絵本の部屋

鈴木まもる「鳥の巣研究所」別館

「鳥は恐竜だった 鳥の巣からみた進化の物語」

2022年07月11日 | 鳥の本

『鳥は恐竜だった 鳥の巣からみた進化の物語』
作・絵 鈴木まもる
アリス館 48ページ 1800円+税
2022年7月刊

いろいろな形の鳥の巣に出会って、そのおもしろさに、ぼくは夢中になりました。
どうしてこんな形をしているのだろう?
この疑問が、恐竜から鳥への進化のふしぎにせまるカギとなったのでした。
(カバーそでより)

 

とびら

 

p2-3
<はじまり>
世-界中には9000種以上の鳥がいます。
みんな巣をつくり、卵をうみ、ヒナを育てています。

巣をつくる場所は、地上、やぶの中、水辺などいろいろです。
木の穴の中に巣をつくる鳥もいれば、木に自分で穴をあけて巣をつくる鳥もいます。

もちろん、たくさんの鳥が、木の枝に巣をつくります。
(略)

 

p6-7
<恐竜と鳥>
むかしむかし、地球上には恐竜はいましたが、鳥はいませんでした。
今、鳥はいますが、恐竜は絶滅していまい、いません。
鳥は、恐竜から進化したといわれています。
恐竜も鳥も、巣をつくり、卵をうみ、子どもを育てます。
巣と卵と、子育てのちがいをしらべれば、なぜ恐竜が絶滅し、鳥が生きのこったのかがわかるのではと、ぼくはかんがえました。

p8-9
<恐竜の巣を想像してみよう>
マイアサウラなど、大きな恐竜の巣の化石はたくさん見つかっています。卵をうむ場所が、巣です。

卵は栄養があるので、きっと卵をねらう敵もいたことでしょう。
どんな親も、自分のたいせつな卵をまもろうとしたはずです。

でも、あいてが自分より大きくて強い恐竜だったら、卵だけでなく自分も食べられてしまいます。
小さな恐竜は、敵に見つかりにくいやぶの中や、水辺、木の上などに巣をつくり、卵をうんだのではないでしょうか。
(略)

*****

<制作ノート>

30年以上前、家のすぐそばのやぶで小さな鳥の巣を見つけたのが、そもそもの始まりでした。
その美しくかわいい形に魅了され、山階鳥類学研究所や鳥類学者の方のところへ行きつつ、野山で使い終わった鳥の巣を集めたり調べたりするようになりました。

日本で繁殖する鳥は約250種、世界には9000種以上の鳥がいるということで、必然的に世界の鳥の巣へと興味は広がっていきました。
今までの鳥類学の世界では、それぞれの学者さんが、研究する鳥の「巣にいくつ卵が産まれているか?」「テリトリー内にいくつ巣があるか?」「10年前と巣の数が増えたか減ったか?」と、いわゆる国勢調査的に数を数えることが主でした。もちろんそれは大切な事ですが、あまり形に興味を持つ人はなく、まして海外の鳥の巣に興味を持つ方はいないようでした。

自分は絵を描き、物を創る人間なので、「なんてかわいくて美しいのだ、どうやってつくるのだろう?」「なぜアフリカには10mもある巣や、偽の入り口のある巣があるのだろう」と、今までの鳥類学者の方と根本的に違う興味で鳥の巣の世界に迷い込み、アフリカや中米、ニューギニアなどの密林をさまよい、海外の鳥の博物館に足しげく通うようになりました。
(もちろん巣だけではなく鳥本体も大好きです)

鳥の巣というと、ボサボサで汚いとか、フンで汚れているとか、マイナスのイメージが多いですが、親鳥が卵を産み、ヒナが育つ大切な場所で、鳥にとってなくてはならないものです。その大切さ不思議さ、美しさを伝えようと、鳥の巣の展覧会をしたり、絵本を描いたりするようにもなりました。
そして今回、「なぜキムネコウヨウジャクの巣の形が妊婦さんのおなかの形とそっくりなのか?」ということをテーマに絵本にしようと取り組み始めました。

