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鏡の向こうの物語 第3弾 第13話

2005年05月06日 | FanFiction:鏡の向こうの物語
※ご注意※
この物語は「オペラ座の怪人」に魅せられた管理人、音去の
個人的なファンフィクションです。
三枚の鏡を割り、地下の隠れ家を後にしたPhantomの
その後を描いたお話です。
管理人は実に個人的な思い入れにより、とにかく
あの後のPhantomを幸せにしてあげたい一心で
描いておりますので、読まれて不快に思われる方も
いらっしゃることと思います。
なお、物語中に登場する人物の名称は実在の人物とは
何ら関係がありません。
以上を十分にご理解の上、ご興味のある方のみ
お読みいただきますようお願い申し上げます。
また、この記事の無断転載・無断転用・二次使用を固く禁じます。











鏡の向こうの物語 第三弾 第12話の続きです。

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the story behind the mirror
~ may be your story ~

彼が姿を消した日から何日かは、
考えまいと努力しながらも、心のどこかでは、
彼が戻ってくるのではないかという気持ちが
消し去れずにいた。

彼が戻る場所を持たないだろうことも、そして
持ち物は指輪一つという状態の、それに加えて
彼のような容姿の男に対して、いわゆる世の中の
「善男善女」がどう反応するかということも、
どちらも想像に難くなかった。

彼が戻れる場所はここしかないのではないか?

忘れようとしながら、そんな思いがいつまでも
心の中にくすぶり続けた。
しかし、彼は数日たっても戻らなかった。

そんなある日、ノワールまでもが姿を消した。

もうじき春になるはずなのに、まだまだ寒い夜。
遅くなると雨になるとの予報だった。気温に
よってはまた霙まじりになるかもしれない。
そんな夜のことだった。

仕事を終えていつものように部屋のドアを
開けた私の足元に、その日は誰の出迎えも
なかった。何となく嫌な予感がした。

成猫のブランは、日によっては自分のベッドに
眠ったまま私を迎える時もある。大人の彼女は
心地よい眠りを遮ってまで私のそばに急いで来ても
何も良いことなどないことを知っているのだ。

しかしノワールは、私が帰るとどこにいても
大急ぎで跳んできて、私がイスに座り、自分が
私の膝の上に飛び乗って丸くなるまでずっと、
自分の体を私の足にすりつけながら私の足元を
ちょこまかちょこまかと動き回るのが常だった。

彼に命を助けられ、うちに来てからノワールが
私の出迎えに来ないのは初めてだった。

具合でも悪いのではないか?

まず、そう思った。
部屋の灯りを点け、彼の姿を探した。
そう広い部屋でもない。探すのにそう時間は
かからない。

まず、ぼんやりと白いブランの姿があった。

彼女は、ノワールが気に入って良く隠れていた
書棚の前に座っていた。

「ブラン・・・。どうしたの?」

彼女は私の顔を一瞥すると、書棚の隙間に
手を差し込み、覗き込み、しばらく眺めていたかと
思うと、今度はベッドに移動し、ベッドの下を探すように
またそっと覗き込んでは首をかしげている。

ブランはノワールを探していたのだ。

「ブラン、ノワールどうしたの?」

私はブランに尋ねながら、同じように、彼が好んで
隠れていた場所を覗き込んで探した。
一通り探したが、彼はいなかった。

調べてみると、キッチンの出窓が小さく、
本当にほんの小さく、開いていた。
小さな仔猫がやっと通るのに最低必要な
くらい。そんな隙間だけが開き、外からの
冷たい風を中に吹き入れていた。

カギをかけたかどうかまでは定かではないが、
窓を開けたまま出掛けた記憶はない。
どうやったのかわからないが、ノワールは恐らく
自分で窓をこじ開け、ここから外に出て行って
しまったのだ。

私は息を吸い込むと、大きな溜息を一つついた。

私の部屋から逃げて行ってしまった猫。
それは恐らく、彼の人生の選択なのだ。

私は彼に対して出来るだけのことをした。
そして彼が出て行ってしまったのなら、
本来は追うべきでも探すべきでもない。
それが私の持論だった。
人に対しても、猫に対しても、私は
そんな風に考えて生きてきた。
女が一人で生きていこうと思ったら、
そうでも思わないとやっていけない。

