Come and Smile with me!

こちらのブログは引越しました。今後は最新記事に記載したURLにてお目にかかります。長い間、大変ありがとうございました。

GERRYにVOTE!!(応援要請)

2005年04月30日 | オペラ座の怪人
海外で、こんなのやってます!
いわゆる人気投票ですね。

方法はカンタン。
Gerryの写真の下の「VOTE」をクリック。
15分に一回、投票できます!
5月31日までだそうです。

"Weekly Most Attractive Man"
sponsored by "Hello Magazine"
(GBnetからの引用です!)

パソコン立ち上げたら、まずこのページを開いてVOTE、
誰かさんのブログに行って一通り読んだらまたVOTE、
他の方のブログに行って読んだらまたVOTE、
・・・と、ポチッ、ポチッとやってください(^O^)。

あ、ご自分のブログをお持ちの方、
よろしかったらそちらでもVOTEを募ってください。
上記文章、コピペしてくださってOKですので。
よろしゅうに。

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KISSに注目。

2005年04月30日 | オペラ座の怪人
4月29日。日劇PLEX3にて一週間ぶりの鑑賞。
何回目か?・・・もう忘れました(笑)。

今回、ふと、いつもにもまして、とても意識して
観てしまったのが、ラストのキスシーンです。

いや、そりゃ、モチロン毎回とっても真剣に観ては
いるんですが(なにしろ一番好きなシーンだし)(笑)、
でも、今回は、公式BBSの方でお見かけした書き込み
(たぶん、こちらをご覧になってくださっている方だったと
記憶しているのですが、申し訳ない、お名前を失念してしまい、
遡っても上手に見つけることができず、記憶が曖昧なため、
ここではお名前出しません。「ワタシよ」と言って下さる
方がいらしたら、教えてください(^^ゞ。)

一度目のキスはChristineからのみだが、
二度目のキスはChristineからのキスの後、
それにPhantomが応えている。


に、「おお、そう言えば・・・」という思いがあり。

今まではただうっとりと「いいな~(;_;)」と
思って漠然と全体を観てたんですけど、
今回は、じっくり二人の口元に注目・・・(笑)

私の目から観た答えは
「確かに・・・」
でした。

つーか、本当に、最初のキスは一方的にChristineが
口付けてるだけですよね。Phantom、されるがまま。
固まってます。
で、一度、二人は離れ、見つめあい、
再びChristineがPhantomの唇に自分の唇を重ねます。
彼女の左手が彼の右頬に添えられ、
Chrisitineが与えるキス、その後、確かにPhantomの
頬が微かに動く。
PhantomからChristineに返すキスです。
そして、その後、二人の頬が同時に動いてます。
互いに、一緒に与え合い、返し合うキス。
そして、二人は唇を離し、互いに泣き顔の相手を
見つめるんですね。

私の目には、そう見えました。
んで、トロけました・・・、昨日は。

Phantomくんったら、ファーストキス一回で
こんな「オトナのキス」をマスターしてしまうなんて、
さすが「天才」ね!!(笑)
(しかし、Christineに、その「オトナのキス」を
仕込んだ(コトバ悪いですね、すみません(笑))のは
他でもない、Raoulくん・・・・・、
あ、ソコで観てたんですね、カワイソウに・・・(笑)。

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「英語脳」の意外な落とし穴

2005年04月29日 | オペラ座の怪人
「最近、頭が英語脳で・・・・」
というのは、もちろん半分冗談なんですが、
この前、おかしな聴き間違えをした。

学校から帰ってきた息子が、学校での出来事を
色々と話す。

仕事の資料に目を通しながら聞いていたとき、
息子が、

「でね、ボクはシークィーンになったんだ、」

ふーん、そうかー、シークィーン(Sea Queen)ね・・・

「でね、ヤマちゃんは、サイバー委員。」

え、cyber委員?小学校にそんな委員が必要なのか?

・・・

そう言えば、どうして男の子なのに
Sea Queen
なんだ?

・・・・・「飼育委員」と「栽培委員」だった。
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ポストカード、これですよん!

2005年04月29日 | オペラ座の怪人
行って参りました。日劇3。
余裕あると思ってたら、なんだかギリギリになってしまい、
ちと慌てました。
チケット売り場は「シャルウィーダンス」なオバサマたちの列。
初回は全席自由なので、すんなり購入。
「本日、初回は1300円です」って、まあ、東宝さんったら
太っ腹!(他スクリーンもそうだったのかな?)
チケット購入時にポストカードくれないんで、
恥知らずなワタシ、思わずオネーサンに尋ねる(笑)。
するとオネーサンが
「あ、そちらは入場時に劇場入り口で差し上げてます。」
とのこと、無事、頂きましたよ(*^-^*)。
エルさんのために(笑)、即効UPします!

まず、もらったパッと見は、コレ↓

ビニール袋入り。3枚入り。

この写真以外の写真は下の2柄。


(マスカレード、ピントがボケてるのは私のミスです。
みんな知ってる絵柄だからいいよね(笑)。)
ちなみに、このシーン、右から二列目、後ろから4番めに、
志村研がバカ殿の顔しています(笑)←ウソ。

ステキなのは、袋に貼られた小さなステッカー。↓

「大ヒット記念凱旋 40億円突破!!
Special Thanks to Japan from O.G. 」

と書かれています。
なかなかシャレたことをしてくれますね!

裏は歌詞カード。
Phantom・Christineのが "the Phantom of the Opera"
三人のが "Think of me"
マスカレードのが "the Point of No return"です。
(個人的には写真も"the Point of No return"希望(笑))
英詩と
和訳(対訳:高橋知伽江)トーゼン、ナッチじゃありません。
が両方載ってます。


そう言えば、私、こんなのも持ってるんですよ。↓
コレは、MOVIXで公開前に別の映画を観た時に
自由にもらえるようになってて、何枚か(と言っても
当時はこんなにハマると思ってなかったんで、3枚くらい)
持ってます。


で、今日なら13日までの先売り券をもう販売してるので、
一日分、買って来ちゃいました(*^-^*)。座席指定で。↓
7時台の回だけ、私が希望した席の真横に誰かすでに
座席購入済みですが、といわれ、一つズラしてもらいました。
もしかして、その席を買われてるのって、ここを観てる方だったりして?(笑)

今日、お会いできた、アイシャさん、kaoriさん、
時間がなくて、ゆっくりお話できず、ごめんなさい。
でも、お会いできてとてもうれしかったです。
またお会いできるといいですね!
・・・って、kaoriさんとは明後日会えますね!
楽しみです(*^-^*)。


とりあえず、オマケ情報でございました。
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逢瀬

2005年04月29日 | もぶろぐ(from vodafone)
一週間ぶりに彼に会いに行く。
昨日は例によって夜更かしをしてしまったが
不思議と今朝は早く目が覚めた。
彼の為にシャワーを浴び、髪を洗い、彼の好みのコロンをまとう。
一週間。短いようで長い7日間だ。
昨日、いや、一昨日の夜から私はすでに彼の事で頭がいっぱいで
今日のこの日が待ちどうしくて仕方がなかった。