鳥の巣の形態の変遷を知るために調べ始めると、鳥が出現する恐竜時代までさかのぼることになり、改めて恐竜の世界から調べ始めました。すると、いまだわからないこと、知られていないことがたくさんあり、それらを調べるほどに、「これはひょっとして、鳥の巣は恐竜学も鳥類学も気づいていなかった、ミッシングリンクのようなものではないか…」ということを感じ始めました。

恐竜学の世界では、発見された化石からいろいろな推察をします。鳥類学の世界では鳥と卵の研究はされています。でもどちらも、鳥の巣の研究はされていないから、「なぜ、恐竜が飛べるようになったのか」「なぜ、巨大隕石が衝突した後、恐竜は絶滅し、鳥は生き延びて今の世界に生きているのか」が謎のままだったのではと確信するようになりました。
鳥の巣というピースをはめ込むと、すべての謎が解決できるのではと、今回の絵本となりました。

だれにも教わらず本能の力で作る鳥の巣。なぜ鳥の巣を作るようになったのか、どうしていろいろな形になっていったのか? それは単なる気まぐれで作ったわけではなく、一番大切な、子孫を残すという生命の強い動機から作りはじめ、世界の多様な環境への適応だけでなく、進化という時間の中で形成されてきたのだと思います。
自然の形態で、意味のない物はありません。
鳥が先か卵が先か? と言われますが、鳥の巣が先なのだと思います。
化石になっていなくても、今、鳥が作っている鳥の巣は、いろいろなことを教えてくれているのだと思います。
                  
鈴木まもる

 

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「巣箱のなかで」

2018年07月03日 | 鳥の本

『巣箱のなかで』

鈴木まもる作・絵 
あかね書房 32ページ 1300円+税 
2018年7月 (7月20日ごろ発売予定) 

巣箱のなかは、ひとつの美しい世界でした。
宝石のような卵から、新しい生命が動きはじめます。
(初版オビより)

シジュウカラが、巣箱で巣づくりをはじめました。
卵からかえったヒナたちが、わずか20日間で
巣立ちをむかえるまで…
巣箱のなかで、おや鳥とヒナたちは、
どんなことをしているのでしょう。
(カバーそでより)

とびら


ある日、からっぽの巣箱のなかに、
コケがすこしはいっていました。
シジュウカラが、この巣箱で巣をつくりはじめたのです。

 

1日1つずつ、卵はふえていきました。
4こ 5こ 6こ 7こ


ヒナがすこししっかりしてきたので、5日めころから
おかあさん鳥も そとにえさをとりにいくようになりました。


おなかのすいたヒナは、とうとう巣箱のいりぐちから
おや鳥のほうにむかって、とびたちました!

(上の文章は一部抜粋です)


裏表紙


<制作ノート>

山の中に暮らし始めた最初の春。
枝にとまった小鳥が、ぼくになにか訴えるように鳴き始めました。
どうも「はやく巣箱をつくりなさい」と鳴いているように聞こえるので、
その辺にある板で巣箱を作り、木の幹に取り付けました。
すると、その小鳥が巣箱にとまり、コツコツ点検するようにつついた後、
入り口から巣箱の中に入りました。
「アッ、やっぱり巣箱が欲しかったんだな」と嬉しくなりました。
それがシジュウカラさんとの出会いでした。

それから毎年、家の周りにいくつも巣箱をつけ観察するようになりました。
巣箱の中からヒナの声が聞こえてきたり、えさを運ぶ親鳥を見たり、
巣立ちの日、何時間も巣立てないヒナを見守ったり、
やっと巣立ったヒナが、まだうまく飛べず、ぼくが見ている窓から
家の中に着陸したこともありました。
もちろん何度かヘビに襲われヒナが食べられてしまったこともありますが、
うまく巣立ったヒナたちが親の後にについて飛び回るのを見ることは
とても嬉しく楽しいことでした。

でも、巣箱の中で親鳥とヒナたちがどんな暮らしをしているかは
見ることができません。
ある日、『そうだ、うしろの板を付けない巣箱を窓につけたら、
中でなにをしているか見ることができるかもしれない』と思い、
屋根裏の窓に巣箱を取り付けました。
でも最初の年は入りませんでした。
「やっぱり家の窓につけたのだと、用心して入らないのかなあ」
と思いましたが、そのままつけっぱなしにしていました。
そして翌年、巣箱の中にコケが入っていたのを発見したのです。
もしも親鳥が気づいて、巣を放棄したりしてはいけない、という心配から、
いつも、すごく気を付けて、小さなすき間から息をひそめて観察しました。
だれに教わることなくえさを運び、ヒナの世話をする親鳥。
壊れそうな小さな卵から産まれた赤裸なヒナたちの強い生命力。
小さな入り口から差し込む、わずかな光の中で見た神聖な世界を描きたく、
この絵本を創りました。
(鈴木まもる)

