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絵本の楽屋   by 夏野いばら

「あいててて!」 ナタリー・ハビット:再話              フレッド・マルチュリーノ:絵 せなあいこ:訳

最後まで行っちゃおう

何だかおかしな絵本。
表紙に、タイトルがない。
どんなお話なのか、さっぱりわからない。

仕方なく、開いて読み始めると…展開が早い!
それから? あれ? え、どうなるん??
…で、気づけば最後まで、行っちゃった。

「面白かった~」と、絵本を閉じたところで、
やっと初めて、タイトルと出会う。
―という、なかなかにトリッキーな仕組みになっています。

もし、読む前に「これ、グリム童話です」と紹介したら、
大人たちは食指が動きませんよね。
ましてや「『川に流されたモーセ』『エディプス王』『シンデレラ』など、
いろんな物語の原型・エッセンスがてんこ盛りです」な~んて言われたら、
もうお腹いっぱい…。ページを開く前に「ごちそうさま~」ですよね。

だから、そんなつまらん解説は、忘れましょう!
おもしろいものは、おもしろい。
地獄や天国のイメージを揺さぶりながら走り抜けていく、
韓国発の映画「最後まで行く」のような、エンタメ爽快感がありました(笑)。
 
何も考えず、とりあえず、最後まで行っちゃおう!
本が苦手な子への、繰り返しの読み聞かせにぴったりです。



















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