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ねここねこの家

写真ありで我が家の出来事、
主人と、猫ちゃんず(×3)の普段の様子
思いのままのブログ日記♪

アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 36話 「アル・レレン艦長」

2019-09-27 00:06:07 | 小説

36話 「アル・レレン艦長」


「Gビャクヤ発進!」


ベラーナ機を追って守里は飛び立った。


「ベラーナ!エンド・カンパニーはどうなっているんだろう?」


守里と合流したベラーナは目の前の光景に驚いていた。

守里も同じ思いでいたが、そこには後部が破壊されていながら飛んでいる戦艦があったからだった。


「な…なんだあれ?」


ベラーナが言った。


そのとき周波数でも指示があり、Gビャクヤとベラーナ機を呼んでいるような信号が見えた。


ロロナが周波数を合わせると、アル・レレン艦長から声がした。


「…エンド・カンパニーは崩壊した。こちらは最後の戦艦だ」


冷静な声がした。

どこに向かうか分からないまま、突き進んでいるとザンラ2機が戦艦を追っている。

Gビャクヤとベラーナ機が、アル・レレンの戦艦の守りに入った。


Gビャクヤは2本の刀で応戦すると、青い光とともにザンラ1機の腕を跳ね飛ばした。

ザンラが体制を整えられないでいると、ベラーナ機がマシンガンで攻撃し大破した。


もう1機をマシンガンで狙うベラーナ機と、逃げ腰になっているザンラ。

Gビャクヤは追って刀で頭部を跳ね飛ばした。

火花が散ると、ベラーナ機がさらに追い込んでマシンガンで大破させた。


「私はアル・レレン艦長。ありがとう」


どこへ向かうか謎のまま突き進んでいるとゲンナ号から声がして、麻生だった。


「アル・レレン艦長…何処かの国に逃げてください。それと残りのザンラは…?」


「麻生氏、残るザンラは3機ほどと思われます。デロリデはもういません。私は受け入れてくれる国を探します。あとはジャイワナーゾとゲラザロナのみでしょう」


冷静な口調で話すアル・レレン。

麻生は一言だけ言った。


「逃げ延びてください。残るは私たちで片付けましょう」


麻生はおそらくケガ人もいるであろう戦艦と、アル・レレンを悲しい思いでいた。

それは守里もベラーナも同じだった。


「一つだけお知らせがあります。日本の『長野県』に残されている元エンジニアの小林氏から、2人の少年がいるとのことです。私はこの通り迎えません」


淡々と話す内容だったが、そこにはエンド・カンパニーを影で支えてきた艦長の詰まった思いが感じられた。

この状況でも小林の身を案じていることになんとも言えない想いを感じていた。


守里とベラーナの息があった。


「アル・レレン艦長…お気をつけて」


2人の挨拶とともに姿が遠のいていく戦艦。


「アル・レレン。通信を終えます」


麻生が目を閉じて頷いていると、そのまま後部が損傷したままの戦艦は去って行った。



アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 35話 「陽動作戦」

2019-09-26 18:40:47 | 小説

35話 「陽動作戦」



「あ、ゲラザロナの真ん中を狙えば左の関節部分は広かったから当たるかも…」


と考え、それと同時にあまりにも賭けすぎる…と悔しい思いでいるとトキノが叫んだ。


「自動修正率50cmまで可能にしてみせるわ!ゲラザロナは大きいからいけるわよ!私もパワー使うから最高でも2回攻撃が限度ね!」


無線を通して会話していると親父の言葉が頭を過る。


「ターゲット補正は500mで10cmのズレ、1kmで20cmのズレ、後はロックオンで決まる」


狙いがずれることは承知していたので、後は勘か…やるっきゃない!