 

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巣箱のなかで
鈴木まもる
あかね書房 2018年

 


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The Secrets of Birds' Nests

2017年12月01日 | 鳥の本

The Secrets of Birds' Nests 

Mamoru Suzuki 

Western Foundation of Vertebrate Zoology 
32pages  2018 

『鳥の巣いろいろ』(偕成社 2005年)のアメリカ版です。 
English version of  "Torinosu Iroiro" (Kaisei-sha 2005)

 

 

 

 


Japanese version is availble at Amazon.co.jp

鳥の巣いろいろ
鈴木 まもる・作絵
偕成社 2005年

 

 

 


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「鳥の巣つくろう」

2017年04月17日 | 鳥の本

   

「鳥の巣つくろう」

鈴木まもる作
岩崎書店 32ページ 1000円+税

2017年4月30日

鳥の巣は、鳥にとって家ではなく、安心して卵を育てる場所です。
それぞれの鳥が、子育てのために工夫をこらした結果、
とても鳥がつくったとは思えない美しい造形になっているのです。
まさに自然の驚異!

クリスマスリースをつくる感覚で、自由に鳥の巣をつくってみましょう。
鳥がどんな気持ちで巣を作るのか、
卵やヒナをどれだけ大切にしているのかがわかってくることでしょう。
カンタンにできて、とってもステキなオブジェのできあがり!
(初版オビより) 

もくじ

<鳥の巣とはなにか>
 早成性の鳥の巣
 晩成性の鳥の巣
<自然コース>
・おわん型の鳥の巣
・大きいおわん型の鳥の巣
・さら型の鳥の巣
・卵をつくろう
・鳥をつくろう
<工作コース>
・巣箱
・本物の鳥の巣を見つけたら
<芸術コース>
・ニワシドリみたいなものをつくろう 

 
 

とびら

 

p8-9

 

 

p10-11

 

p18-19

 

p20-21

 

裏表紙

 

<制作ノート>

今回は鳥の巣のまったく新しい方向性の工作本。
この表紙の巣も本物ではなく、ぼくが作ったもので、
卵らしきものも、ただ色紙を丸めたものです。
まず鳥とはなにか、なぜ鳥は鳥の巣をつくるようになったのかから始まり、
ヒナの成長の違いにより、早成性、晩成性があり、
それが巣の形態にどう影響するかという、
生物学的に大切なことをわかりやすく書いて、
あとは枯草、コケなど自然素材を使って
おわん型の鳥の巣を作ったり、平べったい皿形の巣を作ったり、
布や毛糸、色紙などいろいろな素材を自由に使って作ったり…
もっと自由に、ニワシドリ的なオブジェを作ったり…
というお料理本みたいな本。

本物の卵の標本や巣箱の作り方、
本物の鳥の巣を見つけたときの対応の仕方など等々、
鳥の巣をモチーフに、いろいろ自由に作ろうという本です。

幼稚園くらいの子供さんから作れるし、
みんなで大きな巣を作ってもよいし、
造形教室や美術を学んでいる学生さん、
バスケタリーやリース、生け花に興味のある人、
自然が好きな人、現代美術や芸術を志す方などなどなど…
いろいろな人が見て、鳥さんや自然のことを感じたり、
ゆっくり自然に生きる、ちょっとした試みになったり、
物を創る根源的なものを感じたり、作ったものを家に飾ることで、
心の平静につながることを願って作りました。

今回は扱いやすさを考慮してハードカバーでない分、定価が下げられたので、
是非自由にいろいろ作る参考にしてください。

(鈴木まもる・ブログ「草刈り薪割り日記」から転載)


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鳥の巣つくろう
鈴木 まもる
岩崎書店

 

 


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「わたり鳥」

2017年03月08日 | 鳥の本

   

