goo blog サービス終了のお知らせ 

KKDブログ

Welcome to "KKD BLOG"!!

菅内閣総辞職を前に

2011-08-28 23:21:11 | 菅内閣
明日にも新しい民主党代表が選ばれるが、今回はようやく退陣を表明した菅内閣について振り返りたい。

昨年6月、政権交代を果たして一年も経たずに瓦解した鳩山内閣の後を受けて発足した菅内閣。ここでは、経済財政、外交安保の二点について述べたい。

経済財政については、「需要を基に成長」「雇用をよくすれば経済はよくなる」等、奇っ怪な経済認識を発足当初から示していたものの、新成長戦略においては生産性の向上という常識的な手段に基づくプランを打ち出した(首相本人の意思は不明)。ただ、内容は極めて抽象的であり、しかも次の政権が本当に実現できるかは全く不透明だ。規制緩和については「規制仕分け」、自由貿易については「平成の開国」を掲げてTPP参加を検討したものの、どちらも中途半端に終わった。とはいえ、民主党は当初成長そのものにネガティブであったことからすれば、改善したと言えなくもない。財政を悪化させ、効果は疑わしいマニフェストについても、見直しを表明し、謝罪したのは一歩前進であった。
一方、東日本大震災による原発を巡る議論について、法的・科学的根拠もなく浜岡原発を停止に追い込んだり、経産省が一部の原発再開を要請した後に「ストレステストしてから」と述べたり、個人的意見である「脱原発依存」を官邸の記者会見で表明し、代替エネルギーとして疑問の多い「自然エネルギー」を称賛するなど、あまりにも無定見な「脱原発」を打ち出したのは、行政府の長として極めて不適切である。今後も原発を再稼働させず、節電を強いるなら、日本経済への悪影響は計り知れない。

次に、外交安保について述べる。鳩山前政権が悪化させた日米関係は、菅内閣になりかなり改善したと思われる。しかしながら、普天間基地移設問題は、日米合意を遵守するといいながら、進展はなかった。防衛大綱は南西諸島の守りを強めるなど、一定の評価はできる(これも首相本人の意思は不明だが)が、武器輸出三原則の見直しを社民党に配慮して結局進めなかったのは残念だ。

領土を巡る対応は極めて不適切だった。昨年の尖閣諸島近海での漁船衝突事件は、菅内閣の最大の失態といってもいい。検察が「日中関係を考慮して」被害者を釈放したり、ビデオを意地でも公開しないあげくネット上での流出を招く。極めてお粗末な内政外交を繰り広げてしまった。また、韓国に配慮してと報じられた昨年の防衛白書延期問題や、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土「訪問」問題も、民主党の外交音痴が目立った問題である。

また、日韓併合百年を節目にして謝罪の談話を出し、請求権や文化財引渡しの問題は解決しているにもかかわらず、宮内庁の所蔵する「朝鮮王朝儀軌」を韓国側に引渡す日韓図書協定を締結した。日韓関係を極めて後ろ向きなものにしてしまったと思われる。

総じて、菅内閣は無定見さが目立ち、具体的に成果をあげた部分は少なく、特に外交では大きな禍根を残した。

ただ、無定見さのおかげで、民主党の当初の方針を柔軟に見直したのは悪くなかった。次期首相が誰になっても、また原点回帰する様なことは許されない。