先週の金曜の夜、彼と別れた時、彼は涙を流しながら
別れを悲しんでいたっけ。

今日は私を笑顔で迎えてくれるだろうか。
いつものように、最初はチラリと姿を見せたり消えたりして
気をもたせ、その後で優しく私をエスコートして彼の世界へ
いざなってくれるだろうか。
いつものように、私の足元を気にして、振り返り振り返り、
手をしっかりつないで歩いてくれるだろうか。
彼の仕草はもう全て知ってるようなものなのに、それでもまた
会う度にに新しい発見がある。
彼はそんな男なのだ。
約束の時間まであと少し。
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鏡の向こうの物語 第3弾 第12話

2005年04月29日 | FanFiction:鏡の向こうの物語
※ご注意※
この物語は「オペラ座の怪人」に魅せられた管理人、音去の
個人的なファンフィクションです。
三枚の鏡を割り、地下の隠れ家を後にしたPhantomの
その後を描いたお話です。
管理人は実に個人的な思い入れにより、とにかく
あの後のPhantomを幸せにしてあげたい一心で
描いておりますので、読まれて不快に思われる方も
いらっしゃることと思います。
なお、物語中に登場する人物の名称は実在の人物とは
何ら関係がありません。
以上を十分にご理解の上、ご興味のある方のみ
お読みいただきますようお願い申し上げます。
また、この記事の無断転載・無断転用・二次使用を固く禁じます。









鏡の向こうの物語 第三弾 第11話の続きです。

********** お願い ************
「オペラ座の怪人」字幕なし上映に賛同して下さる方!
字幕なし上映やるなら観るよ!と言ってくれる方!
こちら↓↓↓へ書き込みお願いします。
「オペラ座の怪人」字幕なし上映に賛同!

******************************

the story behind the mirror
~ may be your story ~

ブランが人に懐くのは珍しい。

彼女はずいぶん大人になってからうちに来た。
もともとの野良猫ではなく、捨て猫だったらしい。
うちに来た頃は、もとの飼主が忘れられないようで
いつも寂しそうに鳴いていた。
私にもなかなか懐かず、ずいぶん長い間、
ただエサと水と寝床を提供するだけの関係が続いた。

それを彼はたった数日で、しかも小さな肉の欠片の
いくつかで彼女と仲良くなってしまった。
なんだか不思議な気がした。
しかし、何となく私にはブランの気持ちも
わかるような気がした。

布団の中から小さな顔だけをちょこっと出す黒い仔猫、
隣にはブラン。そのニ匹の猫を穏やかな顔で見つめる男。
食事を済ませ、片付けをしながら時々私の視界に入る
彼らの姿ははまるで、古い映画の中に出てくる
一枚の絵のようだった。

おおよその片付けが済み、私は密かに、そんな彼らの姿を
もっとゆっくり見ていたくて、ベッドのそばにイスを動かして
腰掛けた。

しばらくの間、ブランのなめらかで美しい体を
ゆっくりと撫でながら、やがて彼は表情を曇らせ、
ほんの少し俯いて言った。

「とても迷惑をかけてしまって、申し訳ない・・・。
動けるようになったら、すぐに出て行くから。」

彼はここを出て戻る場所があるのだろうか。
たとえあったとして、彼はそこに戻れるのだろうか。
ふとそう思ったが、私は尋ねなかった。

彼の言葉に応えず、私は言った。

「少し、猫と一緒に昼寝でもするといいわ。
今ここで無理をすると、
治るものも治らなくなってしまうもの。」

彼は私の言葉に耳を貸さず、続けた。

「こんなに色々と世話になって・・・
何も礼ができなくて心苦しいよ。
何か、私にできることがあればいいんだが・・・」

彼はそっと溜息をついた。

「そんなこと、気にしなくていいのに・・・」

そう言おうとして、私はふと
あることを思いついた。

「それじゃ、一つだけ、お願いをしてもいいかしら?」

男は「なに?」と言うように、私を見た。

「この子に、名前を付けてあげて欲しいの。」

私は布団の中、彼の胸の上でうとうとしている
片目の黒い仔猫を見て言った。

「・・・・・私が?」

信じられない、という表情で、彼は片手を自分の方に向けて
自分を指さすような仕草をしながら私にきいた。

「ええ。お願いできるかしら。
あなたが助けた猫ですもの。
あなたが名前を付けてあげて。
・・・・私、実はそういうセンスがあまりないのよ。」

あの日を境に、私は何かに名前を付けるのが
苦手になってしまった。
私が心を込めて考え、選び、つけた名前は一つだけ。
「立派な統治者」を意味する、その名前の持ち主は、
しかし、もうこの世にいない。

男はちょっと困ったようにしていたが、
やがて、黒い仔猫を抱き寄せ、色んな角度から
眺めては首をかしげ、高く抱き上げては
再び手元に戻し、真剣に考え込んだ。

しばらく考え抜いた挙句、心を決めたように、
男は仔猫を自由にした。
仔猫は今度は布団にもぐらず、彼の胸の辺りに
座ったまま、自分が命名されるのをじっと待った。

私は男を見た。

「決まった?」

男は小さく頷くと、ためらいながら言った。

「・・・・ノワール(黒)・・・?」

私は思わず手のひらを口元に付けて、笑った。

男は慌てて、照れくさそうに言った。

「ごめん、おかしかったかな?」

その慌てた表情が、ほんの少し父に似ていた。

「いいえ、・・・・笑ってごめんなさい。」

そう言いながらも、まだ笑いが止まらないまま、
私が答えた。
彼は困ったような顔のまま、私が何を言うのか
待っているようだった。

私は彼の傍らですっかり眠り込んでいるブランの
やわらかで真っ白な体に手を伸ばし、
そっと撫でながら話を続けた。

「この子がウチに来たときにね、
私、ものすごく真剣に名前を考えたの。
今のあなたみたいにね。一生懸命考えたわ。
でも、なかなか良い名前が思い浮かばなくて。
・・・それでね、やっとのことでつけた
この子の名前は・・・」

私は彼がまだ知らない、この子の名前を続けた。

「ブラン(白)よ。」

私が笑った意味が解り、彼も小さく噴き出した。

私たちは二人で、笑いをこらえては、また
どちらかがつい小さく笑い出し、
しばらくの間、二人で笑いつづけた。
私の部屋には、いつになく温かく和やかな
空気が流れた。

知り合って何日も経っていないというのに、
私はすっかりこの男に親しみを覚えていた。
そして、そんな自分に戸惑ってもいた。
これ以上、深入りしては危険だ。
本能が自分にそう告げていた。
しかし、私にはどうすることもできなかった。

私は再び、彼に眠るように勧めた。
彼はおとなしく私の意見に従い、
横になった。
食事の時に飲んだワインのせいもあってか、
彼はすぐに静かな寝息をたて始めた。


彼がまともに戻れる場所を持たないことは
容易に想像がついた。

彼の様子をぼんやりと見ながら、
私はどうしたらいいのか悩んだ。

こんな時に父がいてくれたら・・・。
父と一緒だったら、この男が一人で生きられる力を
回復するまで、家の一部屋を提供することくらい
簡単だったろうに。

しかし、こんな手狭なアパルトマンに女一人で
暮らしている私が、いつまでも見知らぬ男を
自分の部屋に住まわせるわけにはいかない。

考えに考えた末、私は一つの案を思いついた。
他にも色々と考えてみたが、結局、
それ以外に方法はないように思えた。
あの人だったら、彼をしばらくおいてくれるかもしれない。
断られるかもしれないけれど、彼になら何とか
頼めるような、そして引き受けてくれるような気がした。
明日にでも行ってみよう。
そう思うと、少しほっとした。

午後も遅い時間になっていた。
二日続けて休むわけにもいかず、数時間後には
仕事に行かなくてはいけない時間だった。
仕事に行く前に、彼のために夕食を作らなければ。
私はそう思った。
しかし、もう、うちには食べるものがほとんどなかった。

あまり時間もなく、気持ち良さそうに眠っている彼を
起こすのも気の毒で、仕方なく私は眠る彼を残して、
買い物に出ることにした。

小さな書棚の引出しから紙とペンを取り出すと、
彼にメモを残し、鍵をかけて私は部屋を出た。

「買い物に行ってきます。すぐに戻ります。マリア」

余計なものまでなぜか色々と買いこんでしまい、
普段からは考えられない量の買出しになった。
大きな紙のショッピングバッグを抱えて急いで
部屋に戻り、カギを開けようとすると、
ドアのカギは開いていた。

ちょっと緊張し、用心してドアを開け、中に入ると、
彼の姿は消えていた。

ベッドは乱れたまま、私のローブもベッドの上に
乱暴に脱ぎ捨てられたままだった。
どうにか乾いていたであろう彼の服と靴だけが
なくなっていた。

そして、私が残したメモの下に続けて
彼のメモが残されていた。

「親愛なるマリア。
貴女のご厚情に感謝している。
これ以上、私がここにいると貴女に迷惑がかかるだろう。
私は大丈夫なので、どうかご心配なさらぬように。
お世話になりながら、お礼も言わずに立ち去る非礼を
どうかお許しいただきたい。

ブランとノワールにもよろしく伝えてください。」

太い線と細い線の混在したクセのある文字が
急いで書いたらしく、ところどころ少しかすれていた。
サインはなかった。

彼は行ってしまったのだ。

彼のメモを何度も繰り返し読み、
虚無的な寂しさと同時に、
かすかな安堵感が私の胸を満たした。

「これでよかったのだ。」

買いすぎた買い物袋をテーブルの上に置きながら
私は静かに自分にそう言い聞かせた。
走り書きのメモと、「ノワール」という名前だけを残し、
夕闇の中へ、男は消え去ってしまった。

あの男との時間の中で、私がかすかに感じた、
これから何かが始まってしまうかもしれない、
という憧れのような不安のような期待は裏切られ、
私はまたいつもの生活に戻ったのだ。

彼を引き止められなかったことを詫びるように、
二匹の猫が、ベッドの上で私を見た。

「これでよかったのよ。」

私は彼らを安心させるように口に出して言った。

私は彼のことを頭から追い出し、買ってきた山ほどの食料を
それぞれの場所へと片付けると、急いで仕度をし、
猫達にあいさつをして、仕事に出掛けた。

+ - + - + - + - +

仕事をしていても、なんとなく集中できなかった。
彼はあれから、どうしただろう。
気にするまいと思うのに、どうしても気にかかった。
この寒空の中、彼はコートさえ着ていかなかったではないか。

仕事が終わると、私は大急ぎで家に戻った。
もしかしたら、彼が戻っているのではないかと思った。
しかし、アパルトマンのエントランスにも、
私の部屋のドアの前にも、彼の姿はなかった。

私はカギを開け、ドアを開いた。
いつものように、静かな駆け足でブランが、
そして黒いテニスボールが弾んでくるかのように
ノワールが私を出迎えた。

ドアを開けた途端、自分の部屋の匂いとは違う
かすかな香りがしたような気がした。
自分以外の人間が、しばらくの間、この部屋にいた、
そんな名残の匂いだった。

ここ数日、気付かぬうちに疲れがたまっていたらしい。
今夜はとにかく早く休みたかった。
私は何もせず、そのまま自分のベッドに腰かけた。

自分のベッドで眠るのも、考えてみれば久しぶりだった。
マットレスのくぼみをふと目にし、そう言えば、ベッドは
彼が使ったままだったことに気付いた。
シーツだけでも取り替えようと考えたが、
仕事も比較的忙しかったその日、私は
あまりにも疲れていて、ベッドメイキングをし直す
元気がなかった。

私はベッドメイクをあきらめて、早々に寝巻きに
着替えて、そのままベッドに潜り込んだ。
久しぶりに自分のベッドで思い切り肢体を伸ばし、
布団を鼻先まで引っ張り上げる。

突然、寝具から男の香りがした。
不意打ちをくらったように、胸がときめいた。
呼吸するごとに、ほとんど消えかけている微かな香りが
鼻腔をくすぐり、少しずつ彼の記憶が蘇ってきて、
私を戸惑わせた。

彼は今ごろどこでどうしているだろう。
体調は戻っただろうか。
温かい部屋で、無事に過ごしているだろうか?

断片的な記憶を辿りながら、私はベッドの中で
彼の事を一つ一つ思い起こした。
急に、胸が締め付けられるような強い切なさを感じた。

私はそっと布団の上に手を伸ばすと、
手探りでその上をまさぐり、彼が無造作に脱ぎ捨てたままの
ローブをさぐりあて、引き寄せた。
ベッドの上で少し躰を起こし、寝巻きの上から
そのローブを自分で羽織ってみる。
それによって、ほとんど消えかけていた彼の匂いが、
もう少し確かなものになった。
私はローブの胸元を合わせてかき抱き、そのまま
すっぽりと布団に入ると、彼の残した温もりの記憶の中で
眠りについた。

なぜか、その夜は夢を見なかった。


次の日から、私にはまたいつもの日々が戻って来た。
彼の事を思い起こすことも、できるだけ意識して
避けるようにし、もし誰かに
「あれは夢だったのだ。」
と自信を持って言われてしまったら、
ノワールさえそばにいなければ、
そして、つい捨てずに残してある、彼が書き残した
走り書きのメモさえなければ、自分でも
「そうだったのかもしれない。」
とぼんやりと思えるくらいにまでなった。
印象は強いが、なにしろ彼がここにいたのは
たった2日程度のことだったし、そのうちの半分以上は
彼は眠っていたのだから。


そんなある日、突然、ノワールまでが姿を消した。

第13話に続きます。



+++++++++++++

ほっほっほ、こんな所でやめちゃう私は
チョーイヂワルですね(笑)。
今回の一番のツボは、
彼の使っていたベッドにそのまま眠る・・・
という、患者同盟にとってはそれだけで鼻血・悶絶モノ!
のシーンです(笑)。
しかも、彼が素肌にきていたローブもあり、ですよ(笑)。
でも、あんまりいやらしいの(欲求不満っぽい感じなの)は
イヤなので、ちょっと気を使いました。

実は私は、密かに「名残」に色気を感じる女なので、
(「音去」の由来もそこにあります)、男の残り香って
割とツボなのであります。

Gerryはどうなんでしょうね。
それほど体臭ありそうじゃないですけども。
Gerryだと爽やか系だけど、Phantomだと
ムスクとかウッディノートですかね。
落ち着いたノーブルな上品な、でも官能的な・・・。
ああ、自分で書いてて、萌え・・・(笑)。

でもって、とりあえず、「一幕」終わり
・・・・・って感じですかね。
さー、これからどうなるんでしょう!!

コメント (14)
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鏡の向こうの物語 第3弾 第11話

2005年04月28日 | FanFiction:鏡の向こうの物語
※ご注意※
この物語は「オペラ座の怪人」に魅せられた管理人、音去の
個人的なファンフィクションです。
三枚の鏡を割り、地下の隠れ家を後にしたPhantomの
その後を描いたお話です。
管理人は実に個人的な思い入れにより、とにかく
あの後のPhantomを幸せにしてあげたい一心で
描いておりますので、読まれて不快に思われる方も
いらっしゃることと思います。
なお、物語中に登場する人物の名称は実在の人物とは
何ら関係がありません。
以上を十分にご理解の上、ご興味のある方のみ
お読みいただきますようお願い申し上げます。
また、この記事の無断転載・無断転用・二次使用を固く禁じます。









鏡の向こうの物語 第三弾 第10話の続きです。

********** お願い ************
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******************************

the story behind the mirror
~ may be your story ~

私が食卓につくと、彼はさっきよりも少し安心したような、
ちょっと嬉しそうな顔になった。
出逢ってすぐの時よりも、少し人なつこい笑顔に見えた。
彼が気にしている右半分の顔も、こんな風に
打ち解けた笑顔になれば、そう捨てたもんじゃない。
少なくとも私にはそう思えた。
そんな彼の笑顔につられて、私も思わず笑顔になった。

実は、落ち着かないのはむしろ私の方だった。
なぜだか、じっとしているのに耐えられなくて、
何か体を動かしていないと、どことなく居心地が
悪いような気がして、ある意味、無理に仕事を
作って動いていた。

それがなぜなのか、はっきりとした理由は
わからなかった。
ただ私は、この突然の訪問者に対して、
自分がどう距離をとったらいいのかを、
測りかねていたような気がする。

彼の持つ雰囲気・・・彼の顔、声、姿、仕草。
あの路地で、初めてうずくまる彼の姿を見た時から、
暗闇から聞こえた、美しい声を聞いた時から、
私は抗いようのない不思議な感情を止められずにいた。

それは私の気持ちのどこか奥底から、勝手に
ふつふつと湧き出してきては、私の感情をそっと逆なでし、
居場所がなく、出所を探して私の体の中を
右往左往している。そんな感じだった。
そしてその感覚は、ちょっとしたきっかけで
どう噴出するかわからない、そんな気もした。

私は、多感期の少女だった頃のように、
自分で自分をコントロールできない不安と
理解できない混沌とした感情を持て余し、
ずっと落ち着かずにいたのだった。

しかし、彼に言われるまま、ためらいを持ちながらも
こうして食卓についてみると、不思議と、
何となく気持ちが落ち着く自分に気付き、
逆に驚いた。

自分の食事をゆっくり口に運びながら、時々、
彼のためにグラスにワインを注いだり、
スープのおかわりをよそうために席を立ったり、
パンを切って渡したり、という何の変哲もない行為の
ひとつひとつが、なんだかとても大事なことに思え、
同時に、そんな一つ一つがとても愛しくも思えた。

ポツリ、ポツリと彼は言葉少なに話かけてきた。
・・・・と言うよりは、正確には、質問をよこした。

「これは、・・・何?」
「塩漬けの肉よ。豚だわ。」

「これは?」
「にんじんを刻んだもの。」

「・・・・・これは?」
「ブラウン・マッシュルーム。白いのもあるのよ。」

驚くことに、彼はほとんど野菜の名前を知らなかった。

「まさか、みんな、初めて食べた、
っておっしゃるわけじゃないですよね?」

半ば冗談のつもりで言うと、彼は

「違うよ。食べたことはある。
ただ、・・・名前は知らなかった。」

と答えた。

驚いた。彼はいったい、今まで
どんな暮らしをしていたのだろう?

私が言葉を失って呆れていると、
スープから微かに匂う肉の香りに誘われたのか、
彼の足元から、黒い仔猫がひょこひょこと
彼の胸元に近付いてきた。

彼は少し目を細めた笑顔で仔猫を見ると、
自分のスープの皿に二本の指を突っ込み、
肉の切れ端をつまみだして仔猫に与えた。
黒い仔猫は、そっと鼻を近づけ、クンクンと匂いを嗅ぐと、
前歯の先でちょっとつまんで持ち上げ、ひょいっと
投げ上げるようにして自分の口の中に入れると、
ゴクリと飲み込んだ。
彼はとても楽しそうに笑い、続けて仔猫に肉をやった。

すると、どうだろう。
今まで、仔猫の闖入者は受け入れても、図体の大きな
得体の知れない男の滞在はごめんだわ、とばかり
決して彼には近付こうとしなかったブランが、
そーっと、少しずつ、用心深げに彼に近付いた。

ブランは、仔猫に肉の欠片を上げる男を
少し離れたところから、じっと見つめ続けた。

私はテーブルについたまま、ブランがどうするのか
見守っていた。

彼は、ベッドの下で自分と仔猫を見つめるブランに
気付いた。
彼が自分に気付いたことに気付き、ブランは慌てて
小さくシャーーッと彼を威嚇した。

彼は気にせず、チチッと舌を鳴らして、
手招きしてブランを呼んだ。

ブランは慌てて、むしろ彼からもっと離れた場所まで
一気に後ろへジャンプして、体を硬くして身構えた。

すると彼は、思いついたように、再びスープの中から、
一番大きそうな肉片をつまみだすと左手の掌に乗せ、
顔をブランには向けずに前を向いたまま、
肉を乗せた掌を上に向けた左手だけを
ベッドの下にゆっくりとおろした。

彼は目だけでブランを気にしている。
ブランは私の顔をうかがう。
私は視線でブランに「大丈夫よ」と伝える。

ブランがゆっくりと立ち上がり、
彼の方へ一歩一歩、歩き出した。

ブランは慎重に本当に少しずつ彼の手に近付き、
肉の匂いを嗅ぐと、急いで肉をくわえ、
慌てて一歩、後ずさった。

彼が私の方を見て「やった!」というように
ちょっと得意そうに笑ってみせた。

ブランは彼の手から一歩下がったままで
急いで肉を飲み込み、再び、ベッドの下から
彼を見上げた。

彼は今度はわざと、肉を掌に乗せてブランに
見えるように手を動かすと、今度はそのまま
下に手を下ろさず、自分の体の脇に置いた。

ブランは上目使いにベッドの上を睨み、
助けを求めるような顔で私を見る。
私はそんな彼らの様子が微笑ましくて
わざとそしらぬ顔をしてみせた。

私の顔と彼の様子を不満そうな顔で
交互に見比べていたブランは、とうとう
意を決したように、ゆっくりとベッドから
数歩後ろに下がると、勢いをつけて
彼の腹の上へダイブした。

ブランの勢いに、黒い仔猫は驚いて
大急ぎで彼の布団の中に逃げ込む。
ブランは彼の手から肉をくわえて口に入れると、
今度は急いで飲み込むことをせず、その場で
ゆっくりと食べた。
そして、今度は慌てて逃げずに、
彼の顔を横目でうかがいながらも
おもむろに彼の傍らに座った。

緊張した様子のブランに彼はそっと手を
差し出し、ゆっくりと彼女の頭を撫でた。

最初こそ、びくっとしたものの、
大きな手に包み込まれるように頭を撫でられる
ブランは、とても気持ち良さそうだった。

その内に、彼女は前足を丸め、体も丸め、
彼の隣で、自分のベッドで眠るかのように
落ち着いた様子で目をつぶった。

彼は再び、私の顔を見て、とても嬉しそうな
笑顔を見せた。
この部屋に来て、これは何度目の笑顔だろう?
私は、見る度に、彼の笑顔が少しずつ
柔らかく明るい笑顔になってきていることに
ふと気付いた。


++++++++++++++++++++

ああ、なんだかPhantomではないですね。
もうすっかりエリック・・・?
と言うより、気分はもうすっかりGerryですな(笑)。




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反則・・・

2005年04月27日 | オペラ座の怪人

kaoriさんちのprofの写真とか、

これ↓↓↓とか


これ↓↓↓とか


・・・って、やっぱ、反則だと思うんですけど・・・。


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鏡の向こうの物語 第3弾 第10話

2005年04月27日 | FanFiction:鏡の向こうの物語
※ご注意※
この物語は「オペラ座の怪人」に魅せられた管理人、音去の
個人的なファンフィクションです。
三枚の鏡を割り、地下の隠れ家を後にしたPhantomの
その後を描いたお話です。
管理人は実に個人的な思い入れにより、とにかく
あの後のPhantomを幸せにしてあげたい一心で
描いておりますので、読まれて不快に思われる方も
いらっしゃることと思います。
なお、物語中に登場する人物の名称は実在の人物とは
何ら関係がありません。
以上を十分にご理解の上、ご興味のある方のみ
お読みいただきますようお願い申し上げます。
また、この記事の無断転載・無断転用・二次使用を固く禁じます。









鏡の向こうの物語 第三弾 第9話の続きです。

********** お願い ************
「オペラ座の怪人」字幕なし上映に賛同して下さる方!
字幕なし上映やるなら観るよ!と言ってくれる方!
こちら↓↓↓へ書き込みお願いします。
「オペラ座の怪人」字幕なし上映に賛同!

******************************

the story behind the mirror
~ may be your story ~

少し心配そうな顔で彼女が言った。

「起き上がれますか?」

彼女にそう尋ねられ、私は何となくうなずき、
体を起こそうとした。
少しふらっとした。
急いで彼女が駆け寄り、手を貸してくれ、
私はベッドの上で枕に背をもたれるような体勢で
ゆっくりと上半身だけを起こした。

「ベッド用のテーブルがなくて・・・。
ちょっと食べにくいかと思うんですけど。
ごめんなさいね。」

そう言いながら、彼女は部屋の真ん中にあった
小さなテーブルを、ベッドの脇へと引き寄せた。

みるみるうちに、テーブルの上には
いくつかの皿とコップ。小さなワインのボトル。
ワイングラス。パンとバター、スプーンなどが、
真っ白いナフキンと共にきちんと並べられた。

これが、いわゆる食卓というものなのだ、と
私は思いながら、しげしげとそれらを見つめた。

その間にも彼女は、こまごまと動き回りながら、
深みのある大きな皿に熱い湯気の立つスープをよそい、
こちらに運んでくると、テーブルの上にそっと乗せた。

私は自分の前に置かれた皿をじっと見た。
作りたての、まだ熱い、湯気の出るスープ。
小さく刻んだ肉と野菜が沈んだ、
薄いブラウンの透明なスープだった。
食欲を刺激する香辛料の香りがほのかに漂う。
なぜだか胸がときめいた。
私はしばらくそのままスープを見つめてしまった。

「ごめんなさい。・・・こんなものしか作れなくて。」

急いでスープの皿から視線を彼女に移すと、彼女は
本当に申し訳なさそうな顔でテーブルのそばに立ち、
小さな声でそう言った。

私が食事に手をつけず、あまりにもしげしげと皿を
見つめていたせいか、彼女は心配そうな顔のまま
続けた。

「きっと、お口に合わないですよね。」

私は慌てて、首を横に降り、つかえながら答えた。

「違うよ、違うんだ。何て言ったらいいか・・・。
 そうじゃなくて・・・。
 すごく・・・・、なんと言うか・・・・、
・・・・美味しそうだ。」

心臓がどきどきして、声が少しうわずった。

私のその言葉を聞くと彼女はちょっと驚き、
それから、くすりと笑い、ちょっと間をあけて、
こう言った。

「・・・あなたは優しい方ね。」

彼女の言葉を聞いて、私は耳を疑った。
いきなり足元をすくわれたような、
そんな心細さと同時に、
胸が締め付けられるような切なさを感じた。

自分は他人の言葉一つでこんなに気持ちを
震わせる人間ではなかったはずなのに。
どんな人に何を言われても、何も感じないように、
心が揺れないように、傷付かないように、
そうして生きてきたはずだったのに。
私はいったい、どうしてしまったのだろう。

私の激しい動揺にまるで気付いていないかのように、
彼女は軽く微笑んだままテーブルの上の皿を
手にすると、ふわりとベッドサイドに腰を降ろし、
布団の上から私の胸のあたりにそっとナフキンを乗せ、
スープの入った皿と、銀のスプーンを私に手渡して、
のんびりとした口調で言った。

「お口に合わないかもしれないけど、
少しは食べたほうがいいわ。
栄養はとってもあるはずだから。
あなたの体のために、少しでもいいから、
どうぞ召し上がれ。」

その口調が不思議と私を落ち着かせた。

母親・・・。

私は彼女の口調に、希薄な記憶の中の母親を
かすかに見たような気がした。
母親にそんなことを言われた記憶はなかったが、
子供たちはきっと皆、母親からこう言われ続けながら
育っていくのだろう・・・。ふとそんなことを思った。

私は彼女の顔を見ると、素直にうなずき、
そっと皿にスプーンを入れてひとさじすくうと、
温かいスープを口に運んだ。

口の中全体がぽっ・・・と温まり、その温かさが
喉の奥を通りながら、体の中へとゆっくりと伝わって行く。
熱い皿を持つ私の左手からと、口から、腹から、
どんどんと体が温まり、生き返っていくような気がした。

私は黙ったまま、ただ黙々とスプーンを口に
運び続けた。

「良かったら、これも・・・」

彼女がテーブルでパンを切り、バターをぬって
小さな皿に乗せると、そっと手渡してくれた。

ほとんど空に近いスープの皿を私は彼女に渡し、
その代わりのようにパンを受け取る。
私がパンを食べている間に、彼女は空になった皿を
再びスープで満たし、テーブルの上に置いて
私がパンを食べるのを優しく見守った。

