平潟漁港は福島県との県境に近い漁師町で、集落には 20 程の旅館や民宿がある。そのうちのいくつかには平成に入ってから温泉が引かれているのだが、入浴のみ受け付けているところがあまりないこと、また、冬場には名物のあんこう料理目当ての宿泊客が多く、予約がとりづらいことから、温泉マニアの中でも情報の少ない温泉地である。
砥上屋旅館も、入浴のみでは利用することができない“のみ不可”の旅館である。明治 40 年創業の老舗で、建屋は創業当時のものとのこと。漁港ビューな浴室はこじんまりとしており、浴槽は 2 人サイズといったところ。湯口でアブラ臭のする湯がかけ流されており、口に含むと強苦味と塩味を感じた。また、よく観察すると、赤茶色の浮遊物もみられた。湯温は適温 (表示によると加温ありとのことだが、貯湯したものを使用しているのだろうか) だが大変温まりがよく、窓を開けて漁港をぼんやり眺めながら湯に浸かったり、寒風で熱りを冷ましたりを繰り返した。
どぶ汁風のあんこう鍋もおいしかったが、特にタコの煮物とあん肝の和え物が絶品だった。漁師から作り方を習ったという和え物は何という名前だったか、教えていただいたのに忘れてしまったことが唯一の心残りである。
(2020 年 2 月)
※お気に入り度は湯使いや浴室の設えによるもので、客室や食事は評価対象外としています。
◆源泉情報◆
源泉名:五浦元湯温泉 2 号泉
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
湧出量:450 l/min
泉温:63.0℃
成分:pH8.0、溶存物質 12030 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg、カッコ内はミリバル %)。
ナトリウムイオン | 3009.0 (63.95) | 塩化物イオン | 7384.0 (99.67) |
カルシウムイオン | 1428.0 (34.81) | 炭酸イオン | 8.9 (0.14) |
ストロンチウムイオン | 18.9 | 臭素イオン | 2.4 (0.01) |
メタケイ酸 | 50.0 | メタホウ酸 | 53.6 |
分析日:2009 年 10 月 6 日
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます