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CDの売り方/新作「ETERNITY」

2007年06月26日 13時31分50秒 | jazz
ジャズのアルバムは正直たくさん売れるものではない。名盤を数多く生んできたレーベル、ブルーノートやプレスティッジやリバーサイドだって、今で言うインディーズみたいなスタンスだったと思う。僕が今回リリースしたホワッツ・ニュー・レコードも全く同じスタンスだと思う。売り上げは勿論気になるものだけど、それ以上に良い内容のものをリスナーに届ける事に腐心する・・。キース・ジャレット(p)もECMでのアルバム制作に関して、一時的に爆発的に売れる事よりも何十年も「売れ続ける」アルバム制作を心がけているとコメントしている。それこそが名盤を作る基本だと僕も考える。

僕もその昔はどうすればアルバムが売れるかを考え、リサーチしたり勉強したりしてみた。(J-POPを制作している時は特に勉強したけれど、すればするほどメロディー・歌詞やコードにも「売れ線」というものが有り、その中で独自性を出すのが如何に困難かを思い知る事となった) 結論として、やはりメディアに乗らなければそれは不可能だという見解に達し、メディアへのアプローチを試みてきた。そしてそのメディアに乗っかるには「話題性」という言葉がキーワードとなる。ま、プロである以上その話題性の中に「上手い」は必須条件なのは許せるけれど、日本の場合「若い」「女性」「可愛い(カッコいい)」ってのがどうしても入ってくる。(最近、クラシックでもそんな感じかな) 

それらはジャズにとってはハッキリ言って無くたって良いものである。キースもかつて「天才といわれる子供の演奏に感動した事は無い。」と言っているけれど、僕も確かに感心はするけれど感動したことは無い。凄く感動した音楽の演奏家がたまたま若くて可愛い女の子だったら僕だって「ほぉ~」となるだろうけど、それはあくまで別っこの次元での感動だ。それが無くたって良いものなら何度でも繰り返し聴くだろう。でも、レコード会社を始め音楽業界というものはそれをセールスに換算して「売る」という行為を行う。基本的に売れないジャズを話題性で売ろうという事で当然歪みが生じ、音楽性にさえ首を傾げるものも結構有る。何度も繰り返し聴けて楽しめるというジャズの特性を無視したアルバム制作が多く行われている。ジャズをセールスではなく日本にも根付いた「文化」として音楽業界全体がもっと大切に保存してもらいたいと切に願う。

さて、僕自身の話をすると、全くもって話題性が無いのである。(笑) 40過ぎのオッサンが凝りに凝って1枚アルバムを作りました!!・・って売れヘン話題やなぁ、ハハハ。今まで応援してくれていたメディアもこれではさすがに難しいらしく、新作「ETERNITY」は完全に自力で売る事となった。まぁ、今まではラッキーだった部分も有っただろうし、自力で今までもたくさん売ってきた訳だから僕自身に落胆やアプローチの変化が特に有る訳ではない。相も変わらず地道に1枚1枚売って行くしかないわけである。「いいものを作って全国売って回る。」という富山の薬売りみたいな昔ながらの行商人スタイルがやはり自分には合っているのだろう。でも、店によってはメディアの露出度を気にするところや人気者じゃないアーティストにひどく冷たい所も有る。音楽を聞かせるお店のオーナーが自分の耳を信じないでメディアを信じるという現実も有る。客が入らなければ商売にはならないのはよ~く分かるんだけど、「俺が気に入った音楽だ!俺が客を集める!」な~んて言ってくれる粋なオーナーさんは当然少ない。でも、僕にはそう言ってくれる素敵なオーナーさん、マスターさんが少数ながら確かに居る事は事実だ。感謝しなくてはならない。

でも、本音を言うとね、僕は音楽の事だけを純粋に考えていたいのでセールスやブッキングの事なんか考えて生活などしたくない。寝る間を惜しんでアルバム制作に命を削った後だし、現在の自分の演奏スタイルに満足しているわけでもなく、もう次のステップに進むべく練習をしている。いつになったら理想の生活が出来るんだろう。

兎にも角にも、新作「ETERNITY」は物凄い情熱と時間をかけて作ったアルバム。僕のHPのアルバム紹介には細かい曲の説明や試聴が出来るサイトへのLINKも貼ってあるので是非ご覧頂きたい。
http://homepage1.nifty.com/noizz/new4index.html
そして、是非買って聴いて頂きたい。何度も何度も。

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5 コメント

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禿同 (金さん)
2007-06-26 17:53:58
本当~に、ジャズのCD売るのって難しいですよね!!
私も、作っている側としていつも思います。
経費の回収もきつい時もあります。

くっそ~

でも、こだわりは捨てたくない!!
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Unknown (NADDY)
2007-06-26 20:09:19
さっそくipodに入れて何回も聴いています。
特に「dear michael」と「wrapped up in be-bop」がお気に入りです。
返信する
勝ち、じゃなくて価値 (Dreddy)
2007-06-26 23:27:10
僕は望むと望まないとに関わらず「売れる」とうことが絶対基準の世界に長く身を置いていました。売れるということは決して悪いことではなく、例えばキースだって極論を言えば「ケルンコンサート」が売れた(今でも売れ続けている)からこそ歴史に名を残すアーティストになったわけです。

でも、売れるということに数字の絶対評価は必要ありません。モーニング娘。なら100万枚売れなければ「価値」がないけど、1000枚売れる事に価値がある作品やアーティストが居て(つまりその音楽を愛するリスナーがいる)、そういう価値を認められないアホの事は放っておけばよろしい。

あなたの音楽を愛でる1人のリスナーがいる限り、そこに価値があるのです。自分自身の「愛」の力を信じなさい。誰かの台詞じゃないけど、音楽は決してあなたを裏切る事はないでしょう。
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ありがとうございます。 (SGURU)
2007-06-27 03:46:24
>金さん、
そうそう、ありさちゃんのアルバム作りご苦労様です。コダワリは大事だと思います。大切に作ったアルバムなので売る時は本当に娘を嫁にやる様な気持ちになりますよね。僕の場合、今回はプレス数も少ないのでミュージシャン同士の物々交換もなるべく避け(相手にも失礼なのでなるべくサンプル同士の交換にしています)、買って聴きたいと仰るお客様優先で考えています。1枚1枚が本当に貴重に感じています。

>NADDYさん、
うれしいっす。曲目占いで言うと、比較的ハードな曲がお好きな貴方は食べ物は「お肉」が好きなはず。なんのこっちゃ。(苦笑)

>Dreddyさん、
ありがとうございます。キリスト様の様なお言葉、身に沁みまする。数字は絶対的なものではなく相対的なものだと言う事ですよね。音楽業界はそれが崩れているし、商売にならないものを切り捨てようという動きがどうしても見えてしまう。音楽が好きでこの業界に入ったのなら、音楽そのものの事を真剣に考えられないなら辞めちまえよ!ってマジで思う。業界に君臨してる人達がまるでマネートレーディングの様に音楽を扱ってる様で悲しくなります。

ま、僕にはもう本当に関係の無い事です。もう特段「売れたい」とか思っていないし、今回のアルバムは、好き勝手演奏している僕等をいつまでも応援してくれるお店やお客様に感謝を込めて作った部分も大きいし、そいう大切な人に聞いてもらえればそれで良いと思っています。
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当たってます! (NADDY)
2007-06-27 11:08:08
>比較的ハードな曲がお好きな貴方は食べ物は「お肉」が好きなはず。
当たってます!お肉も大好きですし、ハードな曲も好きです!
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