「わたり鳥」
鈴木まもる 作・絵
童心社 40ページ 1500円+税
2017年3月15日

はるになると、みなみのくにから やってくる わたり鳥たち。
ちずもみないで とんできて、うまれたところに かえってきます。
せかいの わたり鳥の いのちの ものがたり。
(カバーそでより) 

 

とびら

 

 p6-7

チュウサギのようにおおきな鳥、サンコウチョウのように
しっぽのながい鳥、ヤブサメみたいにちいさな鳥もいます。
ヤイロチョウやクロツグミ、オオジシギなど、いつもはみられない鳥や、
ウズラのようにいつもはあまりとばない鳥も、うみをわたってくるのです。 

 

p8-9

みなボルネオ島、マレーシアなど、5000キロもはなれたところから、
ちずもみないで、それぞれがうまれたもりやのはらにかえってきて、
すをつくり、たまごをうみ、ひなをそだてているのです。 

 

p14-15

イギリスでは、日本とおなじしゅるいのツバメが、
10000キロもはなれたアフリカのはしからとんできて、
すをつくっています。
 

p16-17

もちろん、ツバメだけではなく、たくさんの鳥たちが、
アフリカのさばくをこえ、ヨーロッパやシベリアまで
とんでいくのです。

 

p20-21

アメリカにだってわたり鳥はいます。
350しゅるい、30おくわいじょうの鳥たちが、
中央アメリカや南アメリカから、やまをこえ、
うみをわたり、北アメリカにとんでいくのです。

 

p32-33

ほっきょくでうまれたキョクアジサシは、なんきょくまでいき、
またじぶんがうまれたほっきょくのそうげんまで、ちきゅうを
ぐるっと35000キロもとんでかえってきます。

(引用文は本文の一部です)

 

裏表紙

 

  

<制作ノート>

10年以上前、東南アジアに鳥の巣を探しに行った時のことです。
早朝散歩をしていたら、ものすごく気持ちよさそうにツバメさんが
ビュンビュン飛び回っていました。
「そうか、ツバメさんは日本にいるだけじゃないんだ」と感じたのが
心の中で広がって、今回の絵本につながった気がします。

前作「ウミガメものがたり」同様、今回もコマ割りにしたり、
横長画面を使ったり、さらに本全体を縦に使ったり…と、
絵本ならではの形にしようと楽しく作りました。
世界中の空を鳥さんたちが飛んでいくのは巣作り子育てのため。
だから、それを追って、ぼくも鳥の巣を探しに世界に行く訳です。
前作は32ページだったのですが、どうしても内容的に
32ページにまとめるのはきついということを出版社が理解してくれ、
40ページだけど、値段は前作と同じにしてくれました。
感謝感謝です。

<著者インタビュー> →こちら(童心社HP) 

 

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わたり鳥
鈴木 まもる
童心社

 


シリーズ既刊

ウミガメものがたり
鈴木 まもる
童心社

 

 


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「生きものたちのつくる巣 109」

2015年10月16日 | 鳥の本

「生きものたちのつくる巣 109」

鈴木まもる 文・絵
エクスナレッジ 160p 2200円+税
2015年10月

家をつくるのは人間だけではない。
巨大な鳥の巣から、小さな深海生物がつくる巣まで、
いろいろな生きものたちがつくるさまざまな巣
全109種類を美しいイラストで紹介。

鳥以外の生きものも巣をつくる。
にせの出入り口のある巣(アフリカツリスガラ)
青いものを集めるコレクター(アオアズマヤドリ)
巣の出来ぐあいをメスがチェック(キムネコウヨウジャク)
踏んで踏まれてなかよく暮らす巣(ハダカデバネズミ)
レタスのような形の巣(ヤマネ)

(初版オビより) 

 

 とびら(セアカカマドドリの巣)

 

 

シャカイハタオリの巣

 

 

 

ワニの巣

 

ビーバーの巣

 

 

ヤマネの巣

 

 

シロアリの巣

 

裏表紙(アカハナグマの巣)

 

   

オビつき

 

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生きものたちのつくる巣109
鈴木 まもる
エクスナレッジ 2015年

 

 


