Saxophonist 宮地スグル公式ブログ

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KING CRIMSON / Discipline

2006年11月25日 20時57分10秒 | records/cds
キング・クリムゾンを最初に聞いたのは、大学1年の頃。軽音楽部の先輩のバンドがコピーバンドをやっていたのだ。変拍子やら変わったモードを使う事からジャズしか聴かなかった僕の耳にも新鮮であった。キングクリムゾンといえば「21世紀の精神異常者」やら「太陽と戦慄」。でも、僕にとってはこの「ディシプリン」なのだ。

「エレファント・トーク」ではギターは象の雄叫びを、「フレーム・バイ・フレーム」ではツインギターが同時に違う拍子を奏でる。その上で歌が歌えるエイドリアン・ブリュー(g & vo)は変態である。もっともこの音楽を作り上げたリーダー、ロバート・フリップ(g)はキ○ガイ博士である。ビル・ブラフォードのドラムはハイ・ピッチのタムを高速でグルグル廻し、トニー・レビンはスティック・ベースという変な楽器を弾く。これを楽しめる人は美食倶楽部に招かれてゲテモノを差し出されて、満場一致で「美味い!」となった時に自分も同意見だったかの様な喜びを味わった事になる。

でも、クリムゾンの歴史からすればこのアルバムはポップな方で「21世紀の・・」を愛するファンからは総スカンなのである。YESというバンドが「オウナー・オブ・ロンリー・ハート」をリリースして、それまでのファンから「ウンコYES」と呼ばれたのと同じ現象である。しかし、考えて頂きたい。その当時(60年代後半~70年代)はベトナム戦争やらドラッグの蔓延やらで世界中が狂っていたのだ。若者達は不安の中で未来も見えずに突っ走るしかなかった。その時代背景が、あのテンションの高い音楽を生み出した。60年代初頭に黒人の民権運動とフリージャズがリンクしていたのと酷似している。80年代の様な安定した時代にそれはそぐわないのだ。それを考えてもミュージシャンという人種は時代に敏感でナイーブであるがゆえにダイレクトに音楽に表れるのだと思う。クリムゾン・ファンの諸先輩方には申し訳ないが、このアルバムはこのバンドの最高傑作であると思う。だって70年代のアルバムって「手抜き」の曲も結構入ってて通して聴くのは辛いんだもん。

最近は、どうも歳のせいか癒される音楽を好む傾向にある。しかし、これを聴いて感じたのは、80年代、NYはまだ危険だったんだ(テロとは無関係な意味で)とか、ベトナムやドラッグの破滅的な感覚がまだ音楽の中に生きてるなとか、とにかく「不安定」というものにパワーを求める音楽が存在した事実。そして今、巷に流れる音楽でパワフルと言われている物の軟弱さや薄っぺらさを考えたら何と活き活きしてる事か。はっきり言って今の世界情勢の方がよっぽどヤバいのにね。音楽にパワーが無いのは業界の金満体質や、下手したらミュージシャン側のビジネスマン化にあると思う。いずれも、もっと音楽に対する熱意や愛情が強力でなければパワーなんぞは生まれるはずなどない。

音楽は癒し効果とともに活力も必ず授けてくれる。

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2 コメント

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遅ればせながら (katsumata)
2006-12-10 01:52:54
まだ今頃はツアー中でしょうか...
お疲れだと思いますが頑張って下さい

で...
かなり遅ればせながらな書き込みですが
このCD持ってますが結構好きです
って事で今改めて聴いているところです 笑

「21世紀の・・」も持ってるのですが
音質的に辛くなってくるのと
なんというかワンパターンな気がして...
(あ!! ファンの方すみません!!!
よく知らないのに)
とにかくあまり好きになれない

音楽は大体どのジャンルでも聴く方ですが
ロックは比較的興味が薄い方で
でもその中でもプログレッシブロックは
わりといいと思う事が多いです

なんて...
あまり意味のない書き込みですが 笑
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おそらく (SGURU)
2006-12-22 13:40:34
クラシックを聞いてきた人にはプログレは馴染むのかもしれません。何故なら、フランク・ザッパを初め、プログレのアーティスト達自身がクラシックや現代音楽を取り入れ、より複雑な音楽を目指そうとしてきたわけですから。

ジャズでもロックでも融合の末に今の音楽がある筈なんだけど、時代と共に淘汰されてしまったスタイルも数多いですね。その中には時代の流れとは無関係だったという理由だけの素晴らしい物もあるはず。一時、クラブ系で70年代のクロスオーバーが注目を浴びたというのは、ある意味で功績が有ったとは思います。
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