私はふと気になり、彼女にたずねた。

「君は、食べないのかい?」

「ええ、私はあとで・・・。」

彼女はグラスに赤いワインを注ぎながら
微笑んだ。

私は、ちょっと悩んだ後、勇気を出して言った。

「良かったら一緒に食べてくれないか?
なんだか・・・自分だけ、一人で食べるのが
落ち着かなくて・・・・・。」

正直な気持ちだった。
一人で食べていた時は全く気にならなかったのに、
誰かがそばにいるのに一人だけ食べているのが、
これほど落ち着かないものだとは思わなかった。

私はどぎまぎして彼女の反応を待った。

彼女はちょっと驚いたような表情をした後、
少し考え込むようなそぶりを見せたが

「そうですよね。
食べているところを誰かにじっと見られてたら
落ち着かないですよね。」

と笑って答え、急いで小さな皿にスープを
よそって、自分もテーブルについてくれた。

彼女は胸元で掌を合わせ、口の中で小さく何か
祈りのような言葉をつぶやくと、私に向かって
笑顔を見せ、それからゆっくりと食べ始めた。

二人で一緒に食事を始めてはみたものの、結局、
私は何をしゃべればいいのかわからず、
その後もろくな話もせず、ほとんど黙ったままで
黙々と食べ続けた。

しかし私には、些細な音が、たとえば、
スプーンが皿に当たる音、パンを切る音、
グラスが木のテーブルに置かれる音、
そして窓の外から聞こえる町のざわめきなど、
生活の匂いのする当たり前の音たちが
染み入るように耳に優しく響き、
とても心地良く感じた。

私の皿が再び空になると、すぐに彼女は自分の
食事の手を休め、すっと立って、再び皿に
スープをよそってくれた。
その日、自分でも驚くくらいに、私は良く食べた。

彼女も、特に何か尋ねてきたり、自分のことを色々と
話したりするわけでもなく、パンのおかわりを尋ねてきたり、
ワインを勧めたりする程度の会話しかしなかった。
しかし私がふと彼女の方を見、彼女と目が合うと、
彼女はただ黙って微笑んでくれた。

そんな風に、ただお互いに、時々視線を合わせては、
微笑み返しながら、私達は静かに
ゆっくりと食事を続けた。

ただそれだけのことだった。
ただそれだけのことで、私はなぜかこの女性に
うまく説明できない気持ちを抱き始めた。

それは、今までの誰に対しても抱いたことのない
不思議な感情だった。
Christineに抱いた気持ちとも、
Mirandaに対する感情とも違う、
全く私が今まで知らない、理解できない感情だった。



11話に続きます。
++++++++++++++++++++++++++

・・・ああ、NOWL拝聴以来、体の中で
血液が沸騰している・・・

次回は語り手がマリアに戻ります。
さて、ここで初めて登場した
見知らぬ女性名、誰でしょう?(笑)
ふっふっふ、第一幕もいよいよ佳境。
とりあえず、今回と次回は
まったりとあったまっちゃってくださーい!
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No one would listen fan video DL虎の巻

2005年04月27日 | オペラ座の怪人
GBnetから
"No one would listen"
の曲に合わせてハイライトシーンが編集された
海外の方々の力作FANVIDEOがDLできます。

海外サイトなのでとっつきにくいかと思いますが、
それほど大変ではないので、やり方を
書いておきます!

まずこちらへ。

そこの「Fan Video」の記事をいくつか下がり、
「Forum Topics」の記事から

soothさん
VikingPrincessVictoriaさん
Mystique808さん

の記事でタイトル"No one would listen"の記事
を探して表示。
(Topic tytle欄の下線部分をクリック)

記事中のリンク、

RapidShare
Downloadhere

などからDLサイトへ。

どれを選択しても同じようなサイトが
表示されますが、大丈夫です。
気にせずに、画面を一番下までスクロールして、
表みたいなのの中の一番下のグレーの
「Free」
と書かれたボタンをクリック。

またまた一見、同じページかな?と思うような
ページが表示されますが、下の方へ
スクロールすると、
下から2行目くらいに

Download-Ticket reserved.Please wait ** seconds

と表示され、**部分の秒数が減って行きます。

間もなく、一番下に大きな字で

Download:***********.wmv
(「*****」がタイトル。)

と表示されるので、そこを右クリック、
「対象をファイルに保存」、
で好きなフォルダに保存。

で完了です。(無料です)

なお、一時間に1MBまでしかDL不可です。
3つのファイルをダウンするためには
2回にわけないとダメです。
ラストの一個は一時間後に再トライ。

わからないことがあったら
お答えできる範囲でお答えしますので
コメントに書いてね!!

なお、容量が小さい順に

No_One_Would_Listen_0001 (4926kb)
NOWL_POTO (9237KB)
NOWLpotoMV01 (9718KB)
ですが、私は二番目のが好きです。
(髑髏ふぁんとむ先生の登場、
ラストのオルゴールと
「くりすてぃぃぬ、あい、らぁぁぁぶ、ゆぅぅぅぅう」
の口元が観れます・・・って書いてるだけで、萌えっっ!(笑))

なお、昨日UPした記事は
著作権などの絡みで削除しましたので
よろしくご了承くださるようお願いします!
(ごめんなさいねm(__)m)

あーーーっ、最新情報。
新しく、soothさんがスライドショーをUPしてる!!
当方、早速DLしております!!(^O^)
コメント (6)
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コメントだけ復活。

2005年04月26日 | 独り言
指摘されて気付きました。
コメントもそのまま消しちゃったので、
本文削除して、コメントだけ
生き返らせます。
ゾンビだ~(笑)。
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"No One Would Listen"を10倍切なく聴く英語講座。(長い!)

2005年04月26日 | オペラ座の怪人
実は一時期(もう十数年以上前)翻訳の勉強をしたくて
色々と調べたことがあります。
つーか、高校時代、そもそもは翻訳の勉強がしたくて、
そのために敢えて国文に進んだという経緯もあり。
(今回のPOTO字幕騒動を見てもわかるように、
翻訳って外国語力よりむしろ日本語力・・・というか
『日本語語彙力』が問われるんですよ。)

結局、うまくいかず、翻訳家への夢は志半ばで諦めた
(そんなのばっかやん)ワケですが。

んでもって本題です。

ある意味では本編以上に私がヤられた
"No one would listen"

和訳詞、書いてみようかと思って私なりに
ちょっと書き始めてはみたんですが、だめ。
やっぱり伝わらない。

詩はニュアンスですからね。
これって、ダブルミーニングがありすぎ、
イメージ主体っぽい歌詞なんで、難しすぎ。
「詩」として成立せず、挫折(笑)。

なので、ちょっとだけ、私なりの単語の味わい方とかを
説明っぽく、書こうと思います。


"listen"と"hear"の違い

簡単に言うと、"listen"は意識して耳を傾けて聞く。
"hear"は耳に聞こえてくる、という違いです。
訳す時は"listen"は「耳を傾ける」とか「聴く」とか
「耳を澄ます」とか、そんな言葉を選びます。
「聞こうと意識して真剣に聴いてる」イメージです。
"hear"は「耳に入る」とか「聞こえる」かな。
そこから「耳に届く」や「聞こえてくる」も使うかも。
聞こうと意識したわけではなく、いい意味でも悪い意味でも
無意識のうちに耳に入ってきた、という感じです。

この歌詞の中では、それが上手に使い分けられてて
切ないんで、チェキして聴いてみてください。

例えば一部だけ。

Shamed into solitude
Shunned by the multitude
I learned to listen
In my dark, my heart heard music
(ありとあらゆるものから 背を向けられ
 そんな屈辱から 孤独へと逃げ込んで
 私は 私だけの闇の中で 私の心に聞こえてくる音楽に
 耳を澄ますことを覚えてしまった)
・・・って感じなのかな?

