高齢者に運動を推奨することには理由があります。運動といっても、若い人が取り入れるようなハードなものではありません。歩く、段差を上る、手足を動かすといった日常動作を取り入れたものが一般的です。
運動を取り入れることのメリットとして一番大きいのが「自立した日常生活を送る」ことにあります。入浴や排せつ、階段昇降など家の中だけでも介添えなく過ごせたら、健康寿命も伸ばせます。運動をすることで筋肉量や骨密度低下を防げることもメリットといえるでしょう。筋肉量を保つことで、体の動かしやすさを維持できます。また骨密度低下を防止すれば、大腿骨骨折というような寝たきりの引き金となるけがも防げます。結果的に健康寿命を引き延ばし、医療などの介入に頼らない平均寿命もさらに引き延ばせる結果が得られるでしょう。
高齢者が運動を取り入れることはなかなか難しいことかもしれません。もし運動を取り入れる場合は、日常生活の中での動きを中心に積極的に体を動かすことを促しましょう。玄関の上り口を自分で上る、トイレの便座を自分で座れるように訓練するといった動きで構いません。高齢者自身が自ら体を動かせるように、持ち手や手すりを設置するといった工夫を取り入れることも大切です。
適切な運動ができるよう。介護認定を受けることも一案です。要支援や自立の認定を受けた高齢者が利用できる介護予防型のデイサービスもあります。仲間同士で楽しみながら体を動かせる工夫も必要です。