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「ぼくのたからもの」

2015年07月16日 | 鳥の本

「ぼくのたからもの」

鈴木まもる・作絵
アリス館 32p 1400円+税
2015年6月

ぼくの家に、メジロが巣をつくった!
なんだかにてる、かあさんのおなかと鳥の巣。

「かあさんの おなかのなかの ポンポンちゃんとおなじで、
もうすぐ あかちゃんが うまれてくるんだね」
とりのすも まるいし、かあさんの おなかも まるい。
なかに あかちゃんが はいっているのも おんなじだ。 

(初版オビより)

 

 

とびら

 

かあさんの おなかのなかには あかちゃんがいて、
もうすぐ うまれてくるんだって。
たのしみだなあ。
(p2-3)

 

とりさんが なにか コソコソ つついている。
なにをしているんだろう。
(p6-7) 

 

かあさんは ミミちゃんに おっぱいをあげる。
メジロさんは むしを とってきて ヒナたちに あげている。
(p16-17) 

 

 

とりのすで うまれた ちいさな とりさんたち。
しっかり そらを とべるようになりました。
(p30-31)

*文は一部抜粋です。

 

裏表紙

 

<制作ノート>

秋になって、庭の桜の木の葉が落ちて、枝の間に小さな鳥の巣を見つけました。
ヒナが巣立った後、雨や風に当たり、半分壊れかけていましたが、
丸くて、とてもかわいいメジロの巣でした。

夏に葉が茂っている間、まさかメジロがそんな近くで、巣を作り、
卵を温め、ヒナを育てていたなんて思いもしませんでした。 
ぼくがご飯を食べたり寝たりしている時、小さなヒナたちも、
小さな巣の中で親からエサをもらったり、ぎゅうぎゅうになって
寝ていたのかと思うと、心がとても温かくなりました。

そしてその小さな巣のとてもきれいにできていることと言ったら感心するばかりです。
クモの巣から糸を運び、回転しながら巣材のシュロなどを積み上げ形を整えて、
二股の枝の間にかわいいお椀型を作ります。
人間はろくろを回してお椀を作りますが、鳥は自らが中心で回ってお椀型の巣を作り、
見つからないようカムフラージュに巣の周りにコケをくっつけているのです。

それらを親にも誰にもおそわらず作っているところに自然の不思議を感じました。
そんな一方、雨の日や風の強い日はどうだったんだろう、
小さいヒナが風で飛ばされたり落ちたりしなかったろうかと心配になりましたが、

手の中の小さな巣はなにも語ってくれません。
そんな手の中のメジロの巣を見ていて、できたお話です。
身近にいる鳥たちが、人の暮らしているすぐそばで、だれにも教わらず、
小さな生命を産み育てていることを感じてほしく絵を描きました。

(鈴木まもる) 

 

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ぼくのたからもの
鈴木 まもる
アリス館 2015年

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「世界655種 鳥と卵と巣の大図鑑」

2014年05月01日 | 鳥の本

「世界655種 鳥と卵と巣の大図鑑」

吉村卓三・著 鈴木まもる・絵と構成
ブックマン社 388P 25000円+税
2014年5月

史上最大エピオルニスから、世界最小マメハチドリまで!
色、模様、大小様々な国内外の鳥の卵を
実物大オールカラーで掲載。
緻密に描かれた親鳥、巣のほか、生態や営巣、
おもな生息場所などの基本情報もこの1冊に。
(初版オビより)

 

 

見返し

 

 

とびら

 

 

 

 

 

 

 

<制作ノート>

長径33㎝、短径25㎝。
絶滅した世界最大の鳥 エピオルニス(エレファントバード)の卵!
この卵をマダガスカルで発掘したのが、著者の卵コレクター吉村さんで、
これは安孫子の鳥の博物館に行けば実物が見られます。
よく見ると同じページには、世界最小のマメハチドリの卵。
長径7.5㎜、短径5㎜。
この後、やはり絶滅したモアから、現在最大のダチョウに始まり、レア、ヒクイドリ、
ペンギン、ペリカン、キーウィ、シギダチョウ……と続いていくのです。

当然ワシやフクロウ、サギとか皆さんご存知なのは出てくるし、
チャクビモリクイナ、アカガシラソリハシセイタカシギ、ジャマイカコビトドリ……
なんて、そんな鳥いるの? というような鳥も出てくるし。