"outcast"
これは単純に訳すと、追放者。
捨て猫という意味でも使われます。
でも、これに日本語のどれかを選んで当てはめてしまうのは
なんだか私はもったいなくて出来ませんでした。
「世の中からののけもの」
「人生のはみだしもの」
「人から忘れ去られたもの」
そんなイメージと共に、この映画はオペラ座のお話ですから
"cast"と"outcast"という対比も意図にあるのでは?
とも思っています。
配役を与えられ舞台に立つもの"cast"と、
そうではないもの"outcast"。
そう考えると、この"outcast"は暗に自分のことをも
暗喩している気がします。
"Don Juan"で、彼は"outcast"ではなくとうとう"cast"
になるわけで、そう思うとDOKIDOKIします。
ここでの「舞台」は歌詞で言うと"world"かな。
でも彼の言う"world"はもちろん「世界」ではなく、
単に「外」「普通の人たちの世の中」です。

"outcast"の耳にさえやっと届くかどうか、というような
私のこんな心の叫びに、耳を傾ける人などいない。
彼女をおいて他には・・・

ってことですかね。

"teach"と"music"
I long to teach the world
Rise up and reach the world
No one would listen
I alone could hear the music

この"teach"は「教える」より「知ってもらう」という
印象の方が強いかな。
"Rise up"は彼が地下にいるからこそ使う言葉ですね。

"I alone could hear the music"はつまり
「彼の心の孤独の叫び」なんですよね。
音楽、音楽って言ってるけど、この歌の"music"は
つまり彼の「孤独」や「苦しみ」のことなんです。

訳すとしたら
「なんとかして、皆にわかってほしくて。
 どうにかして、そこに行きたくて。
 しかし、誰も、私だけが抱える孤独に
 耳を傾けるものなどいない。」

かなあ。

"gloom"
"dark"も"gloom"も、つい「闇」とか「暗闇」と
訳してしまうのですが、"dark"は広い意味で
「暗い」「暗闇」の一般的な単語ですが、
"gloom"は、「薄暗闇」の意味と、同時に
「陰気な」という意味を持った単語です。
どっちも"dark"じゃベタなので違う単語で
地下の闇を形容したのだと思うけど、
どっちの意味で"gloom"を使ったのかは
わかりませんね。
私は彼の周囲は漆黒の闇、
その声が聞こえた所だけがぼんやりと薄暗闇、
というイメージを持ちましたが。

"cry"
これはどうだろう。叫びなのか泣きなのか。
私は「泣き」のイメージです。

「そんな時、とうとう、薄闇の中から声がした。
ほとんど泣きそうな声が
『私にはわかる』と。
あなたの不安、あなたの苦しみ、そして
あなたの涙がわかる、と。」

"saw(see)"
"see"にも色んな意味があるんですが、私は
「見える」「知る」より、「わかる」「理解する」
と受け止めたいかな。

「彼女は私の孤独を理解し、
この空虚さを共にしてくれた。」

で、歌詞中に"No one would listenって
4回リフレインされるんだけど、最初と最後は
メインフレーズとして同じ意味だけど、

long to teach the world       
Rise up and reach the world   
No one would listen       

の部分と

She saw my lonliness        
Shared in my emptiness      
No one would listen         

では、微妙に違うと思うんですよ。

上は
「必死で知ってもらおうと
 何とかしてそこへ近付こうとしても
 私の孤独は誰にも届かない」
下は
「彼女が私の孤独を理解し
 共に虚しさを共有したと言っても
 そんな事を誰も聞き入れやしない」
みたいな差かな。

この映画の中で、Phantomの音楽はすべて
彼の孤独の産物。
彼の歌う"music"って、つまり彼の孤独と苦痛。
作中では、そんな事を歌ってないけど、
本当はそれが主題なんだよね。
それを暴露してるこの歌って、マジ、ヤバいです。

これを作中に挿入しない作り方って
Phantomのダンディズム尊重のためにも、
やっぱりすごいセンスの英断だったんだな、
って改めて思います。

・・・と、勝手な解釈でした。
間違ってる所あったら、どなたか教えてください!
みんなが間違ったまま理解しちゃうとこまるので(笑)。

昨日ほぼ一晩、聴きたおし、今朝はもうボロボロです。
夢に見ました、NOWLの動画を見る夢(笑)。
コメント (13)
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the Phantom of the Opera UK版DVD特典詳細GET。

2005年04月26日 | オペラ座の怪人
NOWLのCaps&MP3のDLで大盛り上がりのUS版DVD。
amazon.ukでは一向に特典映像に関する情報が更新されないので
他の英サイトで調べてみました。
概要は以下。

Disc 1: The Phantom of the Opera Feature Film,

Disc 2:
*Special Featires for The Movie:
"The Making of the Phantom of the Opera" Documentary(45:50)
Alex Bailey's production Stills, 7 Production Featurette's
-Swarovski Special FX
-Visual FX
-Music, Recording
-Production Design
-Costumes
-make up
-Editing

*Special Featires for The Musical:
"Behind the Mask:

*The Story of the Phantom of the Opera" documentary,

*The Music of the Phantom of the Opera featurette,
incorporating interviews with
-John Snelson, biographer and musicologist,
and Michael Coveney, critic and biographer,

* 4 Promotional videos:
'The Phantom Of The Opera' - Steve Harley and Sarah Brightman,
'All I Ask Of You' - Cliff Richard and Sarah Brightman,
'The Music Of The Night' - Michael Crawford and Sarah Brightman,
'Wishing You Were Somehow Here Again' - Sarah Brightman

・・・と、これを見る限り、一応は2枚組らしいが、
どうやらNOWLは入ってない様子。
ミュージカルの舞台版と、視覚的な(衣装やSFX、セットなど)を
メインに据えた作りの特典映像と思われ・・・。

ちぇっ。

イギリスのニーズって、そっち寄りなのかなぁ。
英のGerryファンも多いだろうに・・・。

日本のはどうなるんだろう。
ま、ミュージカルに関する部分は義理としても(爆)必須なんだろうが、
これだけのGerry:Phantom熱旋風が吹き荒れる中、
まさかNOWLを入れない特典映像なんて作るとは思えないけど・・・。
コメント (3)
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なんと言う大盤振る舞い!

2005年04月25日 | オペラ座の怪人


スゴいもの、みつけました。
写真もスゴ。
音もスゴ・・・。
即死です。爆死です。

まずはココへ。

写真、観れます。
MP3で聴けます。
(写真を一番下までスクロール、一番下の曲名をクリック!)

コンマ0秒で、逝けます。

現在、呼吸困難中・・・

映画、何回観ても泣けなかったのに、
これ聴いて、なぜか、即、泣けた・・・。
なぜだろう。不思議だ・・・。



やはり頭が英語脳になってるらしく、
ほぼ一回でほぼ正しく歌詞が聞こえてきたのには、
自分でも相当ビックリでございました。
(momoさん、歌詞UP情報もありがとうございました!)
      ↑↑
      こちらはGBnetからGO!


