長浜城歴史博物館(長浜市公園町)の元館長太田浩司さんが、徳川家康と近江の関係について「1時間でわかる家康と近江」と題した本にまとめた。↑写真:中日新聞より 家康は近江に本拠を置いたことがなく、疎遠と思われがちだが、人生の節目となった事件がいくつか起きている。本の内容は、近江からの視点にこだわって家康の生涯を追っている。
太田さんは、過去にNHK大河ドラマの時代考証を手がけたこともある。現在放送中の「どうする家康」を楽しむのに便利な本を出したいとの思いで、昨年10月から今年1月にかけて執筆した。
「1時間でわかる家康と近江」では、序章で家康が三河で生まれてから駿河で75歳の生涯を閉じるまでを大まかに解説。
1~4章と終章で「越前敦賀攻めと姉川合戦」「家康と国友鉄砲鍛冶」など、家康と近江が関係する出来事や人脈について記した。
3章では、1582年(天正10年)に本能寺の変が起きた後、家康が和泉国堺から本国の三河に逃げた「伊賀越え」と呼ばれる逃避行を取り上げた。現在の三重県の伊賀北部を通ったとの説が大半だが、逃避行に関する一次資料が甲賀者の家に残っていたことを考えると、比較的安全な現甲賀市周辺の「甲賀超え」を選択した可能性があるとつづっている。
太田さんは「家康は節目、節目で近江と関わっている。特に関ケ原の合戦で石田三成、大坂の陣で淀(よど)殿という2人の近江人を乗り越えなければ、天下は取れなかった」と話している。
A5判、80ページで、税込み2200円。サンライズ出版(彦根市鳥居本町)から刊行され、3月1日から全国の書店で販売している。
<中日新聞より>