夏喜のものろーぐのべる。

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久遠の縁~八犬伝物語~第28話 危険指数

2011-08-20 19:59:17 | 久遠の縁~八犬伝シリーズ~
「あなたは・・先生?」
「ちょっと来てもらえるかな?・・・いいね」
「・・・はい」

目を見たとたん、路香は従うしか方法がなくなった。

「あっれ~?」
「どうした?」
部活の帰り、孝は路香に電話をするが、つながらない。
今日は珍しく一緒に帰ろうか、なんて孝から誘っては見たものの・・・

「練習ばっかりで愛想を着かされたんじゃないのか?」
「野本さんって・・意外と毒舌。」
「別に。本心だ。」
「せっかく時間もあるのに・・・残念。」

「孝!!いるか!!」
「信先輩?」
演劇部の部室に、信がいきなり入ってきた。が・・
「キャー!!」
「信先輩!!」
「どうしたんですか?」
執行部でも大人気の先輩が、いきなり来たものだから、部員たちは黄色い歓声を上げる。

「あ、ちょっとね、こいつらに用が。」
信は孝、智香を指差した。
「え・・・?私もか?」
「ああ。・・・馬加と一緒にいる路香ちゃんを見た。」
「え?」
「なんか怪しいんだよな・・一応、親太朗にお願いして、後をつけてもらってる。あ、もうアドレスも番号も聞いたからな。」
「信先輩・・やるな。」
「仲間だしな。とにかく、来てくれ。路香ちゃんが危ない。」
「馬加・・・何をするつもりだ。」
智香は体が震えている。
「・・・野本さん・・・あまり興奮しないでよ。」
「・・・・・わかって・・・いる。でも、これは私の問題でもある。出来たら・・・私自身の手で・・・」
「でも、仲間でしょ?」
「そうだよ。とにかく、行くぞ。」

3人は急いで、裏庭のほうへ向かう。

「あの3人・・・いつから仲良くなったんだろう?」
「でも・・・お似合いね。」
「だ、誰と?まさか・・・孝くんと?」
「いやいや何言ってるの!!でも・・・お似合い?」

残された演劇部員から、変な妄想が飛び交った。

「親太朗!!今どこだ?」
「はい・・・裏庭に連れて・・・そのまま奥のほうまで行ってますね。」
小声で親太朗が電話越しに言う。

「路香に・・・何をさせるつもりだ?」
「罪もない子を・・・許さない、馬加。」

「そのまま大や忠行さんたちにも伝えないとな・・・」
電話を切った後、すぐさま連絡をする信。

親太朗がいる場所に合流する3人。

「いた・・・!!」
こっそりと隠れ、馬加の動向を探る。

「ははは・・・弱点を見つけた限り、犬も終わりだな。」
「どういう・・・こと?」

「路香ああああ!!!」
「孝?どうして・・・」
「馬加先生!!やっぱ許せない!!」
孝はすぐさま村雨を取り出す。

「あーあ。見ていられなくなったか。ま、俺たちもい・・・野本さん?」
「馬加!!覚悟!!」
そのまま智香も物陰から飛び出し、短剣を取り出す。
「はあああ!!!!!」

ビシュ!!

智香は、馬加の眉間に一撃をくらわせた。
血が飛び散り、路香の顔にも飛ぶ。
「え・・・?」
「野本さん!!」

そのまま倒れそうになる智香を、孝が支える。
「いきなり・・・どうしたんだ・・・」

「お前こそ・・・もとより父の仇。前は出来なかった分、復讐を・・」
「前にも言っただろ!!お父さんが喜ぶはずがないって!!」
「わかっている!!けど、女の子をさらうなんて・・なら私が!!」
「何いってるんだ!!誰も犠牲になんてしたくないのに!!」

「馬加・・・もう一撃!!」
「やめろ!!」
キイン!!
孝が智香の前に立ちふさがる。

「孝!!おまえ・・・」
「何も解決しない。俺たちの目的は、玉梓を倒すこと。千葉の国を守ること。それが姫と大輔先生との約束・・・出来るだけ誰も傷つけたくない!!」
「どけ!!馬加は敵。お前らと一緒ではないか!!」
「・・・みんな、玉梓にだまされているだけなんだ・・・だから・・」
キイン!!
短剣を跳ね除け、肩をつかむ孝。
「惑わされた先生たちを、元に戻そう・・・」
「・・・孝・・・」
「孝の言うとおりだ。馬加も気絶しているみたいだし・・・もう十分だろ・・・」
信も十手をしまいながら言う。

「あ・・わたし・・・は・・・」
智香の目から涙が。
「ああ・・・あ・・」
「大丈夫、大丈夫だから・・・」
そのまま、孝は智香の背中をぽんぽんとたたく。
「俺たち仲間だろ?」
「・・・ああ・・・」

「まずは、戦おう・・・」

「どういう・・・ことなのよ・・・?」


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