映画「ペルシャ猫を誰も知らない(2009/イラン)」を観た。
以下ネタバレあるやもしれません、ご注意!
西洋音楽の演奏が禁止されているイランで
自由に音楽を奏でたい、とロンドン脱出を計画する
アシュカンとネガルのカップル・ミュージシャンの話。
…なんだけど、体制への反抗態度や暴力的なシーンはほぼ無い。
(この映画を作ったこと自体が体制に物申してはいるけれど)
地下でこっそりミュージックするイラン人が
代わる代わる出てきてマイ・ミュージックを披露する。
ストーリーは薄く、登場人物の意志も音楽の強さのその下にある。
イラニアン・ロッカーちょーかっけーーーーーーーー!
音楽は、欧米のそれの二番煎じかもしれないけれど
や、でもカッコいいわ。ちょっと驚くくらい。
「once ダブリンの街角で(2006/アイルランド)」という似た映画があったけど
私は断然こっちの方が音楽気に入った。
「once…」は、音楽悪くないけど、売れない理由もわかるなぁと思った。
売れる人が持っているエッセンスをあの主役の兄さんは持っていなかった。
この映画は、いろんなミュージシャンの代わる代わるの演奏で
ジャンルも様々でそれも強みかもしれないけど
泥臭いというか、底力が凄くて、
古いシンセサーザーの音もなんかもーかっけー!という感じだった。
抑圧された音楽はこうやって溢れていくのだ。
映画の中で音楽が流れている時間がかなり多い。
そのときの映像は、ゲリラ撮影されたというテヘランの人と風景。
テヘランの持つ表情を短いカットに仕立てて、溢れんばかりに流している。
バフマン・ゴバディの愛憎溢れる視線そのままに。
冒頭で「バフマン、クルド語よくわかんないけど、そこんとこは伸ばして歌って。」
と言われてたのは、監督本人なのかな?
大変辛い境遇で、彼は歌うのだけがストレス解消で…とか言われていたのを観て、
PTAの打ち上げで、任期終了の喜びいっぱいでマイクを離さなかった
元会長Iさんを思い浮かべた。