オオウミガラスとか、トキ、オガサワラカラスバトなど、
絶滅してしまって、なんでそんな卵の写真があるの?
というような鳥もいろいろ出ています。

オガサワラカラスバトなどは現在世界に4体しか標本が残っていなくて、
イギリスの大英博物館、ドイツのゼッケンブルク博物館、
ロシアのサントペテルブルグ博物館に各1体ずつあるけれど、
もう1体所在が不明という、ミステリー・サスペンス・スパイ映画
になってしまうようなものまであって……

延々と369ページまで、卵は実物大の写真。
吉村さんが持っているのもあれば、3年前、アメリカのWestern Foundationに
一緒に行って写真を撮ったものもあります。
鳥と巣は、ぜ~んぶ、まもるの絵なのです。

さらに、とても変わった鳥の巣ということで、
アフリカツリスガラとか、セアカカマドドリとか
鳥の巣の展示ではおなじみのメンバーも最後に出ているし……
見返し(表紙の裏)にも、これでもかと卵の絵。
なにしろたくさんたくさんたくさん描きました。

で、それぞれに、和名、英語名、学名、目、科、全長、一腹卵数、
抱卵日数、卵のサイズ、卵の特徴、巣と繁殖について、生息場所、
などのデーターがついていて、「フィンランドの国鳥」などといった、
ちょっとしたエピソードまでついているのです。

で、絵を描くだけではなくて、それらを、ぜ~んぶ調べに調べまくって……
やっと出来上がった!というわけです。

世界にはいろいろな環境があり、いろいろな鳥が生きている
(この本を作っている間にも何種かは絶滅しているかもしれないし、
あと数羽しかいないなんて、ほとんど絶滅のも多いです。
皆人間のせいなのですけど……)

そんな世界の自然の不思議、生命の多様性を感じていただければ嬉しいです。
といっても、世界には実際9000種以上の鳥がいるので、
まだまだまだまだまだ、これ以外にも約8500種もいるのだから
まだまだ描いていきましょう。
そんな鳥さんたちが生きていられる地球でありますように。

(ブログ「草刈り薪割り日記」より抜粋)

 

☆この図鑑は一般書店の店頭には置かれていません。
内容見本パンフレットあります。ご希望の方にさしあげますので、
サイドバーの「メッセージを送る」から
お名前・ご住所・メールアドレスをお知らせください。  

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世界655種 鳥と卵と巣の大図鑑
吉村卓三・鈴木まもる
ブックマン社

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「ニワシドリのひみつ」

2014年04月01日 | 鳥の本

 

「ニワシドリのひみつ 庭師鳥は芸術家」

鈴木まもる=文・絵
岩崎書店 40p 1600円+税
2014年4月

産経児童出版文化賞JR賞受賞

子どものころ、森のなかで青いものをあつめたり、
小人の家のようなものをつくったりする鳥がいることを知り、
とてもふしぎに思いました。
そのふしぎのひみつをもとめて、ぼくは
オーストラリア、ニューギニアへ出発しました・・・
(カバーそでより)

 

とびら

 

p.2-3

 

p.4-5

 

p.8-9

 

p.38-39

 

後ろ見返し

 

<制作ノート>

いつのころからか覚えていませんが…
子供のころ、なにかの本でニワシドリのことを知りました。
昔のことなので、不鮮明な写真ですが、
鳥が青いものをくわえているようなものだったと思います。

なんでそんなことをするのか全く分からず、
ただただ不思議な鳥がいるものだなあと感じました。

小さいころから絵を描くのが好きだったから、
クレヨンの箱からクレヨンを選んでいることと
同じようなことを鳥がしているので親近感を持ったのかもしれません。

ぼくの心の中では、UFOとネッシーと、ナスカの地上絵と
イースター島の巨像、海の怪獣シーサーペント、雪男、
未開の地にまだ生きているかもしれない絶滅していない恐竜に並ぶ
世界の7不思議みたいな存在でした。

現実社会に生きながら、いつも心に未知なる神秘を
感じさせてくれる希望の光のようなものでした?
(ネッシーは残念な顛末でしたが……)

