わり方であった。木彫りの薔薇、母親に残した銀行口座の番号。「嫌疑者…死亡!」の台詞と同時にストップモーション…。

 映画やドラマは、弱者の味方でなければならない。近年、民放がふしだらになった一方で、NHKはまだ何とか踏み止まっている様子である…。


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