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ねここねこの家

写真ありで我が家の出来事、
主人と、猫ちゃんず(×3)の普段の様子
思いのままのブログ日記♪

アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 31話 「傷」

2019-09-24 00:13:02 | 小説

31話 「傷」


「アベルト!知っているよ彼らは。だってあの速さはマーズの鉱石でしかあり得ないじゃん」


笑いながら、おかしさを堪えながらカイリは話す。


「質問を変えよう。セイナ・凛を知っているか?」


アベルト・ゼスタローネは機体から出たわけではなくハッチが開いているだけだった。

攻撃できる状態じゃないことは誰もが分かっていた。

セイナの名前を聞いて守里に少しの動揺があった。


「知っているんだな?」


相変わらず無表情で聞いているとカイリの表情が変わった。

守里が何も答えられないままでいると、ベラーナが飛んできてジャイワナーゾに向かって撃つ。

反撃の姿勢をとるジャイワナーゾに守里が立ちはだかった。


「セイナに何か用ですか?マーズの鉱石は…」


守里はハッチの扉が閉まって自分に向くことを察知した。


「弱点は!」

心の中で叫ぶ守里。


「関節なら…」

守里は黒く大きな機体の腕の関節部分を至近距離から攻撃する。


火花が散ってみんなが目を閉じた瞬間、大きな黒い機体の腕より手前に当たった。

鈍い音と同時に声がした。

腕の部分に直接当たってしまったからだった。


「ゲラザロナに攻撃は無駄だ」


声に表情もないまま、ゲラザロナと呼ばれていた機体がGビャクヤの足の関節を撃ってきた。

その時、Gビャクヤの刀が光ってクロスに防御した。


ジャイワナーゾの存在を忘れていたGビャクヤは、前後から挟まれた。


「あのさぁ。死にたきゃいくらでも…」


カイリは少しイラついて言うと、ゲラザロナから声がした。


「セイナ・凛に伝えるんだ。マーズの鉱石と他の大切な物を渡せと」


守里は不思議な感覚だった。

いくらでも攻撃できるのになぜしないのか、ジャイワナーゾもだ…と。


その時ベラーナが叫んだ。

「いねーよ!ここには!別行動だ!今頃アラスカあたりに…」


そこまで話した時、ジャイワナーゾがベラーナ機の足を攻撃した。

右足の関節部分から下が落ちていたが、守里はベラーナ機が見えていなかった。


「ベラーナ!」

守里が叫ぶと、笑いながらカイリは言った。


「たかが足くらい…」

それを制してアベルト・ゼスタローネは言った。


「伝えろ」


無表情な声でアベルトが告げると、高笑いをしていたカイリが一言告げる。


「今日はここまでってわけ?アベルト。まあ、いいさ。強くなったらおいで」


ベラーナが片足を奪われていたまま悔しそうにしていると、守里はそれを察知してすぐに答えた。


「セイナがどうしたって言うのさ!」


アベルトは相変わらず声を変えずに言った。


「伝えろ」


怒るわけでもないままが反対に不気味だった。

同時にセイナに聞く必要があるとも感じていた。


「おい!剣!」

ベラーナが言うと、守里は武器を閉まった。


「悔しいが今は勝てない…」煮えたぎりそうな思いで心の中で言った。


急いで飛び立つアベルトとカイリに何もできなかった。


誰も何も言わなかったが、守里は黙ってゲンナ号へベラーナと帰った。


セイナが守里に説明しようとすると、黙って自室に帰っていく。

ベラーナはセイナに対してジッと見つめたまま、すぐに去ってベラーナ機の方に行った。

一言だけ去り際に声をかけた。


「しばらくそっとしておいてくれ…」


セイナは黙っていたことで、守里やベラーナを傷つけたことを感じた。

トキノはセイナの肩に手を置いて慰めた。

カンナとララには為す術がなかった。


セイナは落ち着いたら全部を話そうと決めていた。

 


アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 30話 「アベルト・ゼスタローネ」

2019-09-23 10:52:53 | 小説

30話 「アベルト・ゼスタローネ」


「座標もここを指しているよ〜」


ロロナの説明である場所に降り立った守里たち。


「寒さは変わんないね…剣…さむ!」

ベラーナが言うが、守里は真剣に辺りを見て確認している。


リリアンも出てきておばちゃんの説明とロロナの示す位置、守里の説明を考え込んでいた。

「廃校だったのよね…じゃあもうないかも。でも…」

そこまで話すと守里は走り出したので、リリアンとベラーナ、外の出かけてあくびをしていた麻生も走り出す。


「ここだ!うん!ここに廃校があった!あの教会はまだあるから!」


守里が興奮して教会を指差して言うと、廃校だったらしき場所はグラウンドのようになっていて、そこの近くに人がいないような教会が手入れだけされているようにあった。


リリアンは守里に聞いた。

「お爺さんの家はあるの?」

あまりにも閑散としている光景に、守里は首を振って答えた。


「…ないですね。と言うかこの辺何もなくなっている…」と答えた。


確かに壊れているような家が数軒あるくらいで、周りは山々に囲まれていた。


場所を缶バッチ通りに探していると、ロロナが言った。


「鉄筋がある〜」


守里とベラーナと麻生は雪を掘ってみると、何かの板が出てきた。

「はあ…雪が重いは!この板不自然だな」


その時ロロナが言った。


「敵が凄い速さでくるよ〜危険!」


「そっか…あいつらも探しているなら当然か!剣!ゲンナ号へ急げ!」


守里とベラーナが急ぐ。

麻生とリリアンは走ることをやめて、木の下へ隠れた。


リリアンが「私たちはこの辺にいて合図を送るわ!またきて!」


「分かりました!」守里は叫びながらゲンナ号へ急いで、Gビャクヤの乗って準備をした。

ベラーナも急いで機体に乗った。

降りなかったララは既に自分の機体で待機している。


「ベラーナ機発進!」

先に発進したベラーナ。


「Gビャクヤ発進します!」

続く守里だったがベラーナの左後ろに控える。


ララ機は待機の状態でいると、ザンラが2機飛んでいた。

その発見と同時にマシンガンを撃ってきた。

とっさの判断で守里が後ろを見るとザンラが1機近づいてきている。


無線で前のザンラをベラーナ機に任せた守里。

同時にセイナに「指示してくれ!麻生さんが今はいない!」

セイナは「ベラーナ機の前に2機と剣の後ろに1機だけで、後続機はいないよ!」と叫ぶ。


何かおかしい…と感じた守里にセイナが言った。


「待って!何か剣の後ろに2機いる!」


同時くらいに剣は刀でザンラと戦っていた。

「剣!手強いぞ!」

ベラーナは2機相手にマシンガンと渡されていたアサルトで戦う。


守里が手の部分と足を狙うとザンラは墜落して爆発した。

ベラーナも1機落とす。


いつの間にか目の前に前に見た黒い大きな機体がいた。

「弱点はどこだ!」

探している時だった。


セイナが「剣!危ない!」と叫ぶと同時に後ろから声がした。


後ろの大きな機体の銃口が完全に守里に向いている。


「やっちゃうよ?」


無線が切り替わり後ろの機体が叫ぶ。

守里はジャイワナーゾだと分かった。


黒い機体から男が現れたが、ハッチが開いただけでパイロットスーツではなかった。

「誰だ…」

守里が思っていると、相変わらずジャイワナーゾは銃口を向けている。


「名前を聞く気はないが、マーズの鉱石を知っているか?」


無表情で聞いてきた。


ベラーナはもう1機落としていると同時に叫んだ。


「知るか!」

ベラーナが叫ぶと、ジャイワナーゾが銃口を守里に向けたまま笑い出した。


「面倒だよアベルト。はは。やっちゃうよ?」


笑いながら、さらにジャイワナーゾの機体から声がした。


「一応言っておくけどさ。俺はカイリ。知る必要ないかもしれないけどさ」


笑いながら話している余裕があった。

誰もが絶対絶命だと思っていた。


「これか…こいつがアベルト・ゼスタローネか…」飛んだまま心の中で守里は思った。


緊張が走る中、余裕でいるアベルト・ゼスタローネとジャイワナーゾの機体のカイリ。


「もう1度聞く、マーズの鉱石を知っているか?」


一瞬だったかもしれない時間だったが、沈黙が走った。



アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 29話 「客人」

2019-09-22 13:57:30 | 小説

29話 「客人」


「ゲンナ号でとりあえず話そう」


麻生が言い出すが、守里やベラーナ、セイナは寒すぎるためそれぞれの機体が気になっていた。


「ここは一旦雪のないところ…があるか分からないけど、せめて少ないところに移動しませんか?」

守里の提案に、ララ、カンナ、トキノセイナ、また麻生もリリアンもセイナも納得してゲンナ号に乗り、守里とベラーナはお互いの機体に乗って移動した。


ララはドッキングから離れてゲンナ号に戻ることになっていた。

守里もベラーナも後に続く。


「おお、ここなら天気良いから雪も少なめな感じじゃないの?」

ベラーナの言葉で降りたが、辺りは閑散としていた。

「まあ…ね、ある意味…凄い田舎だけど違うかな…剣?」


どうしても寒がりなベラーナは、声を震わせながら守里に聞く。

温かいホットチョコをみんなに持ってきたララに、みんなが喜んでいた。

守里だけが落ち着かず、配ってくれたホットチョコを持ちながらセイナと麻生が作った自室に戻った。


狭い空間内ではあったがベラーナと守里は、仕切りを隔てて同じ部屋だった。


セイナが心配そうに部屋に行くと、大きな声が聞こえて守里だった。

ドアが開くとセイナは驚いたが、守里も驚きつつ言った。


「ロロナ!地図をスクリーンに!」

守里が叫ぶと同時くらいに、ロロナはスクリーンに辺りを示した。


「あ、そこそこ!思い出したんだ!東の方を示して」

とロロナに指示を出す守里。


何を思い出したかをリリアンと麻生が聞く。

「廃校があって、教会の牧師さんと爺さんの犬がよく懐いていた、って葬儀で親父が言ってたんです。その場所が駅より凄く離れてて、途中で道が大きく曲がっていて…その後S字のカーブがあって…」


ロロナが「発見!」と言った。

「そこまでしか覚えていないけど、行ってみれば分かるかもかな。ほんと何もないところだったから」

そこまで守里が言うと、麻生が何かに気付いたように話し出した。


「もしかすると…その場所に鍵穴のあるところがあるのかもしれん」

みんなが同時に麻生の関係で、アサノブ氏によって鍵が残されていたこと、でも鍵穴らしき場所がなかったことを思い出す。

「守里君の親父さんはシロハタ・カンパニーの関係者と言っていたよね?」

麻生が聞くと頷く守里。


「まあ…親父さんやお爺さんとどんな関係があるかは分からんが、マーズの鉱石がそこに今はある可能性もある」

麻生の話を真剣に聞いていた守里とみんなは、顔を見合わせてからトキノが言った。


「日本に近づいているアゼラ…ね…守里君の友達もどこかにいるのか…」

沈黙の後リリアンが話始めた。


「廃校があるって言ってたわね。それと大体の場所。別行動が良いかもしれないわね。セイナの作ったゲンナ号も武装しているし…ベラーナと守里君は友達探しとか…が良いんじゃない?」


ゴンゴンと鈍い音がしてロロナが「誰かいる〜」突然のことでみんなに緊張が走った。


「あんたらも仲間かいな?でっかいのが最近ウロウロしてて困るだよ」

と大きな声でおばちゃんらしき人が3人ほどで騒いでいる。


セイナがスクリーンに出すと、地元の人らしき人がいて驚いている。

ロロナを通してセイナが出られない旨を説明すると、今度は誰かが蹴ってきた。


ララが怒って「頭にきた!あたし出て行くわよ!」とドアを開けると、中のみんなが付近に集まって警戒した。


「あらやだ、動くんだねこれ、あんたら何しとるん?」とおばちゃんが驚いて言った。

そこへ出番とばかりベラーナが簡単に、この場所に行きたいけどと、守里の言っていた場所についてペラペラ聞いている。


みんなが呆気にとられているとカンナが、ため息混じりに言った。


「あいつ…おばちゃんい強いから…話術なら負けないわ」


その言葉通り、おばちゃんは陽気に話し出したベラーナに場所の説明をすると、息があっているようだった。


「気をつけて行かんとダメださよ」

おばちゃんの協力の元、ゲンナ号が動き出す。

守里とベラーナの機体はゲンナ号の外側にあった。


おばちゃんたちは驚きつつ笑っていると、守里が不思議そうになぜ得意か聞いた。


「実はさ、俺って『話術の達人』って言われていたんだよね!」

若干偉そうに話すと後ろからカンナが頭を叩く。


「なーに言ってんの!単純なだけじゃない!そんなことよりアゼラより先に着かないとなのかもね?」


守里は自室に戻り「勇気」と書いた缶バッチを手にとった。


守里は「マジで大事だよ」不思議と繋がっているかもしれない出来事に、「勇気」の缶バッチを握って心の中で言った。


鏡と安藤のことを考えつつ、黒い機体の存在は忘れられなかった。



アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 28話 「写真」

2019-09-21 17:10:56 | 小説

28話 「写真」


「宝物って…まあ確かに俺にとってはそうですが、他に意味があるんですか?」


守里が聞くと、小林は「私は72歳になるが爺さんの残した遺産の一つが行方不明でね。兄が2人いるが血眼になって探していたんじゃよ。ところがどこにもない。1人は亡くなってしまったが、もう1人は初めは私が持っている、と疑っていたが、今じゃ疎遠になっているんじゃよ」


暖炉で暖まっていたみんなも不思議そうに聞いていた。


「爺さんは缶バッチを集めるのが好きでね。兄達は信じなかった。そんなガラクタに価値はない。おそらく他にないか探しているとき落としたんじゃろ。鑑定士まで呼んで価値を見出していたくらいじゃ」


若干寂しそうに暖炉の前の椅子に座って話しているのを、同じく寂しげにみんなも聞いていた。


守里は「缶バッチはどうなったんですか?価値のあるものもあるはずだし、ここには何か彫ってあります」と缶バッチを見せて話し出した。


「ほう…」と懐かしそうに見つめつつ、老眼鏡を探してきて見始めた。

「暗号じゃろうが、どうみても場所にしか見えんな」突吠えんで言った。


「ただ…場所も分からんし、何があるかも分からん。缶バッチの山が出てくるかもしれんな」と笑い出した。

「私は元エンジニアだったからなぁ…」窓の外を見ながら話し出すと興味深い話だった。


「私と麻生はマーズの鉱石について調べるうちに、不思議なことを知ったんじゃ」と真剣に話し出した。


興味深く聞いていると、急に話を変えたのでみんなが戸惑って顔を見合わせた。

「この志賀高原の池なら冬はあまり見に行くことを進めないがなぁ」

手ではいそいそと何かを書き出している。

みんなが注目すると「ドアの外に誰かおる」と書いてあった。


ララが何か言い出そうと身を乗り出すと、カンナは機転を利かせて話し始めた。

「残念だなぁ…でも小林さんに会えたから良かったかも、ね!みんなで観光は春か夏がいいかもね!」

トキノが続けて「夏は避暑地だから暑さ凌ぎには持ってこいだわね!」


セイナも時計を見て40分ほど過ぎていたので合わせて言った。

「小林さん!私たちまた夏にくるけどいいかなぁ?」

小林は「来年の夏まで生きていたらじゃな」


みんなが笑っていると、ベラーナがドアの近くで耳を澄ませていた。

足音が遠のいて行くのが分かったらしく、OKと示した。


小林が「裏かね?」と聞くとみんなが頷くと近道を教えてくれた。

念のためみんなで雑談をしつつ、麻生と守里、ベラーナだけで小林と話していた。

麻生は静かに「マーズの鉱石が?」小林に聞く。


「マーズの鉱石…だと思うが本当に分からん。しかも教会もどこか分からんなぁ」とお手上げのように答えている。

小林は守里に缶バッチを隠すように伝えて、みんなに別れの挨拶をした。


「ちょっと待った!爺さんの頃のどこで撮ったか分からない写真があるから役に立てておくれ」

写真を見ると古びていたが、どこかで見たことのある光景のように感じた守里。


「多分ですよ?多分ですけど…俺の爺さん家の近くに似てる!この家に見覚えありますから!」

大きな声で言い始めたのでみんなで静かに、と諌めるとトキノが言った。


「変な話ですけど…爺さんの葬式で行ったとき、俺まだ小さかったけど、この変な屋根に見覚えあるから、んで…この屋根の家の犬に追いかけられて逃げたことあるから。でも場所どこだろ…多分もうないかもだし…名前がわからないけど凄い田舎だったから」


「んじゃ、その凄い田舎ってのを目指そう」とベラーナは言い、守里と麻生、小林の4人はコソコソ話していた。




アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 27話 「意外な宝物」

2019-09-20 09:58:17 | 小説

27話 「意外な宝物」


敵わないかもしれない…。


守里の脳裏に思わず浮かんでしまった言葉だった。

同時に思った。


ここで怯んだらダメだ!立ち向かわないと!