ロックをしてみるとトキノが言った。


「補正プログラム良好!後は実戦で考えている余裕があるかどうかね…」


ララと麻生、リリアンとセイナ、そしてトキノが応援している。


目の前には練習用の的があり、空砲を積んでいた。

誰もが集中しているとき、守里が言った。


「威力は分からないけど…Gビャクヤ!パワークロノス発射!」


目の前の的の真ん中よりズレた左側の印に当たった。

空砲でこの勢いなことに驚いている守里たち。


同時に守里は考え込んでいた。


「なぜ…親父の言葉が浮かんで当たるんだろう…」


当たったことにみんなが喜んでいると、ベラーナ機が控えていて言った。


「Gビャクヤを完全に乗りこなせれば、このくらい命中は可能なわけだ。でも時間がない。剣…どうする?これ以上の練習は空砲でも気付かれる」


守里はジャイワナーゾには効果がなくても、ゲラザロナのとっておきに使うしかない。


ベラーナ機は足を補修してもらってから近くに控えていると、守里が言った。


「援護は頼む!ベラーナ!」


ありとあらゆる手段でないとゲラザロナに対抗できないことは、誰にも分かっていた。


麻生はゲンナ号に戻る守里を慰めるように言った。


「ほぼ素人に近くても当たるときは当たる。玄人でも外れるときは外れる」


麻生は不敵な笑みを浮かべて言った。


「そもそも、守里君によって造られた機体じゃよ。自信を持つんだ!」


守里は覚悟を決めて全員に無線で言った。

深遠な口調にみんなが注目する。


「人は殺したくない。でも無差別殺人を黙っていられないからGビャクヤは戦う!俺だって人を殺した。ただ…アゼラは潰さないとダメだ!エンド・カンパニーの残りの人は助けないと!」


ベラーナが叫んで「どうやって近くのさ。足はなんとかなったけどさぁ」


守里は真剣に言った。


「手招いていないでこっちから攻撃を仕掛けるんだ!Gビャクヤとベラーナきが囮になるしかない!」


「ベラーナ機発進!」


同時に守里に返事をウインクで示して、ベラーナ機が先にエンド・カンパニー付近にむかう。

ザンラがいると感じ取っていた守里は、既にその先を見ていた。

 



アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 34話 「ターゲット補正」

2019-09-25 23:48:13 | 小説

34話 「ターゲット補正」


麻生は大きくため息をつきながら、顔を覗き込んでいるセイナに言った。


「パワークロノスはここぞのときにしか使えんかもしれん」


煤だらけに近い状態で、麻生は寝ずの作業をしながらいるとセイナが計算をし始めた。


「…セイナの言う通り背中に余力はあるけど、これじゃ長時間は難しいかもしれないわね。そもそも反動で体勢を崩したら、狙うこと、当たることは困難かもしれない…だからよ!ここぞのときね…」


麻生が守里にそのことを伝えると、素朴が疑問があり頭をぽりぽりさせる。


「ララさんの機体には乗せられますか?」


麻生は煤紛れを無理を承知で払いながら、考え込んで話す。


「守里君、実際にララ機に乗せられて、Gビャクヤの重さを試してみたいんじゃが…発射すれば気付かれるだろうしなぁ」


考え込んでいた守里にとっても、敵に気付かれたら話にならないことは分かっていた。


「…ララさんの機体に乗せられるか、Gビャクヤにもどうかくらいは大丈夫じゃないですか?林の中は無理でも空中で低空飛行なら…」


すぐに「Gビャクヤ発進!」と声がしてカンナは料理を作りながら驚いている。

ララ機がいつ発進するか分からないから、とララと料理当番を変えていた。

覚えが悪いのかしばらくはララが教えていたが、ララ機にも声がかかった。


「ちょ…何この…これがパワークロノスかぁ。んでどうするの?まさか運ぶとか?」


驚いて聞くと麻生もセイナも頷いている。


麻生が細い説明をし始めた。


「ララ機はこれを背負って行くが、守里君に渡すんじゃよ。その後ドッキングじゃ」


無理!と言いそうなララに麻生は続ける。


「ほとんどロロナとトキノにまかせれ良いさ」


「ララ機発進!」重さよりバランスが大変だったが、すぐ守里に追いついた。


自然に守里に向けてロロナが指示して渡すと、守里は体勢を変えた。


「麻生さんにセイナ、重さはあるけど何だろ…ララ機が下にいるからか落ち着いている」


エネルギーは大丈夫だったがバランスは確かに悪い。

守里はロロナとトキノに話す。


「ロロナ!大体でいいから、遠くの敵までかなり距離は必要か?」


「1500mまでで可能みたい!…ターゲット補正は左方向に2m以内で命中率90%!補正プログラム正常〜」


守里はターゲット補正が、左に2mの誤差があることを考え、麻生に向かって言った。


「せめて1m以内ならコントロールできても、2m…」


まで言いかけると、待てよ、と思った。

考え次第では広範囲にダメージを与えられる。

 


アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 33話 「パワークロノス」

2019-09-25 09:41:01 | 小説

33話 「パワークロノス」


辺りを気にしながら、ゲンナ号はGビャクヤとベラーナ機、ララ機を乗せたまま「板」のあった場所に戻り、辺りは閑散としているものの林が近くに僅かに見えたので、隠していた。


カンナとララとトキノが残っていたが、他の守里やベラーナ、麻生やリリアン、セイナは板の場所に急いでいた。

ゲンナ号でカンナがトキノに一言。


「話しちゃったけど…ごめんなさいだわ」


トキノはまだみんながいるとき話していたことを思い出していた。


「私はね。セイナに『完成』させてもらったの。だから感謝してるわ」


みんなが黙ってトキノを優しく見つめていたことで吹っ切れていた。

カンナにそのことを伝えるとララは言った。

「トキノはトキノ!否定させないし!それに守里君やベラーナは受け入れてくれる」


カンナとララ、トキノは抱きしめ合いながら頷く。


守里たちは板が5m四方なのをロロナに聞いて、鉄筋も同じくらいと聞いる。

重さはかなりありそうだったが、ロロナがアサルトで退けられるとも言っていた。

ベラーナが早速文句を言ったが半分笑っている。


「60kgかなぁ…って100kgもないっしょ」


辺りを気にしながら急いでアサルトを向けると、電撃が走って鉄筋が動くと鍵穴があった。

麻生は試しに持っていた鍵を差し込んでみると、カチッと音がして階段が出てきた。

どうやら下に降りるらしい。


守里が機転を利かせて林から枝をバサバサさせながら持ってきて、階段の上に置く。

守里たちは下に向かって降りているとベラーナが言った。


「まあ、よく今まで見つからなかったねぇ」と感心している。


先には広い空間があって再び鍵穴があった。

まさかと思いつつ、同じ鍵を使うと開いたので、そこにいたみんなが驚く。


マーズの鉱石と大きなランチャーのようなものと、メモ書きが残されている。


「パワークロノスを残す」


そこにいた誰もが誰が書いたか分からないまま、存在に驚き麻生は言った。


「これは…そうだ!守里君、君の兵器になるよ」


ベラーナは羨ましそうに、でも不安げに言った。


「いくら何でも、重くて持てないぞ?」


セイナが半笑いで言う。


「ゲンナ号から引っ張れる」


リリアンが呆れて言った。


「どれだけ機能が…まあいいわ。とにかく引っ張らないとね」


ゲンナ号へ急いで移動し、近くまで寄せて引っ張るとGビャクヤまでは持ってこれた。

カンナやララが呆気にとられている間にささっと行われているほど素早い行動だった。


鉄筋と板を元の位置に戻し、守里は念のために木の枝を不自然じゃないように置いて、ゲンナ号に戻り林へ急ぐ。

守里とベラーナがいそいそしていたので、ため息をつくと麻生がセイナに言った。


「パワークロノスにマーズの鉱石は…うん。既に装備されているようじゃ。これをGビャクヤに持たせるとなると…」


麻生はセイナと考え込んでいると、セイナが言った。


「ララ姉に運ばせれば、重量的には持つと思う!Gビャクヤには念のために背中にも余力があるから!」


麻生とセイナが話し込んでいると、ベラーナが守里に言った。


「あのジャイワナーゾとゲラザロナに思い知らさせる兵器になるかもな」

 

頷いた守里とベラーナはガッチリ手を組み交わした。

 


アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~ 32話 「過去」

2019-09-24 10:49:23 | 小説

32話 「過去」


1時間くらいが長く感じたセイナたちだった。


セイナは守里剣やベラーナを傷つけたことを感じながら、前を向かずにはいられないことも分かっていた。

守里は自室から出てくると、ベラーナ機の方に向かって行ってしまった。


麻生やリリアン、カンナやララが緊張しながらキッチンに集まっていた。

1時間前からその姿は変わらず、セイナはコックピットから出てきた。


守里とベラーナが真剣な表情で歩いてくるが、怒っているようではなかった。

何か吹っ切れたような、このままではラチがあかないことも分かっていたようだった。


麻生とリリアンが話出そうとすると、セイナが手でそれを遮る。


守里とベラーナもキッチンにくると、麻生とリリアンとセイナは座っている。

カンナとララ、トキノは立ったままシンクに寄りかかっていた。


「私…ていうか私たちはね。以前アベルト・ゼスタローネにマーズの鉱石のことで追われていたの。でも本当に知らなかったから、シロハタ・カンパニーに行ってみたことがあるの。その時に開けてしまった扉があったのね」