そうして絵本を描くようになり、山の中で暮らし、
鳥の巣を見つけ、”鳥がつくる”ということで
ニワシドリと現実的に再会することになりました。

昔より情報が多くなり、青いものを集めるニワシドリ以外のニワシドリが作る
”あずまや”も知れば知るほど、その造形の魅力と不思議が増すばかりでした。

やはり、どうしても実物を見なければ、という思いが強まり、
オーストラリアに行くことにしたのですが、ガイドさん探しから難航。
それでもなんとかオーストライアで4種の”あずまや”を見れました。

オーストラリアのガイドさんに
「ニューギニアは危険だから絶対行くんじゃない」
と言われたのですが、
翌年ニューギニアに行き、新たに3種見ることができました。
もう1種狙っていたのですが、
「その鳥は、この方向に3日間山の中を歩けば住んでいるぞ」
というすごいところで、
ヘリコプターを借りようかと真剣に迷ったのですが、
日程的に無理ということで、断念しました。

この時点でH社の月刊誌「たくさんのふしぎ」で「ニワシドリ」として発表したのですが、
編集方針から、あまり踏み込んだところまでいけず、
こんな不思議な鳥がいますよという序章的な作品となりました。

ぼく自身も、見たいと思っている、一番大きな”あずまや”をつくる
チャイロニワシドリの”あずまや”を見ていなかったし、
まだ”あずまや”づくりに対して、わからない部分もあったのです。

アオアズマヤドリの”あずまや”の小型のタイプを作るフウチョウモドキ系と、
オオニワシドリ系のマダラニワシドリのは造形的な部分で似ているというのと、
パフォーマンス的側面が強いパプアニワシドリの”あずまや”は
造形として、ちょっと違うということで、見ないでも良しとして、
最後に、一番大きな”あずまや”をつくるチャイロニワシドリは、
どうしても絶対見たいと思っていました。

でも調べてみると、チャイロニワシドリが住むニューギニアの左側イリアンジャヤは
国でいえばインドネシアなのですが、日本から飛行機で行くことができない地帯なのでした。

飛行機会社間でつながりがあれば、乗り継ぎ乗り継ぎしても、
最終的な目的地まで荷物は一緒に運ばれますが、
この一帯は、島が多く、小さな飛行機での行き来が多く、イリアンジャヤへは
小さな飛行機に3回乗り換えしないといけないところで、
それらは日本から切符が買えないのです。
何社かの旅行会社に聞いたのですが、「そこから先は買えない」という返事で、
さすがに、あきらめるしかないかと思っていたのですが、

マレーシアの知り合いのガイドさんが、
「現地で航空券を買いながら行けば良い、一緒に行ってあげるよ」
ということで、とうとう行くことができるようになったのです。

ここから、また現地のガイドさん探しでたいへんだったのですが、
なんとかクリア、飛行機を3回乗り継ぎ、そのたびに荷物を出し入れし、
(案のじょう、マレーシアのガイドさんの荷物が途中でなくなりました)
とうとう、ニューギニアから3年後、
チャイロニワシドリが住むイリアンジャヤ、アルファク山にたどり着けたのです。

ということで、見たかった”あずまや”を全部見て、
さらにフウチョウの行動、”踊り場”を見ることで、
さらに”あずまや”づくりの本質に迫ることができました。

前回の月刊誌の構成も全部変え、さらに新たな絵を描き、出版社も新たにしました。

出版してくれた岩崎書店の編集長のM岡さんは、前からニワシドリに興味を持っていて、
構成や組み立てで、たくさんのアドバイスをいただきました。

他の部署の方やデザイナーさんたちも、興味を持ってくれ、
そんな皆さんの熱意の後押しで、とうとう完成にこぎつけました。

絵だけでなく、最後に実物の写真も出ています。

今までは、変わったことをする鳥がいますよ、とか、
”あずまや”の周りでのニワシドリの行動や、
大きな”あずまや”をつくるニワシドリは羽の色が地味、
という程度でまとめられていたニワシドリの”あずまや”。

今回、”物を作る”という視点でまとめてみました。
ただ変わったことをする鳥がいますよという事だけでなく、
物を作ることの根源的な意味、鳥の巣との関係、
自分が作っている絵本との関係
(それはすべての人がしている職業にもつながることだと思います)。
自分がなぜ、子供のころから魅かれていたのか?
前回の月刊誌ではできなかった踏み込んだ内容になり、
今までのニワシドリの本とは違ったものができたと思っています。

