ノグリの穴

映画をのぞいたら、プイプイっときた。

ウンベルトD

2006-05-04 23:56:34 | Weblog
夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る。
「あれに見えるは茶摘ぢやないか。あかねだすきに菅の笠。」
                        『茶摘』 文部省唱歌


駅の階段から降りてくる、中高年の男女。
年の割りに、おしゃれだ。ていうか、身なりがいいなと感じた。
(不倫じゃないね。)
(いきいきしてるし。)
(この辺に住んでる小金持ちの旅行帰りかしら?)
そんなことを思う間もなく、十九、二十歳の若造が現れる。
中高年の男女は、おおとか、ああとかいう、道端にアクセントをつけて、
右肩、左腕に別れて、ふれながら、
男「少しやせたんじゃ…?」
女「寒くない、薄着して~」
と、父親、母親になっていた。
息子はボソボソと何か言っている。
僕は平板に、ジムへ行く為、そこを通り抜ける。
そして、情報を得た後の、レスのないカキコ(想像)をする。
線路沿いを、歩きながら。

(GWの休みに一人暮らしの息子の所に会いに来たんだな。)
(両親の住んでるとこは首都圏ではないだろう。)
(飛行機とか、新幹線を使ってきた感じがする。)
(もっと離れている。海外かな?)
(んなわけないか。ついでに観光に来た、御上りさんにも見えるし。)
(でも、「俺が住んでた頃とは変わったなあ」とか、言いそうなオヤジでもない。)
(かーちゃんのパンツスーツのシックさや、とーちゃんのカジュアルな着こなしは、「都市」を意識させ、中に取り込んでる気がする。)
(大阪?)
(わからん。おかんも、おとんも、おしゃれってのが社交性が高そうだ。)
(けど、息子は可もなく不可もなく、普通の格好だったし。)
(頭、きれなそう!)
(両親に比べて、ハイソな雰囲気もない。)
(かわいいけどね。)
(いいとこの子で・・・ない、だろ。)
(でも、駅にちゃんと迎えに来る所をみると、いい子ではありそう。)
(この変の大学生だろうな。)
(一人暮らし!)
(そういえば、見るからに、一人暮らし、はじめました、百円ショップで生活道具をそろえてきましたって感じの、白くて、でかいビニール袋を両脇に抱えた若造君が、4月の初め頃、ここらへん通ってたな。)
(定期券買うのも、行列作ってて。)
(大変そう。)
(いや、ばっかみたい。)
(と、定期券とか、買ったことないから、思ってたな。)
(なんか、クリスマスにケン○ッキーごときを並ばなきゃならない、みたいな。)
(そこまでして、今買う、みたいな。)
(ケンタごときに)
(電車ごときに)
(並んじゃって。)
(あれから、一ヶ月。)
(もう、5月だ。)
(あの子は1年生かな?)
(4月に入学してたら、一ヶ月やそこらで、息子の体重のこと言わないよな。)
(もうちょうっと、経ってるみたい。)
(2年生あたりかな?)
(こっちの予備校に通ってたとかで~)
(1年生か~)

僕は歌を口ずさむ、妄想しながら。

「夏も」 (男の) 
「近づく」( 学生の) 
「八十八夜」 (一人暮らしの部屋) 
「チャンチャン♪」 (ムンムン♪) 
「野にも」 (のか~♡) 
「山にも」 (やまか~♡)
「若葉が茂る」 (若葉が茂る♡ ) 
「ルンルン♪」 (ティッシュの山かしら?)
「あれに見えるは・・・」 (あぁ~いいな・・・)

(ストーカー?)「自分が?(汗)」

ロマンスカーが満席で通る。

(みんな、休みでどっか行くんだな。)

(自分)

(ひとりだよ。)

電車の通る音に、かき消される程度に、僕は叫ぶ。
「茶摘がしたい!ちゃ~つみてよぉ~!」



季節がら・・・

男「おい、なんか聞こえるぞ。」
女「この辺いる、盛りがついた猫ちゃう。」

「あれ」に見えるはな・・・

【ウンベルトD】2006.4.
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ  イタリア(1951)

新茶が出回る頃ですな。
ノグリは、数ある緑茶飲料の中で、断然、伊○園の『お~いお茶』が好き。
なんですけど、『お~いお茶』にも、この時期「新茶」が出ます。
「新茶」ってのに、惹かれますけど、毎年、いまいちなんだよね。
今年もやっぱり、買って、飲んでしまって、
(だめだな~定番の方がいい。)と、思ったの。
恒例になりつつあるわ。
おいしく作ったら、まずいのかしら?

えーと、映画の感想ね。
NHKの深夜BSでやってた。タイトルがね、惹かれたの。
何なのかしら?【ウンベルトD】って、
のぞくまで、またまた、頭の中でレスのないカキコをしてたんです。
けど、どうってことないの。
人の名前。
主人公が「ウンベルト・D・フェラーリ」だから、ウンベルトD。
監督はヴィットリオ・デ・シーカ
おいしくない設定の、観ると「まずい」って、感じる映画を作る人です。
【ウンベルトD】は、ネオ・リアリズムですな。
つまらなくないですよ。面白いです。
今までのぞいた、【自転車泥棒】も【ひまわり】も
でも、まずくて、イライラする。
新茶なのに、映画なのに、まずいって、どういうこと!?

最後の場面。
ウンベルトが、飼い犬のフライクと公園で「取ってごらん」とかいって、松ぼっくりで遊んで・・・FINE
キラキラした、おいしいシーンですよ。
おーいお茶って感じ。
でも、その前の場面は、犬と一緒に電車に轢かれようとしてたんだから!!!
死んじゃいや!
新茶いや!って感じよ。←まずいしゃれ。

戦後、イタリアも都市部は住宅事情が悪かったんでしょうか?
インフレとか?

プライドはあるが、身寄りも、住む所もない、年金生活者ウンベルト(&犬)。
この後どうなるのか?

観る側にゆだねられています。

あぁ、レスのないカキコが・・・
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また今度。