そこまでセイナが話すとリリアンが続けて言った。


「未完成だった人工知能がそこにはあった。それは破棄されそうになっていたわ。でも私たちは知らなかったのよ…『破棄』じゃなくて『完成されそうだった』ことをね」


真剣に聞いていた中で、守里もベラーナも顔色を変えなかった。

話はまだこれからだと感じ取っていたようだった。

カンナがコーヒーをみんなに渡すと、受け取るものの誰も飲まなかった。


リリアンは続けて話そうとすると、セイナがそれを止めて話出した。


「それは『TKI1』と呼ばれていて人間みたいだったから…このままじゃいけない!なんとか助けないと!って思って…」


ベラーナがコーヒーを飲もうとしていた時にセイナが続けた。

不思議と守里には気付いていた。


「それってさ…」

まで守里が言いかけると、セイナが舌を出して言った。


「そうなの。うん。盗んじゃった!」


ベラーナがコーヒーを吹き出しそうにすると、守里は真剣に言った。


「それがトキノさんってわけ?」


セイナは頷いて真面目な顔で続けた。


「そんな名前はダメって思ってトキノさんにしたの。でも反対に捕まったの。私だけじゃない…みんながね。裁判になったんだけど…」


カンナが痺れを凝らしたように続けた。


「セイナは…まあ…私たちは確かに盗んだわ!でもね、誰も殺していない!なのに、シロハタ・カンパニー襲撃事件とか言って私たちがたくさんの人を殺したようになったのよ!…まあ…そのあとに映像がおかしいことが立証されたけど、未だに追ってくるやつがいて、私たちは逃げて暮らしているわ!」


リリアンが諌めるように手で合図をして、話出した。


「…確かに無罪よ。でもね、未だに信じ込んでいる人もいるのよ。しかも立証された時、アベルトの義父がいたのね。でも観衆の前で殺してしまった…」


守里もベラーナも誰もが真剣に聞いていた。

カンナとララは、思い出して怒りに煮えたぎっていた。


カンナが言った。


「その観衆の前でアベルトは射殺されたはずなのよ!病院も襲撃していたし!なのに…!」


「不思議と生きていて、まだマーズの鉱石を追っているってわけじゃ。他にも何かトキノが知っているとも思っているようじゃ」


麻生が言うと守里は答える。


「病院銃撃ってそもそも…」


まで話し出すと、リリアンが両手をあり得ないと言うように広げて告げた。


「実際はね。シロハタ・カンパニーの人間に対しての襲撃で、トキノのことを知っている人を殺したのよ。それこそ無差別に…関係ない人まで…」


リリアンは悔しそうに続けて話す。


「多分…なんらかの圧力でアベルトは守られているわ。でも守っている人も今生きているのか分からないけど…」


沈黙していたベラーナが話出した。


「それってさ、早くマーズの鉱石探して、その他の『何か』手の探さないとマズいってことじゃん。トキノさんを守りながら、連中より先にさ」


手を上げながら話すとみんなが頷くので守里はセイナに言った。


「…あのさ、トキノさんを守りたくて黙ってたの?」


セイナが頷きながら言った。


「うん。ごめんね。それとタイミングがなかったこともあったの。立て続けてごちゃごちゃしてたから」


守里は思い返して最近様々なことがあったことを考え込みつつ、納得したがベラーナも同意見のようだった。


麻生はそれでも今まで通りかを確認すると、守里は、はにかみながら頭を撫でて答えた。


「ベラーナと同じですよ。時間がないってことも、最近のことで話せなかったことも分かりますから。トキノさんも渡さないし!」


本当の意味で一致団結した瞬間だったかもしれない。


トキノは涙を浮かべて笑っていた。