今日は息子の月命日だ。だから私は朝から墓参りに出かけていた。
曇り、雪、晴れという実にややこしい天気だ。携帯カイロを持っていかなければ手がかじかんで墓石が拭けないな。
やたらどろどろの墓石をぴかぴかに拭き、草抜きは寒いから まっ、いっかぁ 許せ息子、おかんは相変わらず ええ加減だよ。 花をたむけ、コーラーにポテチ、チョコパイを供え そっと 目を閉じた。
両手を合わせ姿の見えない息子に心で語りかける。
「おかんは、たいして強くなれないものだ」と、 もちろん息子からの「返事」は、ない。
私は、夢うつつになりながら遠い過去と現実を行き来しはじめていた。
思えば、自分の「運命」や生い立ちを、まるごと受け止められるようになったのだろうか・・・
おかんを残して逝った息子のことも今となっては、恨むどころかむしろ哀れむ余裕すら生まれなければならない。おかんの人生はかわらなければならない。
不運に感じていた「運命」すらも飛躍するための心のバネとして利用する術を覚えただろうか?
抱えていた精神の苦痛が大きければ大きいほど、それを大きなエネルギーに変えることができた気がするだろうか?
息子は何も答えてはくれなかった。
私の心の底辺はいつも、実体のつかめないような「影」におおわれ続けていた。影には、厚みもなければ温度もない。実体がない分、それを引きはがす方法も見つからない。もちろん、気は持ちようだと自分を鼓舞してみても、それは単なる虚勢であることを、おかんが一番よく知ってもいた。
太陽と、
雪と、
風と、
雨と、
おかんの、
位置関係。
大丈夫、上を向け。
泣き笑いで、魔法の呪文を唱えながら。。。
曇り、雪、晴れという実にややこしい天気だ。携帯カイロを持っていかなければ手がかじかんで墓石が拭けないな。
やたらどろどろの墓石をぴかぴかに拭き、草抜きは寒いから まっ、いっかぁ 許せ息子、おかんは相変わらず ええ加減だよ。 花をたむけ、コーラーにポテチ、チョコパイを供え そっと 目を閉じた。
両手を合わせ姿の見えない息子に心で語りかける。
「おかんは、たいして強くなれないものだ」と、 もちろん息子からの「返事」は、ない。
私は、夢うつつになりながら遠い過去と現実を行き来しはじめていた。
思えば、自分の「運命」や生い立ちを、まるごと受け止められるようになったのだろうか・・・
おかんを残して逝った息子のことも今となっては、恨むどころかむしろ哀れむ余裕すら生まれなければならない。おかんの人生はかわらなければならない。
不運に感じていた「運命」すらも飛躍するための心のバネとして利用する術を覚えただろうか?
抱えていた精神の苦痛が大きければ大きいほど、それを大きなエネルギーに変えることができた気がするだろうか?
息子は何も答えてはくれなかった。
私の心の底辺はいつも、実体のつかめないような「影」におおわれ続けていた。影には、厚みもなければ温度もない。実体がない分、それを引きはがす方法も見つからない。もちろん、気は持ちようだと自分を鼓舞してみても、それは単なる虚勢であることを、おかんが一番よく知ってもいた。
太陽と、
雪と、
風と、
雨と、
おかんの、
位置関係。
大丈夫、上を向け。
泣き笑いで、魔法の呪文を唱えながら。。。