今までもそうして別れを告げた猫たちが
何匹もいる。
恐らく、あるものは生き延び、あるものは
命を失ったのかもしれない。
しかし、いずれにしても、そうして訪れる結果が
彼らの持って生まれた運命なのだ。
私はそう思うようにしていた。

しかし、不思議と、ノワールのことは妙に
気にかかった。
片目なのに両目の猫よりも鋭く何でも
見通してしまいそうなエメラルドの瞳。
仔猫のくせにどことなく気位が高く、そのくせ
実はやんちゃで甘えん坊。神経質なくせに
どことなく無防備で憎めない。
今まで色んな猫と出逢ってきたが、仔猫とは言え、
たった数日でこれほど私の心を虜にした猫は
彼が初めてだった。

ブランも同じ気持ちなのか、さっきから落ち着かず
懸命にあちらこちら、ノワールの姿を探している。

「仕方ないわね・・・。ちょっと探してくるから。
ちゃんとお留守番していてね。」

ブランにそう言い残し、フードを羽織ると
私は小雨の降り始めた中を外に出た。

ノワールはいつごろ家を出たのだろう。
仔猫というものは、どのくらいまで遠くに
行けるのだろう?
家出猫を探したことなどない私には
全く見当もつかず、とりあえず、私の部屋から
彼がいた場所まで、路地を探しながら
歩くことにした。

ノワールが彼に抱かれていた路地まで。
そこまで探して行ってもみつからなければ
やっぱりあきらめよう。

そう自分で決めながら、私は小さな物陰を
ひとつひとつ丁寧に探して歩いた。
そんな風に区切りをつけないと、一晩中でも
探してしまいそうな自分が心配だったのだ。

何匹かの野良猫とは出逢った。
猫の言葉がしゃべれるのなら尋ねてみるのに。
しかし残念ながら、彼らと意思の疎通は
できなかった。

ゆっくりと、少しずつ、初めて彼と、
そしてノワールと出逢ったあの路地が
近付いてくる。

「あそこにもいなかったら、ノワール、
きっとあなたとはもうお別れよ。
それでいいの?」

そぼふる小雨にぐっしょりとフードが濡れ、
冷えた体で、私はどこにいるのかわからない
ノワールに向かってつぶやいた。

最後の角。この路地にいなければ、
「迷子さがし」はもう、おしまい。

とうとう最終地点に着いてしまった。
私はその路地裏を、そっと覗き込んだ。
何の気配もない。
勇気を出して、何歩か立ち入ってみる。
しかし、人も、猫も、そこには何もなかった。

もう少し探し続けたい自分の気持ちをいさめて、
私は後ろに振り返ると、ゆっくりと、今来た道を
引き返し始めた。

もう一度、さっきも探した小さな物陰や隙間を
再び丁寧に探しながら、またゆっくりとゆっくりと
今度は自分の部屋に向かって歩いた。
本当に体が冷えきって、歯が鳴った。
早く部屋に戻って体を温めないと・・・。

とうとう自分のアパルトマンに着いた。
心残りだったが仕方ない。
エントランスから中に入ろうとしたその時。
どこからか、小さな声が聞こえた。

「みぃ・・・」

「ノワール?」

「みぃぃ・・」

仔猫の声はどこから聞こえるのか
判りにくい。

「ノワール!どこ?」

私は呼びながら耳を澄まし、
アパルトマンの回りを急いで見回した。
彼の姿はない。

ふいに建物の向こう側で人影が動いた。

私は驚いて、すくんだ。

しかしそれは、初めて会った時と同じように
ノワールを両手で大事に包み込むように抱いた
彼の姿だった。

「ノワール・・・!」

本当は彼の名を呼ぼうと思ったのに、
名前を知らなかったことを思い出し、
私は思わず猫の名を呼んだ。

彼は、ゆっくり近付いてくると、
すまなさそうな顔をして俯きながら言った。

「近くにいたら、さっき出会って・・・。
 ここに連れて来て、ここに置いて
 行こうとしたんだけど・・・、
 コイツが、離れてくれなくて・・・。」

子供が言い訳をするみたいに、
ためらいながらそう言うと、彼は
ノワールをそっと差し出し、私に託した。
雨に濡れ、冷たく冷えた彼の手に触れた。
どのくらい彼らはここにいたのだろう?
私は彼から受け取ったノワールを胸に抱いた。
ノワールは温かかった。

