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刺激的安楽日々

本、映画、ドラマ、料理や日々の雑感

パパと呼ばないで 第23話

2009年04月07日 | TVドラマ・映画関連

●第23話「ブルー・カナリヤ」あらすじ
脚本:向田邦子 監督:田中知巳
幼稚園の友だちからカナリヤを譲り受けたチー坊(杉田かおる)。愛猫のニャロメがいなくなり、新しい
ペットが飼えると大喜び。だが米屋のおじさん(大坂志郎)は、小鳥だけは飼ってくれるなと厳しく言う。
右京(石立鉄男)はおじさんから食べ物商売の事情を聞き、納得した。だがチー坊は諦めきれずにいる。
しょげかえるチー坊を不憫に思った昇(小林文彦)は、“ある場所”にカナリヤを隠そうとする。


●かわいい小鳥も嫌われ者。めぐりめぐって……
おじさん(大坂志郎)が小鳥を飼えないと言った理由は、商売上のことだった。昔、飼っていた文鳥の
フンが米の中に侵入し、お客さんに迷惑をかけてしまったからだ。食べ物を扱う事情をわかってくれと話され、
右京はすぐに納得する。
そしてカナリヤは治子(富士真奈美)の魚屋へ。だがここでも金造(花沢徳衛)の都合でダメになる。
「俺、鳥ダメなんだよ。あの目玉がおっかねぇんだよ。鳥の目ってのは一皮まぶたでよォ、ギロッて壊れた
西洋人形みてぇに下から上へいくだろ。アイツを見るってぇと俺ァ、体中総毛立っちまってメシも仕事も……」
という怖がりよう。
次にカナリヤは園子の美容院へ。ここでも鳥アレルギーのお客さんのクレームによって却下された。
そして最後はおでんやの若松へ。同じく鳥アレルギーの客(ケーシー高峰)に絡まれ、右京は再び米屋へと
持ち帰る。かくしてカナリヤは元の飼い主に戻されることに決定する。
今回のドラマを見ていて「あれ、ネコは良かったの?」と思ったのは私だけだろうか?
ニャロメのときは食べ物商売の米屋といえど、何も問題視されなかった。
ネコの方がその辺に毛を撒き散らしてよっぽど悪影響のような気がするのだが。
昔はネコは外に出歩き、家にいるのはエサをもらうときだけという感じだったのかもしれない。
文鳥は放し飼いにしてフンもしただろうけど、鳥かごの中で飼うカナリヤはそれほど神経質にならなくても
いいというのが、おじさん以外のみんなの意見だった。おじさんは、商売上の痛手が忘れられなかったのだ。
またそのことを教訓に真面目にやってきたことは尊敬に値する。頑固だけれど、わかってもあげたい信念。
みんな、そこのところで微妙だったのだろうなと思う。

●昇とチー坊、ほのぼのコンビ再び
第18話「聞いてくれるなおっかさん」で、昇(小林文彦)とチー坊のとてもいい関係が描かれた。
昇はチー坊を本当の妹みたいに可愛がっている。だから今回のチー坊の切ない気持ちに対しても、なんとか
してやりたいと思ったのだろう。父親代わりの右京とは違った、もっと子供同士としての愛情であり友情だ。
チー坊はたくさんの大人に囲まれている中、昇という「大きなお兄ちゃん」としての中間的存在がいることで、
随分楽しく過ごせているのだと予想できる。
昇は船着場にある古い小屋にカナリヤを隠し、チー坊と二人で内緒でエサをやりに行く。その姿が実にほのぼのとし、
二人だけの秘密っていいなぁと思ってしまった。自分たちがすごく特別なことをしているような、
そんなワクワク感があるからだ。

●死の残酷さを知っているのは右京だけ
右京は、昇とチー坊が飼い主に返すはずのカナリヤを小屋の中に隠している様子をのぞき見た。
二人が帰ったあと小屋の中に入ってみると、鳥かごの薄いカバーの上からは、防寒のためにセーターがかけられている。
「俺のセーターじゃねぇか!」と右京は憤慨し、とりあえず自分のものだけは返してもらう。
そして翌朝、二人より早くカナリヤの様子を見に小屋へ向かう右京。だがカナリヤは死んでいた。
ドラマの中ではっきりと言及されてはいないが、どう考えても右京が鳥かごの防寒用セーターを持ち帰ったからに違いない。
ひょっとしたらセーターをかけていても寒さで死んでいたかもしれないが……。
だが右京は自分の罪を意識し、せっせとお墓を作ってやる。そしてチー坊が悲しまないよう、身代わりのカナリヤを
小鳥屋で調達し、鳥かごの中に入れておいた。
あとでそれを見たチー坊は、「あ、ピーコずいぶん大きくなったわねぇ。カナリヤって外で飼うと太るのかしら」と
屈託のない笑顔を振りまく。
結局、カナリヤは内田(江守徹)の家で落ち着くことに決まった。
だが預けられるカナリヤが身代わりだということは誰も知らない。
右京ひとりが胸を痛めることとなる。