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木造防音室には珪藻土は使わない

2019-07-16 08:56:02 | 防音情報
珪藻土ほどあいまいで効果が拡大解釈されている素材は少ないと思います。

調湿効果についてはベテランの左官職人でもわからないと言います。それに珪藻土の製品は純粋な珪藻土の含有率が5~50%と非常にばらつきがあり、わずか数ミリの塗り厚では効果は限定的でしょう。

音響についてもPB・塗装仕上げよりは反響が少ないというだけで、特段の音響・防音効果を期待することは無理です。
専門の音響化粧板や無垢の板材の音響効果と比較するのは無理があります。あくまで、色合いやテクスチャーなどを楽しむものとして考えたほうが無難です。

問題なのは、珪藻土が化学物質を分解するという誇大広告です。そのような効果は科学的に証明されていません。
むしろ、いったん吸着した化学物質を、室温の上昇とともに再度、室内に放出するという事例が報告されています。防音室のような気密性の高い室内には安易に使用しないほうが良いでしょう。

そもそも、珪藻土の含有率が10%程度のものを珪藻土と呼べるのかという問題もあり、非常に誤解されやすい製品が市場に出回っています。
メーカーのデータは自社の計測データが殆どであり、公正に比較・分析したデータではないことが多く、十分留意が必要です。

ちなみに、珪藻土はボードなど下地がないと塗れません。しかも下地に使用されている接着剤やボードなどに含まれている化学物質を透過してしまうので、吸着しきれないものは室内に出てきます。

ある木造ピアノ教室の相談事例ですが、専門業者がF☆☆☆☆の柔軟性接着剤で石膏ボードを二重に貼り合せて防音室を造り、そのうえから珪藻土を塗りました。
数日後に、教室の児童生徒が「目がちかちかする、頭が痛くなる」という症状を訴えたということで、これはシックハウスと同じです。
現行の法的な基準をクリアしていても、化学物質を多量に含んだ接着剤の揮発を珪藻土は吸着しきれずに、室温が高くなった段階で化学物質を放出したと考えられます。

このピアノ教室は使えなくなったそうです。珪藻土の限界やリスク(安全だと過信すること)と言えるかもしません。ですから、気密性の高い防音室に珪藻土を使わないように施主や取引先には忠告しています。

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