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鮎川義助とコロムビア、ビクター2

2014-01-24 09:37:31 | 音楽
http://diamond.jp/articles/-/47645?page=2

これで17社だが、さらに日本食料工業には数十社、日本水産には13社の関係会社があり、ほかの子会社、孫会社を加えれば三井、三菱を超える巨大なコンツェルンを形成しているという。「ダイヤモンド」は「目下さらに調査中」としていた。

財閥と異なるのは、株の所有者がファミリーではないことと、大金融機関がないことである。したがって公開持株会社が最適なスタイルとなったわけで、鮎川義介は戦略としてこの方策をとった。

鮎川義介は新分野の独占利潤を追求した

 当時の「ダイヤモンド」はこう分析している。

「(略)他より資本を仰がなければならぬ。が、巨額に亘って是を金融資本に求めるには、どうしてもそれに隷属しなければならず、結局、株式公開によって群小資本家の資本を掻き集めるより外に途がない。(略)日産が多数株主に依存することが大であればあるほど、日産はどうしても配当偏重に陥りやすく、ことに資本を集積する過程にあっては高配当の維持は絶対に必要である。(略)日産が目覚ましい活動を見せている根源は、日本鉱業の収益著増に起因し、日本鉱業の躍進は金再禁止に伴う金価格の暴騰、銅、銀の昂騰からである。(略)各種の産業部門に投資し、新興事業に着目することは烈しい時代の変動を一時に受ける危険を回避せしめるとしても、利潤率低減の法則を破ることは困難であり、ここに日産コンツェルンの独占利潤への追求が必然の一路たらざるを得なくなる」(「ダイヤモンド」1935年2月11日号)

 鮎川は「ダイヤモンド」の分析記事の8ヵ月後に日蓄=コロムビアを買収する。2年後の1937年6月、日本ビクター蓄音器も買収した。つまり、レコード業界最大手の2社を手中におさめ、独占利潤を得るM&Aを実現したのである。

 ちなみに、記事中にある「利潤率低減の法則」はマルクス経済学の主要原理で、資本主義体制では競争による利潤率の低下が不可避で、やがて独占段階に至る、というものである。当時の「ダイヤモンド」記者も当時主流だったマルクス経済学を学んでいたことがわかる。

1927年、日本ビクター設立

 日蓄=コロムビアの初代社長、F.W.ホーンは明治末にホーン商会で米国製蓄音器を輸入していた。1896年には米国からグラフォフォン(?管蓄音器)を輸入している。

 1887年に円盤型蓄音器を発明したエミール・ベルリナーは、1901年にベルリナー・グラモフォンをビクター・トーキングマシンへと社名変更している。ホーン商会はこのビクター製品の輸入を行なっていた。ビクター製品についてはその後、ホーン商会が輸入し、横浜のセール・フレーザー商会が独占的に販売するようになった。

 関東大震災後、1927(昭和2)年に輸入品へ奢侈税100%が課された。価格が2倍になるわけで、競争力はなくなる。日本市場を有望とみるビクター本社は日本に直接投資することになり、9月13日に日本ビクター蓄音器が設立された。同時期に英米コロムビアが日蓄の株式の過半を買い、日蓄の別会社として日本コロムビア蓄音器を設立している。ブランドはコロムビアとなる。

つづく

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