夜中も体温が上がり、不安で眠れない夜を過ごした。
朝5時に24時間受け付けている発熱等相談センターに電話をして、近くの発熱外来を2件紹介してもらう。
朝8時を過ぎて、2件に電話をするが、1件目は夏休み、2件目は今は対応していない、と断られる。
発熱等相談センターも、いい加減なものだなあと思いながら、再度電話をかけてみたが、8時半を過ぎて混んできたのか、繋がらない。
仕方ないので、県のHPに集約された発熱外来の一覧表を見て、自力で交渉しようと思う。
1件目は、今日はいっぱい、明日以降は夏休みが近いから受け付けられない、と断られる。
2件目は、9時に来れるなら、と言われ、即予約した。あと15分しかないので、慌てて着替えて自転車で出かけようとしたら、家人に車で送る、と言われ、甘えることにした。
その病院には、発熱外来用の小屋が建てられ、専用の待合室が屋外の屋根付き駐車場に設置されている。
そこで問診票や保健所への連絡票を書きながら待機する。保険証を促され、財布の中を探したが、ない。2週間前の出張時に小さな財布に入れ替えた際に戻し忘れたのかもしれない。
保険証も確認せずに慌てて出てきたことを悔やんだが、車で待機していた家人に自宅に取りに戻ってもらうよう依頼する。
「保険証も持たずに病院に来たの?」と嫌味を言われながらも、おかげで事なきを得た。
診察小屋の中で、医師に促されながら、綿棒が長くなったようなスティックを自分の鼻に入れて抗原検査をした。
結果は、陽性。今日の2人目だそう。4人検査をして半数。陰性の2人は念のためのPCR検査に進む。向こう側にいる人が羨ましい。
そうこうしている間に、発熱外来の待合室は満席になり、次から次へと陽性者が増えていった。
ここでは、医師も看護師も、マスク、フェイスシールド、ビニール合羽、ビニール手袋という完全装備。駐車場に設置されている待合室は、公道に面しているので、道行く人が珍しそうに眺めていく。工事用の大型扇風機も回っているし、ウィルスが撒き散らされている感じがして、知っている人なら通らないだろうなと思う。
私は、その場で会計を済ませ(2980円)近くの薬局で薬を受け取り(670円)、帰宅する。処方薬は、喉の炎症を和らげるトラネキサム酸と、ツムラの麻黄湯エキスと、解熱剤(ロキソプロフェン)。
発熱外来は、どの病院もやりたくないだろうに、専用小屋まで建てて、コロナ検査をしてくれる病院をありがたく思った。地域医療に尽力する医師、というのは、こういう人のことを言うのかな、と、ビニールの中の白髪の医師の目を思い出しながら、感謝した。
この日は、解熱剤も飲まず、夜の体温は、36.6度になった。
夕飯は、手指消毒を徹底した上にビニル手袋をはめ、マスクをして、無言で息子と鳥の唐揚げを作った。咳も鼻水も出ていないので、大丈夫ではないかと思った。