絵本の部屋

鈴木まもる「鳥の巣研究所」別館

「身近な鳥のすごい巣」

2023年05月05日 | 鳥・巣の本

『身近な鳥のすごい巣』
鈴木まもる 文・イラスト
イースト・プレス(イースト新書Q)190ページ 1000円+税
2023年5月刊

鳥の巣にはすごい不思議がつまっている!
スズメ、ツバメ、メジロ、エナガ…日本国内の鳥を中心に36種類。
ヒナと卵を守る驚異的な工夫を、豊富なカラーイラストとともに解説。
小学校高学年から大人まで。

 

目次

 

 

 

 

 


<制作ノート>

「新書で鳥の巣の本をつくりませんか?」と編集のMさんに言われたのが、今回の本ができる始まりでした。
これまで、絵を描くことが好きで、絵で伝えたいということから「絵本」という形で発表していました。自分自身が、会社に勤めていないしギャンブルなどにも興味がなく、あんまり一般的な「大人」でないせいか、普通の大人の人が読むような本を書くという気持ちがありませんでした。「子供」が好きというのもあり、「子供」に向けての発信がほとんどでした。でも「子供」が好きだから「大人」が嫌いということではありません。
最近少しは絵本を読む大人の方が増えたようですが、それでも微々たる数です。一般の「大人」の方で「鳥の巣」を知っている方はほとんどいないと言ってよいでしょう。そんな大人の人たちに、鳥の巣のおもしろさ、不思議さを伝えたいという思いは以前からあったので、二つ返事でOKし、このプロジェクトが始まりました。
鳥の巣は、巣づくり行動やヒナの成長、環境との関係など、写真や言葉では伝えづらいということで、絵本という形がほとんどでした。でも逆に、絵本=子供が読むということで、鳥の巣の持つ、本能的、本質的な行動の重要性や、今の世の中に関わる問題など、複雑なことやむつかしいことは書けませんでした。鳥の巣で「子供」に自然や生命の不思議について伝えたいこととは別に、今を生きる「大人」の人が「鳥の巣」から感じることもあると思っていたので、原稿を書き始めました。
ところが、少し書いて編集のMさんに見せると、「新書の読者は圧倒的に50代の男性です。『~です』『~なりました』という表現ではダメです。それと個人のエッセイ的な要素も新書には合いません」ということで、今まで絵本で書いてきた「ですます調」ではない「~だ」「~である」といった文体にしてほしいという希望が出たのです。
なぜ50代の男性だとそういう文体になるのかわかりませんが、世の中がそういうものであるなら仕方ありません、郷に入れば郷に従えです。大学教授の方が書かれたような既存の「新書」を何冊か読み、参考にして、頭の中のスイッチを「大学教授風」に切り替え、新たに書き始めました。
ですから今までにぼくの本を見たり、ぼく本人に会った方で、「今までのまもると違う」と感じる方もあるかと思います。でも、別に人が変わったわけではありませんからご心配なく。
もう一つMさんから希望が出ました。「『身近な鳥』のシリーズなので、世界の鳥ではなく、日本でよく見る鳥をメインにしてほしい」ということです。世界の鳥の巣のほうが圧倒的に多様なのですが、これも仕方ありません。まずは鳥の巣の入門書ということで作ろうと頭を切り替え全体の構成を考えました。
そんないくつかの問題をクリアしつつ、オールカラーで良いということで、すごくたくさんの絵も描きました。今までの児童書の絵本とも、図鑑とも違う本になりました。
もちろん50代の男性以外の老若男女、どんな方が読んでも楽しい本になったと思っています。手軽にポケットに入れ、いろいろな場所で読んでいただけると嬉しいです。

(鈴木まもる)

 

 

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