「コイツを君に返せて、良かった。それじゃ・・・。」

彼はそう言うとすぐに私に背を向け、歩き出した。

「・・・・お願い、ちょっと待って!」

思わず私は小さく叫んだ。
彼は立ち止まり、こちらを振り向いた。

「温かい飲み物でも入れるわ。
 ちょっとだけ、寄って行って。」

そんな言葉が口をついで出たことに
自分でも驚く。
しかし男は少し寂しそうに見える笑顔で
首を横にふると、また歩き出そうとした。

「お願い、行かないで!」

さっきよりも大きな声で私は叫んだ。
彼は驚いたように再びこちらを振り向いた。

「行かないで。」

私は立ちすくんだまま彼を見つめ、もう一度、
同じ言葉を続けた。
自分でも何を言ってるのか解らなくなっていた。
心臓がドキドキと音を立て、寒さのせいなのか
緊張のせいなのか、足もガクガクした。

上手にしゃべることさえ出来なかった。
ただ、ここで彼を行かせてはいけない、
とにかく引き止めなくては。
直感みたいな本能みたいな部分が
そう叫んでいた。
絶対に彼を行かせてはいけない。
頭の中はただそれだけだった。

馬鹿みたいに私はまた続けた。
声がうわずって泣き声のようだった。

「行かないで。お願い。行かないで。」

彼は体ごとこちらに振り向いた。
少し離れて、私たちは向かい合い、
冷たい雨の中、びしょぬれのまま
同じように、どうしたらいいのかわからない
困ったような、泣き顔のような顔で
お互いを見詰め合った。

やがて彼がこちらに歩き出し、私の前に
来ると、優しく言った。

「とにかく、ノワールを中へ入れてあげよう。」

第14話に続きます。

+++++++++++++++++++++++

お待たせしましたー。続き、出来ました!

うひゃぁ~(*^-^*)。
帰ってきましたねぇ。良かった良かった(笑)。

ノワールは「命の恩人」を呼び戻すために
大冒険をした、って感じですかね。

私としては、
『やっと二人がスタート地点に着いた』
って感じです。
今回は「エロ」はナシです(笑)。

物語はまだまだこれからだ!
お楽しみにぃ。

15分に一回!GERRYにVOTEヨロシク!(2005.5.31まで)
狙え逆転!僅差で二位に甘んじている
次期ボンド(007)候補にも
投票ヨロシク!(一人一日一回)
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15 コメント

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凱旋? 2人ともカゼひくよ (ちるる)
2005-05-06 04:13:14
うわあ~い!

GerryPhantomが帰ってきたあ

うれしい!



マリアが「しかたないわね..」と言いながら探しに出掛けるとこ、本当はすぐにでも探しに行きたい!気持ちがみえます。

>子供が言い訳をするみたいに、

ためらいながら

音去様の好きなあの顔でですね!キュン!



>困ったような、泣き顔のような顔で

お互いを見詰め合った。

...NOWLが聞こえてきました。

素敵なお話、いつもながら、共感・賛同・感動です。(私の貧弱なボキャブラリーでスマソ)Hhaa~(←ため息)

Gerryの瞳に映ってみたいものです。

パリの寒い薄暗い空の下、二人の肩に落ちる

小雨の音が聞こえてきます。白い吐息も。

石畳に微かに光る街灯も見えてきそうです。

楽しみにしてます。

いつも、みんなが眠った頃にこちらにくるので、つい深夜から朝になってしまいます。

私はGW中Gerry(すっかりはまってしまいました)に会えなかったので、今日やっと行けます。ヤキモキ・ドキドキ

音去様も夜更かし上手(?)ですがお体大切にして下さい。楽しみにしてます!
返信する
会いたかったわ! (ミ・アモーレ)
2005-05-06 06:32:14
もう1回ぐらいじらされるかと、覚悟してました。



ノワールはきっとファントムの気配を感じてたのね。ファントムは、部屋を出たものの、今まで味わったことの無い気持ち(幸せ)のあったマリアの部屋を忘れかねて、日に何度か近くまで来ていたのかもしれませんね。

