夏喜のものろーぐのべる。

清道夏喜が書く謎の小説置き場です。
コメント大歓迎です!

久遠の縁~八犬伝~ 第26話 仲間集合

2011-06-27 23:06:22 | 久遠の縁~八犬伝シリーズ~
「あんたが・・・最後の犬士なのか?」
信が近づく。
「はい、ですがまだ僕の登場は後かと思いまして、ずっと中等部で戦っていました。」
「ひとりで?」
孝が聞く。
「はい。中等部の犬士は僕一人だけだったので。」
「それで今登場したのか。」
「はい。今がチャンスかと思っただけですよ。お姉様。」
「そんな風に言われる覚えはない。」
智香がきっぱりと言う。

「おまえら・・・ついに・・・ついに揃ったのか!!」
玉梓の声がする。
「玉梓!!もう好きにはさせないよ!!」
孝が村雨を取り出す。
「どこからでもかかってきな!!」

「くく・・あははははは!!!いいだろう。最高の見せ物を用意したよ。」

バン!!
いきなり研究室のドアが開く。
「最高の下部を用意した。」

「倒す・・・八犬士・・・」
それは、目をうつろにした・・・智香の仇、馬加だった。
「先生・・・」
「こいつは・・・私が倒す!!」
智香はすぐさま短剣を振り下ろした。
が、簡単に交わされ、腕を掴まれた。
「くっ!!」
「野本さん!!」
「邪魔はするな!!」
孝を制止する智香。
「こいつは・・・私の仇なんだ。だから私が!!」
「でも!!」

「犬・・・殺す・・・」
馬加は片手で智香の首を絞める。
「ううっ・・・」
「殺す・・・」

「あああ!!」
智香は必死だった。父親の敵。家族の仇。
こいつのせいで全てがボロボロに・・・
「あああ!!」
智香は短剣で腕を刺す。
「ぐわあああ!!」
「あとは・・・とどめを・・」
「いいのかな?」
玉梓の声が聞こえる。
「そいつの意識も全て私のもの。そして、人間でもある。殺していいのか?智の玉を持つ犬よ・・・」

「そ・・・それは・・・」
「野本さん!!今はダメだよ!!」
「私は・・・私は・・・」
「殺したら本当にお父さんが喜ぶの?」
孝は立ち止まりながらも説得する。

「そ、そうだぞ!!もっと別の手段で・・・」忠行も言う。
「お姉様!!僕達もいます!!だから出来ることを・・・」
親太朗も言う。

「私は・・・こいつに復讐したかった!!だから・・・」
「じゃあ・・・まずは怨霊を取るしか・・・ないよ!!」
孝が近づく。
「犬・・殺す・・・」
智香は首を絞められたままだ。だんだん意識がなくなっていく。
「野本さん!!」
「孝!!」
荘太が止めるのも聞かず・・・

「村雨!!お願いだ!!」

ビシャッ!!
孝は先生の目の前で、村雨を振る。

水飛沫は馬加の全身にかかり、智香にも降り注いだ。

「う・・・わあああああ!!」
馬加の手が離れる。
「うっ・・・」
智香は床に倒れ込んだ。
「大丈夫ですか?」
大、荘太が智香を支える。

「先生・・・まずは元に戻って、誤ることですね・・・」

「犬め・・・やるようだな。このままでは、死ぬぞ。」
そのまま玉梓の声は消えた。
「あ・・・いなくなったのですかね?」
親太朗が言う。

「とにかく・・・良かったってことで。」
信は近づき、孝に話しかける。
「おまえ・・・結構やるな。幼なじみが知ったら泣くぜ。」
肩に手を置く。
「え?路香のことですか?」
「・・・おまえ、ほんと・・・なあ・・・」
ため息をつく。

智香は薄れゆく意識の中、つぶやいていた。

「孝・・・先輩・・・」

コメントを投稿