毎日、朝から晩まで新型インフルエンザのニュースが続くと精神状態もおかしくなる。
いつもならお天気のあいさつをするのに、ちかごろは「えらいことになりましたなア」。相手も「ホンマですね」。マスクの人との会話はそれでプッツン。話し続けたらマスクしてないぼくのウィルスが飛ぶやしれん。ホンマにえらいこっちゃ。
というわけで、きょうは一日外出せず、畑中正一先生の「現代ウィルス事情」(岩波新書)という本を読みなおした。
ぼくは、C型肝炎で苦しんでいる輸血被害者のことや園芸ボランティアで草花のウィルス病のことを知り、自身もノロウィルスにかかって、京大ウィルス研究所所長(当時)の畑中先生の本をにわか勉強したのだった。
ウィルスは、細菌を含めあらゆる生き物に寄生し、すがたかたちを変えるお化けのような存在で、かんたんに退治できない。恥ずかしながら、そんな初歩的なことを先生の本で知った。
先生によると、1918年から19年にかけてヨーロッパに大流行したスペイン風邪は、第一次世界大戦の戦死者1800万人(2000万人ともいう)をしのぐ2000万人~4000万人にのぼった。それがウィルスによるものであることがわかったのは1933年のことだったそうだ。そのウィルスは、豚に流行したインフルエンザにそっくりだったともいう。戦争中に、ドイツ人からアメリカ人にうつりそれがヨーロッパにひろがったのだという。飛行機旅行のない時代の話だ。先生によると、インフルエンザウィルスは形がすっかりなくなってしまう時期もあるそうだ。「シフトしながら順番に60年くらい経って再登場を繰り返しているようだ」という。
今回のメキシコで豚から人にうつった新型インフルエンザについては、ウィルスは「A型(H1N1)」で、弱毒性といわれている。どうしてうまれたのか分からないが、早く姿を消してくれることを願う。飛行機で人もモノも瞬時に地球を駆け巡る時代。保健衛生学も医療も急速の進歩をとげているとはいえ、取っ組み合い中の問題もあるんや。90年前の世界の悲劇を繰り返さないよう我々庶民も、WHOや専門家のよびかけに注意深く耳を傾けこたえたい。
けど、何時間も読んでいると百均の老眼鏡は疲れるな。
黴の宿寝すごすくせのつきにけり 万太郎
ウィルスや寝過ごすくせはウィルスか 愚句
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