八ヶ岳 濃淡庵画廊

画工房濃淡庵で製作した作品の公開。

A HOUSE OF HOPES AND DREAMS

2024-05-05 16:05:07 | 画廊
 我が家である。
八ヶ岳の山麓の森の中にポツンと建つ我が家。周りに人家は無い。しかし、ほんの少しの距離で森を抜け集落に出れる。
この森を「もののけの森」と呼び、我が家を「もののけハウス」と呼び、集落から我が家に通じる一本道を「もののけ小道」と呼んでいる。
集落の側から、草地の向こうの森の中に建つ我が家を描いた、小さな作品。

 作品のタイトルは『A HOUSE OF HOPES AND DREAMS』。
このタイトルは、詩人であり作詞家のPete Sinfield(ピート・シンフィールド)の伝説的アルバム『Still』(スティル)に収録された曲のタイトル。

(ピート・シンフィールドは、「キング・クリムゾン」の初代オリジナル・メンバー)

 邦題は『夢と希望の家』。自分としては、アルバム『Still』の中の最高傑作だと思っている。歌詞の内容はちょっとディープで重いが、曲自体が大好きなので、迷わずこの作品のタイトルに選んだ。






 この作品も、制作を開始してから3年が経っていた。別に制作期間を3年と決めているわけでもないのに、なぜか1枚の作品が完成するのに3年かかってしまう。どの作品も、完成して「気付いたら3年経っていた」という感じ。今回は図らずも、この『夢と希望の家』が自分の還暦記念作品となった。

(41.5㎝ × 32.0㎝   キャンバスに油彩)






Country Roads

2022-10-08 16:44:45 | 画廊
 森の中の自宅から都会の何処かへ出掛けて、帰宅する時、必ず通る道。
その道の、曲がりくねった坂道を、下って登る場所がお気に入りのポイント。
坂を登った所に、オレンジ色の壁の、一軒の家が建つ。
誰の家か知らないけど、この家が見えると、ああ、帰ってきたなあ、と思いホッとする。
我が家は、もうすぐだ。

 車の中のスピーカーからは、John Denverの名曲『Country Roads』が流れている。
いつも必ずJohn Denverをかけているわけではないが、John Denverはこの八ヶ岳の風景によく似合う。
特に『Country Roads』は、この道にピッタリだ。







 いつも通っているのに、毎回懐かしく思う風景というのがある。
この道も、自分にとってはそんな風景。
その日その日で、ずいぶん違う景色を見せてくれる。
青空の日も、曇りの日も、雨の日も、春も夏も秋も冬も、それぞれ違った顔が有る。
また、夕焼けの時が素晴らしい。いつか、この道の夕焼けを描こうかな。

 夏の盛りに、制作し始めたこの作品は、2回の秋を過ぎて、3回目の秋が始まる頃に完成した。

(73.0㎝ × 91.0㎝   キャンバスに油彩)

Allons au café

2021-06-26 16:18:10 | 画廊
 ある日曜日、妻がおいしいシフォン・ケーキが食べたいと言い出した。
それじゃあ、あのカフェに行こう。
あのカフェというのは、自分が勤めていた設計事務所とインテリア・デザイン会社が作った、シフォン・ケーキ専門のカフェ。
名古屋の自宅から車で30分ほどの距離にある。

 テラス席があるので、当然マフィンも一緒だ。
「シフォン・ケーキの店にマフィンを連れて行く」って、なんだかヤヤコシイな。







 愛娘マフィンが元気だった頃の一場面。
日曜日の午後、カフェでまったりとした時間が流れる。

 この頃のマフィンは、既に8歳くらい。ずいぶん顔が白くなってきているが、まだまだ元気いっぱいだった。
見知らぬ場所に連れてこられて、ちょっと不安げな様子。
でも、パパとママがそばに居るからダイジョウブだよ。

 この絵も描き始めてから3年以上の月日が経った。
毎日描くのではなく、気が向いたら筆を執る。ほんのわずかづつ進み、3年を経た先日、漸く完成とした。

 相変わらずの牛歩の歩み。


(73.0㎝ × 91.0㎝   キャンバスに油彩)


巣立ち

2020-04-26 16:33:18 | 画廊
 縦20Cmちょっと、横は30Cmにも満たない小さな絵だが、完成するまでに3年近くかかった。
もちろん3年近く描き続けたわけではなく、相変わらずだが、ちょっと描いちゃほったらかし、またちょっと描いちゃほったらかしの繰り返しで、いつの間にか年月が経ってしまったというだけのことなのだが。

 ヤマガラの雛鳥がはじめて巣箱から飛び立ち、軒下の木枠にとまった瞬間。
外の世界に飛び出して、ほんの10秒も経っていない。
はじめて見る世界にビックリしている様子がカワイイ。



 


 我が家の庭に飾りのつもりで取り付けた巣箱にヤマガラのつがいが入り込んだ。
まさかと思ったが、ほんとうに卵を産んで温め初め、やがて雛が孵った。
親鳥は忙しなく餌を運んで雛を育てていた。

 ある朝、庭でコーヒーを飲みながらボンヤリ巣箱を眺めていたら、突然、一羽の雛が飛び立った。
その後、続けざまに次から次へと飛び立ち、数えていたら全部で6羽の雛が巣立ちした。
声を上げて喜び感動したのと同時に、よくあんな小さな巣箱に6羽も入っていたものだと感心した。
今から3年前の話しである。

 この絵はその中の1羽を描いたもの。


(22.0Cm × 27.5Cm     キャンバスに油彩)

El sur (エル・スール)

2019-10-20 18:30:54 | 画廊
 たまに、こういうことになる。

 自宅のある場所の壁が殺風景で、何か飾りたいと思っていた。
出かける度に相応しい壁飾りはないかと、探していた。

 しかし、目に留まったものは、手に取って見るとどれもこれも帯に短し襷に長しという感じだ。
う~ん、なかなか、コレだ!というものに出逢えないなあ。
でも、そのうち何か見つかるだろうと、気長に構えていた。

 ある日、突然思い付いた。
ピッタリのものが見つからないなら、ピッタリのものを自分で作れば良いではないか、と。

 そうだ、そうだ、思い出した!
自分は絵描きであり造形作家だったことを!

 そんなわけで、エイヤー!と描いたのがこの作品。





 たまに、こういうことになる。
つまり、チマチマと細かく描きこんで仕上げるのではなく、勢いのみで仕上げてしまうこと。

 タイトルの「El sur」は、ビクトル・エリセの映画のタイトルを拝借した。
スペイン語で「南」を意味する。

 おお、ピッタリのものが見つかったぞー


(30.0㎝ × 30.0㎝    ウッド・ボードにアクリル+コラージュ)