彼は、1971年、アルバム『What's going on（ホワッツ・ゴーイン・オン）』を発表しました。華麗で美しい楽曲と、隙のない緻密なアレンジによる音楽性は絶賛を受け、アルバムと共にシングルで発売されたタイトル曲「What's going on（ホワッツ・ゴーイン・オン）」や「Mercy Mercy Me（マーシー・マーシー・ミー）」も大ヒットを記録しました。音楽以上に人々に衝撃を与えたのは、このアルバムが、ベトナム戦争や公害、貧困といった社会問題を取り上げた歌詞と、それに対する苦悩を赤裸々に表現したマーヴィンの熱唱であったからです。1983年には当時、飛ぶ鳥をおとす勢いであったマイケル・ジャクソンや、スティーヴィー・ワンダーを抑え、グラミー賞を受賞するなど健在振りを見せつけました。しかし、1984年の4月1日、自宅で父親と口論になり、逆上した父親が彼に対して発砲、マーヴィンはそのまま帰らぬ人となりました。奇しくもその日は、彼の45回目の誕生日の前日でした（父親が発砲した銃は、彼がプレゼントしたものでした）。僕は当時、大学の２年生で、友人のアパートで、ラジオからマーヴィン・ゲイが殺されたというニュースを聞き、唖然としたものでした。
Marvin Gaye "What's Going On / What's Happening Brother"
Marvin Gaye "What's Going On / What's Happening Brother"
