中央町の宮田踏切近くにありました。豚汁のような味噌煮込みうどんが名物でした。
先日近くを通りかかると建物が壊されて、更地になっていました。あれよあれよという感じの結末でした。
何の変哲もない店でした。飾り気もなく、ただそこにありました。
3姉妹が店を切り盛りしていました。商売っ気のない3人でした。そう見えました。
いつか店の歴史について聞いたことがありました。ご両親が始めた店だったそうです。
何があったのか、なかったのか、3姉妹が力を合わせて店を続けていました。
面白い店で、調理場の奥に奥座敷がありました。表の入り口と他に、もう1つ入り口があったようでした。
店に入ると1人1人出されるアルマイトのお茶が好きでした。何だかぜいたくな気分になりました。
かといって、メニューは至って庶民的で、600円以上の品があったかどうか。
店も店なら、お客もお客。なぜか親しみを覚えるのでした。なぜか皆言葉少なで、肩ひじ張った人は、ほとんどい ないような。
時々踏切を渡る列車の音も聞こえてきました。鹿児島中央駅というより、西鹿児島駅発、あるいは着の列車。日本 列島の際ぎわにある駅の、その際ぎわをしのばせる食堂でした。
旅立つ人もいれば、たどり着いた人もいたでしょう。何が始まるのか、何が終わるのか、誰にもわからない運命の 中に、煮込みうどんが煮立っていました。
時々、小ライスを頼みたくなりました。時々アルマイトのお茶も飲みたくなりました。つい小指を立てる自分がイヤ になりました。
3姉妹といえば、近くのモーカルも、西田の伊佐も3姉妹の店でした。鹿児島中央駅近くには、なぜか3姉妹の店 が多かったのです。伊佐は1人欠けました。井之上食堂は消滅しました。モーカルだけが健在なようです。
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