(初回UP時、あまりにもコーフンしすぎ、
タイトルにやや過激すぎる表現があったため
タイトル変更しました。)
コメント (32)
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鏡の向こうの物語 第3弾 第9話

2005年04月25日 | FanFiction:鏡の向こうの物語
※ご注意※
この物語は「オペラ座の怪人」に魅せられた管理人、音去の
個人的なファンフィクションです。
三枚の鏡を割り、地下の隠れ家を後にしたPhantomの
その後を描いたお話です。
管理人は実に個人的な思い入れにより、とにかく
あの後のPhantomを幸せにしてあげたい一心で
描いておりますので、読まれて不快に思われる方も
いらっしゃることと思います。
なお、物語中に登場する人物の名称は実在の人物とは
何ら関係がありません。
以上を十分にご理解の上、ご興味のある方のみ
お読みいただきますようお願い申し上げます。
また、この記事の無断転載・無断転用・二次使用を固く禁じます。









鏡の向こうの物語 第三弾 第8話の続きです。

********** お願い ************
「オペラ座の怪人」字幕なし上映に賛同して下さる方!
字幕なし上映やるなら観るよ!と言ってくれる方!
こちら↓↓↓へ書き込みお願いします。
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******************************

the story behind the mirror
~ may be your story ~

ベッドに横になったまま、私は彼女が
料理を作る後ろ姿をじっと見つめ続けた。
彼女は無心に動いているように見えた。
何かを切り、火をおこし、鍋のような物の中で
食べ物が音をたてて焼かれるのを
上手に操っているようだった。
私が初めて耳にする、肉や野菜が焼かれる音。
それと共に、芳ばしく、食欲をそそる良い匂いが
部屋に満ち溢れた。

ただ料理をしているだけなのに、私には
彼女の姿がとても美しく見えた。
片手を軽く腰にあて、もう片方の手で
鍋に入れた大きな木のスプーンを動かして
混ぜている。何の飾り気もなく後ろで
無造作に束ねた、落ち着いた暗褐色の髪が、
彼女の動きと一緒に揺れる。

時々、腰をかがめて火の様子を見たり、
ゆっくりとスプーンを口元に持っていき、
スプーンの先に息を吹きかけては
少しだけ中身を口に含んだりしている、
そんな動作の一つ一つが、私にとっては
実に新鮮で物珍しくあると同時に、
そのすべてがとても優雅で美しい
身のこなしに思えた。

料理を作る彼女の後ろ姿はなぜだかとても
楽しそうで幸せそうで、そんな雰囲気が
こうしてそれをそっと見ている私にまでも
何となく伝染してくるような気がした。
女というものは、皆、こうして楽しそうに
料理を作るものなのだろうか?

私はそのままずいぶん長い間、私に背を向けたまま
料理に集中する彼女の後ろ姿を
一瞬たりとも見逃さないような勢いで見つめ続けた。

そんな中、なぜだか、ふと、私はそんな彼女の顔を、
もう一度、ゆっくり見たいと思った。

その瞬間、突然、彼女がこちらを振り返った。
私は面食らった。

彼女は私を見た。
私も彼女を見た。
私達は、互いに言葉を探して黙ったまま
お互いを見つめあってしまった。

最初に言葉を見つけたのは彼女の方だった。

「・・・さっきは・・・ごめんなさい。
 私ったら・・・不躾にあんなことを・・・。
 気を悪くされたでしょう?」

言い終えて彼女は少しだけ、ほっとしたような
表情を見せた。
そんな彼女の顔を見て、私も少し気持ちが和らぎ、
ためらいながらも、やっと素直に言葉が出た。

「・・・とんでもない・・・。
私の方こそ、君を驚かせた上に、
あんなおとなげない真似をして・・・・。
本当にすまなかった。」

私の言葉を聞くと彼女は安心したように
微かに微笑み、ゆっくりと首を横に振った。

「お気を悪くされていたんじゃなくて、良かったわ。」

人を安らがせる笑顔だった。
いつまでも見ていたい、そんな美しい笑顔だった。
私は、自分が彼女とは違うのだということすら忘れ、
彼女の笑顔につられて思わず微笑み返し、しかしすぐに
自分の醜さを思い出し、無防備に微笑んでしまった自分に
困惑し、狼狽した。

しかし彼女は、そんな私のみっともない笑顔を見てさえ、
とても嬉しそうに、もっと相好を崩した笑顔になり、
少しだけためらうように続けた。

「本当に良かったわ。
怒ってらっしゃるとばかり思っていたものだから、
実はとても不安だったんです。」

少しはにかみながら嬉しそうに私を見る彼女は
幼い少女のようにも見えた。
私はそのまま彼女を見つめた。

「なぜ、君は私のこの顔を特別視しないのかね?」

私は、今こそ彼女にそう尋ねようと思った。
喉元まで、再び、そんな言葉が出かかっていた。

しかし、あまりにも屈託のない彼女の笑顔を見て、
気持ちが揺れた。

私の顔はこんなに醜いのだ。
人から蔑まれ、怖れられ、疎まれる、そんな顔なのだ。
それなのに、そんなことは全く問題ではないような態度で
普通の人と同じように私に接してくれる彼女に、
それがなぜなのか、私は尋ねたかった。
その理由がとても知りたかった。

しかし・・・

実に無防備に無頓着に、私のこの醜さを全く気にせず、
優しく慈しみに満ちた笑顔を向けてくれる彼女を見ていると、
そんなことはどうでもいいじゃないか、
とも思うようになっていた。

なぜなのか、どうしてなのか?

そんな理由なんてどうでもいいじゃないか。
このままでいいじゃないか。
こうしてこのまま、この女(ひと)が嫌にならない限り、
自分の醜さを忘れてしばらく休んでもいいんじゃないか?
私はそう思った。本当に、そうしたかった。

私は言った。

「・・・いい匂いがする・・・。」

ああ、とうなずくように彼女が応えた。

「スープを作ってるんです。
何も材料がなくて、質素なものなんだけど。
ずっと何も食べていないでしょう?
具合がよければ、そろそろ何か、
お腹に入れた方がいいわ。
もう少し煮込んだ方が美味しいと思うから、
もうちょっと休んでいてください。
なるべく急いで支度しますから。」

そう言うと彼女は、また私に背を向けると、
再び、鍋の方へ注意を向けた。

耳を澄ますと、微かにグツグツと何かが煮える
音が聞こえる。
部屋には優しい香りが充満している。
荷物の少ない、決して豪華ではない小さな部屋。
壁に飾られた、小さな額の中のシンプルで美しい絵。
のりの効いた真っ白いシーツとピロウカバー。
私の足元では二匹の猫が寄り添い合って眠り、
ベッドサイドの窓からはカーテン越しに
午後の優しい日差しが差し込む。

これは夢なのではないか?
私はふとそう思った。
今、自分が置かれた状況があまりにも
幸福すぎ、美しすぎることに戸惑いを覚えた。
私に、今のこの私に、この風景はあまりにも
似つかわしくないような気がした。
夢でも仕方ない、とも思った。
夢なのだと思えたほうが、気が楽なような気もした。
でももし夢なら、どうか醒めないでいて欲しい。
少しでも長い間、見せていて欲しい。
私は目を閉じ、心の底から、祈るような気持ちで
そう望んだ。

「monsieur?」

目を開くと、彼女が立っていた。

第10話に続きます。

++++++++++++++

週末でちょいと時間があったので、
連続UPしてみました。
ああ、早く先に進みたい!!

各話にコメントくださった皆様、
本当にありがとうございます。
励みになります。スゴく嬉しい!
さぁ、皆でマリアになりましょう(*^-^*)!!!
コメント (26)
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