久しぶりに昔の話をした。
ずっと、半ば封印していたような話。
私は子供の頃、大好きな女の子がいた。
彼女はとても頭が良くて、私にはとても輝いてみえた。
彼女の話を聞くと、自分もそうなれるんじゃないかという気がして、とても楽しかった。
実際、私が志した道は彼女の影響が大きくて、その姿は受け売りのようなものだった気がする。
いつまでも、彼女とそんな話をしていたかった。
ある時、私は家の事情で遠くに引っ越す事になった。
私は彼女と一緒に居たかったけれど、どうすることもできなかったから、仕方がない、と思うことにした。
「必ずまた会いましょう。大人になってら、お互いの話をたくさんしよう」
別れ際にそんな話をした気がする。
しばらくして、彼女が亡くなった事を知った。
手紙をもらって。
「大好きだよ。素敵な人になってね。」
私はとても後悔した。
実際、何もできなかったけれど、そうではなくて。
仕方がない、と思ったことを。
もっと何かできたんじゃないか。
気持ちをきちんと伝えるくらい、できたんじゃないか。
私はもう後悔したくなかった。
だから、自分で出来る範囲の事は、必ずやるようにと決めた。
そういう人になろう、と決めた。
時が経ち、私には愛する人ができた。
幸運にもその人と結ばれ、共に生きていけるようになった。
私は自分と、彼女の幸せの為に、どうしたら良いか、いつも考えて。
こうしたほうがいい、「こうあるべき」を疑わずに実践した。
もう後悔しないように。
結果、私はまたしても大切な人を失った。
本当に、何か起きたのか分からなかった。
ずっと考えながら、見ないようにしていた事かもしれない。
どんな時も大切に想っていた事は本当だし、特別奇妙な接し方では無かったと思う。
私も囚われていたのかな。
心から大好きだった人と愛した人。
2人は今の私に何と言うのだろう。
蓋をした方がいいのだろうか。
私には分からない。
誰かを想う、それはどういう事なんだろう。