黒い機体は何をするわけでもなく、ジッと宙に浮いていた。

闇雲に目の前の黒い機体めがけて刀を振ると、なぜか青く光ってくれない。

「ロロナー!トキノさん!何でー!!」

必死になって無線で叫ぶ守里。


「逃げてー!今は無理だわ!」トキノは無線ごしに叫ぶ。


「何で…」問いかけようとすると、無言のまま去っていく。


「何でだよ!どうして無理なんだよ!」悔しげに叫んでいるとトキノが冷静に言った。


「守里君は仲間を守りたいのよね?ここは日本の空中で下には果てしない数の人間がいるのよ!!しっかりしなさい!!」


冷静さを欠いていたことにハッとして下を見ると、見上げている人たちがたくさんいた。

ベラーナは悔しさを隠さず言った。

「あいつにとっては余裕なんだろうな、あのでっけーのならな!」唇を編みしめるベラーナ。


「そもそも誰なのよ?」ララが震えながら話し出すと、トキノが言った。

「あんなの乗っているの、アベルト・ゼスタローネしかいないわ」唇を噛み締めている。


カンナは「多分よ、多分だけど、そうだとしたら…見逃したんじゃなくて理由があったのよ。用事があったとか何か分からないけど…」


しばらく沈黙があった。


麻生がため息をついて話し出した。

「一旦降りよう。志賀高原に知り合いがいる」と言い、流石に機体が目立つので従うことにして場所を探した。


「…そうか…この志賀高原にもたくさんの池があるんだった。湖じゃないが…」そのほとりには林があるうじゃろ。そこに隠そう」と麻生が言うとベラーナが陽気に「決まりだね」と言った。


ベラーナが気を遣って明るく言っていることを察した守里。

「ああ、ベラーナ!池に落ちるなよ?」と言い、ちょうどゲレンデになっている裏側の林に隠した。


「降りて見て思うけど…さむっ!」口々に言いながら雪のない部分を器用に歩いていると麻生が言った。

「流石に知り合いの家の前には置けないから仕方ないさ」と言いながら、先にゲンナ号は着いていて、ベラーナと守里は辺りを警戒してから着いて隠していた。


迷わないといいけど、とキョロキョロしているベラーナを見ているとくしゃみをしながら「ここってこんなに寒いわけ?」鼻をすすらせながら話すが守里も初めての土地の寒さに驚いていた。


途中でみんなが一緒になった。

「随分雪はかいてあったはずじゃが…機械を使ったからのう」外に出ていた見たところ70歳前後の男性が家から出てきて話すので、みんなが雪に中めがけて転んだ。


「はっはっは。麻生だろ?あんなでっかいのに乗ってうろうろしてれば分かる」と言い、家の中に入るよう促すがペンションのようになっていた。


「この人は小林さんじゃ、悪いが一時間ほど休ませてほしい」と頼むと喜んで小林は頷いていた。

「ここはロッジじゃよ。わしゃここの人間じゃなくよそ者で冬だけきとる」と話し出したが、ほとんどみんなは毛布にくるまって暖炉の近くで暖まっていた。


守里が「冬だけなんですね。スキーか何かで?」寒さをこらえようと聞いているとにっこり答えた。


「麻生の元エンジニア仲間の趣味かもしれんが…水がうまいんじゃ」カンナやララ、トキノは顔を見合わせ不思議そうにしていると、小林は水を持ってきた。

ごく普通に見えるものの、ベラーナが飲んで感動しなら「うまい!うますぎる!」と抱きついた。


守里ともぶつかりそうになると、缶バッチが落ちた。

拾おうとすると小林はジッと見て「爺さんのじゃ…なぜ君が?」


ベラーナ以外は初めて見る缶バッチを不思議そうに見ていた。

「何か特別なのかしら?」とリリアンも寒そうに暖炉の近くで答えると真剣な顔で小林は話し出した。


「爺さんの残した遺産の一部になる。君はどこで?」

プレゼントに貰った経緯を説明すると大きく笑いながら「おそらく運んでいる時落ちたんじゃな。兄弟は血眼になって探していたが…こんな形で見つかるとは…黙っておこう」と1人で笑っていた。


「君の名前は何だね?」守里剣と答えると「これは宝物なんだよ」小林は微笑んで言った。