36話 「アル・レレン艦長」
「Gビャクヤ発進!」
ベラーナ機を追って守里は飛び立った。
「ベラーナ!エンド・カンパニーはどうなっているんだろう?」
守里と合流したベラーナは目の前の光景に驚いていた。
守里も同じ思いでいたが、そこには後部が破壊されていながら飛んでいる戦艦があったからだった。
「な…なんだあれ?」
ベラーナが言った。
そのとき周波数でも指示があり、Gビャクヤとベラーナ機を呼んでいるような信号が見えた。
ロロナが周波数を合わせると、アル・レレン艦長から声がした。
「…エンド・カンパニーは崩壊した。こちらは最後の戦艦だ」
冷静な声がした。
どこに向かうか分からないまま、突き進んでいるとザンラ2機が戦艦を追っている。
Gビャクヤとベラーナ機が、アル・レレンの戦艦の守りに入った。
Gビャクヤは2本の刀で応戦すると、青い光とともにザンラ1機の腕を跳ね飛ばした。
ザンラが体制を整えられないでいると、ベラーナ機がマシンガンで攻撃し大破した。
もう1機をマシンガンで狙うベラーナ機と、逃げ腰になっているザンラ。
Gビャクヤは追って刀で頭部を跳ね飛ばした。
火花が散ると、ベラーナ機がさらに追い込んでマシンガンで大破させた。
「私はアル・レレン艦長。ありがとう」
どこへ向かうか謎のまま突き進んでいるとゲンナ号から声がして、麻生だった。
「アル・レレン艦長…何処かの国に逃げてください。それと残りのザンラは…?」
「麻生氏、残るザンラは3機ほどと思われます。デロリデはもういません。私は受け入れてくれる国を探します。あとはジャイワナーゾとゲラザロナのみでしょう」
冷静な口調で話すアル・レレン。
麻生は一言だけ言った。
「逃げ延びてください。残るは私たちで片付けましょう」
麻生はおそらくケガ人もいるであろう戦艦と、アル・レレンを悲しい思いでいた。
それは守里もベラーナも同じだった。
「一つだけお知らせがあります。日本の『長野県』に残されている元エンジニアの小林氏から、2人の少年がいるとのことです。私はこの通り迎えません」
淡々と話す内容だったが、そこにはエンド・カンパニーを影で支えてきた艦長の詰まった思いが感じられた。
この状況でも小林の身を案じていることになんとも言えない想いを感じていた。
守里とベラーナの息があった。
「アル・レレン艦長…お気をつけて」
2人の挨拶とともに姿が遠のいていく戦艦。
「アル・レレン。通信を終えます」
麻生が目を閉じて頷いていると、そのまま後部が損傷したままの戦艦は去って行った。