やっぱ話はできなかったんだなぁ。
色々と聞きたいこと、話したいことがあったんだけどね。
まぁ、仕方がない。
自分で考えて、自分で決めることにするよ。
これまで、1番頑張ったことがあって。
それは2人の思い出の地巡り。体調が許す限りね。
いや、伊達に長い事一緒に居なかったから、思いつくだけでも結構な数でさ。
1番遠い所で、長崎にも行ったんだぜw
褒めて欲しいな、ホントに。
ホントに頑張った。
色んな場所に行く度、やっぱ実際に行くと思い出すことなんかもあってさ。
食べたものとか、見たものとか、話したこととか、色々ある訳よ。
でも、どっかに出かけた後はさ、必ず家に帰る訳じゃん?そうすると、その時帰ってきた後の事とかも思い出すんよね。
んで、今は帰っても。
まぁ話す人も居ないんで。
毎回、俺は何してんのかな、とか思うんだよね。
でもさ、まぁ愛する妻の面影だったりとか、仕草だったりとか、話し方だったりとか、そのお陰で繋ぎ止めてくれる気がしてさ。他にやることもないし、やっちゃうんだよね。うん。
今あの家にはなーんにもない。
なんていうか、自宅って感じがしなくて。
君の部屋なんか、文字通りなんもなくて、今もそのまんまだから完全に空き部屋。
ドアが空いてると、寝室から部屋の中が見えるから、昔は先にベッドに入ってから様子を伺っていたなぁと。
不思議とフッとそういうのが浮かんだりする時もあって。完全に何もないのに。
結婚前の時の事なんかもよく思い出した。
これ他人には絶対分からないけど、マジで色々あって濃い時間だったよね。
そういうのをずっと繰り返してた。
ずっとね。
でも、繰り返す度に思うのは。
懐かしいな、とかじゃなくて。
あぁ、もうそんな人は居ないんだな。
本当に死んでしまったみたいなんだな。
って。
俺は2つ守って欲しかったことがあって。
細かいこととかじゃなくて、なんていうかこれだけはー、みたいな。時々話してたと思うけど。
一つはじいさん、ばあさんになっても手を繋いで歩くぞってこと。
もう一つは俺より先に死ぬな、ってこと。
でもどっちも守って貰えなかったなぁ。
ホントに。昔から約束の守れない人だよ。
家から居なくなったあの日。
めっちゃ頑張って笑っていたけれど、なんとなく分かってたから。
本当に本気でやる、ってのが理由なら仕方ないかなと。また俺が涙を飲めばいいんだろう、って。
でも。
それは違った。
全くそんな風に見えなかった。
少なくとも今までは。
一体あなたは何をやっているのかな?
何でそんなで、命かけてるとか戯言を吐いているの?
自分を虚飾したって、なーんもいいことないよ?
20年かけても、分からなかった?
中途半端なことばっかで。
やるなら、本当に本気出して欲しいな。
独力で、他人に迷惑かけず、甘えずやって、その口で言ってることをホントにしなよ。
まぁ、そんなことをずっと思っていた訳。
でないと、無駄になっちゃうからね。色々と。
とても、残念。
今まで色々言ってきたけど。
やっぱね、都合の悪いことから、その場凌ぎで逃げて、言い訳しても。
自分のしたこと、自分からは逃げられないんだよ。必ず自分に返ってくるから。
色々と大変になるだろうけど、きちんと反省して大切なことを今度こそ理解することを願うよ。
そして。
今、愛する妻は死んだ。
よく分からない中で、1番これが無理矢理自分を納得させる結論になるかな。
これも、今こう書いている時点で、何となく分かっている事なのかもしれない。
だから。
さようなら、ともちゃん。
僕はずっとあなたを愛していたかった。
あなたが死んでしまったのなら。
俺ももう頑張らなくていいやね。
20年以上頑張った訳だし。
もっと色々な話をして、美味しいもの一杯食べて、楽しい場所へ行って。
ずっと続く。そんな夢を見ていようと思う。
それから既に手元にあるものは処分するね。
今後俺の所にまた何か届いても、恐らく所在不明になると思うから、自分でしっかり抜けがないか確認するんだよ。
これからは全て、自分でやっていくんだよ。
ある人から言われたよ。
ずっと守ってきたんだね、って。
うん。そうかもしれない。
でももう、守ってあげられないから。
自分でなんとかするんだよ。
これが、あなたにしてあげられる最後のメッセージになります。
私はこれが正しい、真にあなたの為になる事と信じています。
そこから立ち上がって、本当に輝く人になってね。
守るのではなく、きっと遠くから見守っています。