相次ぐ警察の裏金作りに、宮城県の浅野史郎知事が宣戦布告しました。
浅野知事は6月24日、宮城県警の捜査用報償費が適正に執行されていない疑いがあるとして、予算執行の停止を決定、県警に通知しました。
宮城県警の報償費をめぐっては、仙台市民オンブズマンが2001年度、1999年度の報償費文書の開示を浅野知事に求めて提訴し、現在、仙台高裁で係争中です。被告となった浅野知事は昨年、県警に会計文書の閲覧と捜査員の聴取を要求し、県警はいったん文書閲覧を許したものの、知事の対応を不満としてその後は認めず、対立が続いていました。
今年4月には宮城県警が、1998年~2000年度の県警の報償費などについて内部監査した結果として「適正に執行されていた」と県議会に報告。しかし、県警は、捜査協力者への聞き取り調査をしていなかったため、浅野知事は「監査の名に値しない極めて不十分、不誠実なもの」と批判。捜査員への聴取などを改めて要求していました。
警察の捜査用報償費をめぐっては北海道警や福岡県警などで不正支出が明るみに出ていますが、宮城県警は否定しています。浅野知事は事実を確認するために捜査員への事情聴取が必要だとしていますが、県警が「捜査に支障が出る」と応じなかったため、異例中の異例ともいえる事態へと発展しました。
宮城県警は拒否の理由を「文書には治安確保のため捜査協力者の氏名など重要事項が記載され、捜査活動と密接にかかわる。慎重に取り扱われなかった場合は捜査活動に支障が及び、結果的に治安の悪化につながりかねない」との主張を繰り返しています。
報償費や捜査費は、捜査に協力してくれた市民への謝礼や、市民と会った際の喫茶店代や食事代などの経費として使います。支出関連書類には、きちんと協力者の名前を書き、現金を謝礼として渡した場合はその相手の直筆による領収証などが必要とされています。
ところが、この協力者の名前が架空だったり、電話帳などから適当に拾った名前を勝手に使って、架空の書類をつくり、領収証を偽造して、警察内部に溜め込んでいくという裏金作りが相次いで発覚しています。ここ数年だけでも、北海道警、福岡県警、愛媛県警、静岡県警、高知県警など、次々と裏金作りの疑惑が報じられています。
この問題はまず、裏金作りそれ自体が厳しく断罪されるべきです。さらに県民が支払った税金の使途を県民が知ることができないという構造にもメスが入れられるべきです。
話は飛びますが、この「税金の使途を知ることができない」という構図は、何も警察の捜査費に限ったことではありません。例えば、「第二の議員報酬」との批判もある議員の政務調査費です。
政務調査費というのは、視察や図書購入など調査研究のための経費です。5月19日付の中国新聞によると、政務調査費を議員に支給している広島県内13市議会のうち、収支報告書への領収書添付を会派や議員に義務付けているのは7市議会にとどまっているそうです。透明性の確保に欠かせない領収書の扱いにばらつきがある上、領収書を情報公開の対象にしているのは6市議会で、半数以上の実態は闇の中です。
こうした実態は都道府県でも同じです。5月29日付朝日新聞によると、同社が47都道府県と14政令指定都市の実態を調査したところ、使い道を示す領収書の添付と公開を条例で義務づけているのは、たったの6府県、5市にとどまっていることがわかりました。また、政務調査費は残金があれば年度末に返還することになっていますが、5県では2001年度から4年間続けて、一度も返還がなかったそうです。
ちなみに、全都道府県・政令指定都市の2005年度の政務調査費は総額約180億円にも上ります。これだけのお金の使い道のほとんどが市民にはまったく見えません。警察の捜査費といい、議員たちの政務調査費といい、これが本当に民主主義国なんでしょうか。
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全く同感です、極秘文書でもある程度年数が経つと全部公開しなければならん戸思います。