そんなもろもろまで感じていただけると嬉しいです。

1カ所、原稿ではちゃんとなっていたのが、最後で文字化けしてしまい、
「オウゴンニワシドリ」が「オオゴンニワシドリ」になっています。
お許しください。

(鈴木まもる)

 

 

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ニワシドリのひみつ (ちしきのぽけっと)
鈴木 まもる
岩崎書店

 

 


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「おじいさんとヤマガラ」

2013年02月28日 | 鳥の本

「おじいさんとヤマガラ 3月11日のあとで」 
鈴木まもる・作絵 
小学館 32p 1400円+税 
2013年3月 

おじいさんは、むしや とりや どうぶつが だいすきです。
ふゆになると、いえのまわりに 6この すばこを とりつけます。
まいとし、ヤマガラがやってきて、
ヒナがそだつのが たのしみなのです。
このふゆも おなじように すばこをつけました。
……
あの じこのあと、おじいさんは
しんぱいで しんぱいで しかたありません。

(カバーソデより)


被災地の復興や自然が回復することはもちろん、
人間や健気に生きる野生の鳥や動物たちすべての
生命の強さを願って、この絵本を描きました。

(著者あとがきより)

 

とびら

 

 

 

 

裏表紙

 

 

スズメなど、普段お米など植物系の物を食べる鳥も、ヒナには虫を与えます。
栄養価が高いからで(子どもが大根の煮たのよりハンバーグが好きなのと同じです)
鳥がなぜ春に巣を作るかというと、
卵から孵ったヒナたちが食べる虫がたくさんいるころにあわせてあるからです。

福島などでは、ふつう5月頃から鳥たちの繁殖期になるそうです。
福島第一原発の事故は3月でした。
そのあと春になり、鳥たちはいつも通り鳥の巣を作り、卵を産み、
卵から孵ったヒナたちにえさをあげたのでしょう。

えさの違いから、鳥の種類によりヒナにえさをあげる回数は違うようです。
蛾など羽のある虫を主にあげるシジュウカラは1日900回以上も
ひなに虫を運んだという記録があります。
青虫をあげるヤマガラは300回。
それぞれの鳥たちが何度も何度も、ヒナたちが大きく元気に育つように
えさを運んだことでしょう。

人は、放射性物質が付いた葉を牛が食べたとわかれば牛を食べないようにしました。
でも、鳥はそんなことわかりません。いつも通り、ヒナにえさの虫を運んだことでしょう。
なんども なんども なんども……

一昨年3月11日の事故の後、ずっと、そのことが気になっていました。
ただ、行って調べるわけにもいかず、(不審者と間違われるし、立ち入り禁止なので)
また、過去のデーターもないし、どのくらいの影響があったかはわからないままでした。

でも、影響がないわけはありません。
東電が「今回の事故で、人は死んでいません」とテレビで言っているのを見るたび、
鳥や動物、虫など、他の生命のことをなにも考えていないことを
「それは違うだろう」と思っていました。

鳥の巣に関わる者として、腹立たしい気持ちが、なにかしなければという思いになり、
ずっと心の中にたまっていき、
鳥の巣の展示や原稿の依頼があった時など、そのことを文章で書いていました。
それが1年くらいたったころ、「そうだ絵本にしよう」と思いました。
アジテーションではなく作品化したいという気持ちになったのでしょう。

最初は、鳥たちの生態から、今回の事故のいきさつを述べて……
という展開でダミーを作りました。
自分では良いと思ったのですが、見てもらうと、どうも、そのまますぎて、
作品として成り立っていないようでした。

その後、紆余曲折、東奔西走、福島にも足を運ぶ中でいろいろ、いろいろあって、
ようやく今回のかたちになりました。

ざっくり手描きの温かい感じにしたかったので、画材は色鉛筆。

これを書いていて、窓の外が明るくなり、ウグイスが鳴きはじめたバサラ山ですが、
東日本の山々の鳥さんたちのことを思うと、
すんなり春の喜びに浸れないことが、もどかしくつらい……3月8日朝。
 

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おじいさんとヤマガラ: 3月11日のあとで
鈴木 まもる
小学館

  


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