灯りのともった部屋の窓を見上げ、中で過ごしているノワールとブランとそして、あの気持ちをくれた人のことを思っていたのでは…

きっとノワールは気配を感じるたび、じれったい思いを募らせていたんだ。



ああ、朝から困った私。
返信する
今日は休みじゃないじゃん~ (オペラ座の愛人)
2005-05-06 06:45:57
朝から困った私 2号



>・・・私の心を虜にした猫は彼が初めてだった。

もぅほんとは猫のことだけじゃないくせにぃぃ・・・



マリアの台詞にじ~ん・・・

一人で生きていくために感情を抑えてきたマリア・・・

マリアも少しずつ自分の殻を破っていっているんですね。

二人の距離がすこしずつ近くなっていくさまがよいです。



あ~久々に間まともなコメント書いた気がする。出遅れるともう書くことないんですもん。熱心な生徒さんばかりで・・・



「エロ」なしでもいくらでも妄想できます。

stoicな感じがまた・・・むふっ♪
返信する
朝から困った2号さまへ (ミ・アモーレ)
2005-05-06 07:01:46
今朝のコメントにブラビッシマ!



はじめまして、ミ・アモーレです。

私は心情の掘り下げが、すぐファントムの方へいっちゃうとうい欠点を抱えています。

マリアにより添えるあなたがうらやましい。
返信する
ずっと・・・ (J.O)
2005-05-06 08:26:02
待っていました・・・。



映画館に行くことの出来なかったこの数日、”彼が姿を消した日から何日かは、・・・心のどこかで彼が戻ってくるのではないか・・・”私自身も見えない彼を探して、そうでした=^・^;=



もう少し、もう少し・・・と思ってしまい、自分に対してノワールを探すのをあきらめる折り合い点をつけなければ探し続けてしまいそうな彼女に、心が寄ります。



とうとう家に着いてしまったマリアの前に、彼らがいてくれてよかった・・・。



運命の猫・ノワールは、この先彼らをどんな風に結びつけていくのでしょうか・・・。
返信する
I have come here~ (松の緑)
2005-05-06 08:32:18
for the purpuse of .....



え?

何?

よく聞こえないわ

あなたのpurposeを教えて!(笑)

>エリックさま、&音去せんせい







>音去せんせい



もしかしたら、日劇ファイナルの後まで、

お預け!かも、と案じていました。

マリア(達)に再会できてうれしいです。





返信する
子供らを送り出したところで・・ (オペラ座の愛人)
2005-05-06 10:36:30
ミ・アモーレさま

はじめましてですね?ほんと。

でもお名前は存じておりました。



お褒めいただき恐縮至極でございます。



>マリアにより添えるあなたがうらやましい

ただ単に勝手にマリアに同化しているだけの虚け者でございます。
返信する
心配してたのよ ()
2005-05-06 15:47:54
「これまで一体どこで何をしていたの?」とマリアを押しのけて(?)問い詰めたい思いに駆られております(笑)

ファントムは少しやつれているのかしら。

でも、それもまた憂いを帯びて一段と素敵かも・・。

すみません、私、このところ禁断症状で少しおかしくなっているようなんです。

GW中は「よき妻・よき母」でいようと心を決めたものの、妨げられて更に燃え上がる恋心とはまさにこのこと。

「ノワールにはファントムの声がhearできたのね。」と猫に嫉妬を覚えるところまできてしまいました(笑)。



「行かないで。お願い。行かないで」ってマリアの言葉。いいですよね・・・。

ファントムがクリスにはいえなかった言葉。

そして、きっと、ファントムが他人から一番

言ってほしかった言葉ですよね。

自分を必要としてくれる他人の存在を知った

ファントムはどう変わっていくのでしょう。



ああ、次が読みた~~い!

なんだか、禁断症状がさらに悪化したような・・・。
返信する
ボンド (ちるる)
2005-05-06 18:35:27
Gerry今、一位!!!



返信する
オアズケもつらかったです (kaori)
2005-05-06 19:44:06
行かないで!!

私が言いたかった。なんだか、GBnetのファントムメイクで笑っているGerryを見たときからこの物語のエリックの映像がよりリアルに鮮明に脳内上映されてます。

オアズケの期間、よだれが床まで届いてましたよん。
返信する

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