直列☆ちょこれいつ

最近は神社や神道などの古い文書の解読をしています。
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花火大会とフリーライダー

2011年10月21日 | ちょこのひとかけ


花火大会やお祭りには、すごい経済効果があると聞きます。
でもその一方で、お金がなくて開催が危ぶまれるとも聞きます。
これはいったいどういうことなのでしょうか?

花火大会があるとお金が動くというのは簡単に想像できます。
開催地に大勢が電車で来れば、電車会社に電車賃が払われますし、
車で来るなら周辺の駐車場に駐車代が支払われることでしょう。
また、露店なども普段以上に売れそうです。

ではなぜ、花火大会を催すお金が尽きるのでしょうか。
……と考えると、フリーライダーやお金の循環のミスが考えられます。

たとえば昭和公園の花火大会は、花火が5000発くらい上がるようです。
1発を10万円と考えると――――。……5億円?
え? あれ?
思わず「うそ?」とつぶやく金額でした。
そういうのはまったく考えたことありませんでしたが、
意外とお金がかかってるんですねえ。

なんだかとんでもない額が出たので、
人件費などは考えずにその値段だけを見るとして。
たとえば、5億円の花火大会を催して、5億円の経済効果があれば
差し引きゼロで大会をまわし続けられます。
……が。実際はそうはいきません。

なぜかと言えば、答えは簡単。
お金を出す場所と、入る場所が違うからです。

花火大会本部が花火を打ち上げるのに5億円使って、
みんなが花火を見て5億円払うとお金がきれいに循環します。
でも、実際はそんなことにはなりません。

花火を見るために使われたお金が落ちるのは、
足代である電車賃だったり浴衣の代金だったり
見に来た先で買う食べ物だったりするからです。

このとき、お金が落とされる場所に注目してみましょう。
花火大会自体には何もかかわっていないにも関わらず、
花火大会によって利益を受ける会社、お店は、
『花火大会』というイベントの影響に『ただ乗り』しているに過ぎません。
つまり、イベントにフリーライドしているのです。
とりあえず、これをフリーライダーと呼んでおきます。
わたしは心理学でしか知りませんので、
経済関係でも同じように使うのかは知りませんが適当にそう呼びます。

このフリーライダー、前々からどこかでおかしいと感じていましたが、
あらためて考えても、やっぱりおかしいです。

花火大会の運営はお金を払って花火を打ち上げますが、
お金が落とされるのは鉄道会社や駐車場会社、食べ物店、飲み物店などばかり。
そこで得られた富は、大会の運営に還元されることがないため、
花火大会の開催が困難になるのです。
そのため、開催するのに地元の自治体がお金を出すこともあるのだとか。

……が。それは変ではないでしょうか?

わたしもどちらかといえば開催地の市民ですが、
開催されて得をすることなんてほぼありません。
開催されれば季節を感じられますが、
開催されなくてもなにも困りません。

むしろ開催されると開催日には駅前が大変なことになるので
不愉快になることのほうが多いです。
開催場所への道に家があるひとはもっとひどく、
通りがかりの人が塀の上に缶を並べていく、
塀の内側にゴミを捨てていくなどで
毎年とても困らされるのだと聞きました。
でも、どんなにゴミを片付けても、
手間やゴミ袋代金にお金がかかるだけで、
何一つ得をしません。

そんな、お金が得られるわけでもない市民が
一方的に不都合をおしつけられているのに対し、
お金が得られる市民やお店は、
花火大会にタダ乗りして無駄にお金を稼いでいるわけです。

「いやー、花火大会ではすげえ儲かったなあ。
またうはうは稼げるように大会やらねえかなー。
え? 費用がなくて大会中止? ふざけんな。
うちの店からは一銭も出さねえけど、
金がないなら地方自治体が金出して開催しろよ!」
なんてお店のありかたは狂っています。

毎日帳簿をつけていたら、
花火大会のその日には売り上げがあがることがわかるはずです。
いくらあがったのかは毎日の帳簿や、開催されていない前年の帳簿を
見れば大体がわかるでしょう。
その、急激に増えた部分というのが、小さな視点での
花火大会による経済波及効果だと思いますし、
いやな言い方をすれば不当利得の一種だと思うのです。

その利得が不当だからこそ、
花火大会の運営が動かなくなり、
花火大会の開催が危ぶまれることにつながるのだと
わからなくてはなりません。


でも、いくら不当利得を吐き出せと言ってみたところで
行うものもいないでしょう。
国のトップの政治屋を見ても明らかなように、
不当利得ほど楽しく、うまみがあり、
手放したくないものはそうないからです。

何もしなくても不当に利益が入るならそれにひたる。
そのために他人がどれだけ不利益をこうむってもどうでもいい。

……この構図にそっくりなものを、思いつきますか?

働いても働かなくても、利益は同じ。
なら、なるべく働かずに不当利得を稼げばいいじゃないか。
分配するのはこちらなのだから甘い汁吸ってもいいじゃないか!
として一部の人間だけが無駄に利益をむさぼった末に
崩壊した社会主義制度です。

それと同じく、
花火大会にただ乗りして無駄に利益は得るけれど
花火大会には還元しない。
どれだけ周りが不利益をこうむっても気にしない、
と一部が不当利得に浸っているせいで、
崩壊しかけているのが花火大会です。

このままでは崩壊するのは目に見えています。
一部の人間に負担をかけたまま、
無理に続けようとしてもだめなのです。


わたしは、根性と善性に期待する以外で、
この状況を乗り越えることはできると思います。
それも、資本主義的な方法で。

わたしには商才がないため、現実的なものではありませんが、
たとえばお客側なら、
地元のお店で花火大会に来ていく衣装を買ったなら
花火大会の場所での観覧席がもらえるとか。
お店側なら、協賛することで会場内で屋台などが出せるとか。

花火が終わったあとはひどい混雑で、帰るのに動き出そうとしても
動くのに何十分さえかかることもあります。
そういう人に見てもらえる店みたいなのがあっても
おもしろいのかもしれません。

昭和記念公園だと、花火の日は夕方から入場料が無料になりますが、
あれもいらないように思います。
無料にするくらいなら100円でも200円でもお金をとって、
花火を買うお金にすればいいのです。
5000人入ったって50万や100万円の稼ぎになります。


本当に、花火大会に開催費用以上の経済効果があるなら、
花火大会は開催しつづけられます。
それでも地方の花火大会が開催できなくなるというのであれば、
それはフリーライダーのせいでしょう。
現に利益を受くる状況にいながら、その利益を還元せず、
ただあがりだけをかすめとって
何にもしない人間たちのせいです。

この不当利得を資本主義的手法で減らして
花火大会の運営に利益を還元させることはできると思いますが……
現実的なアイデアを出すような
経済の『有識者』はいないものなのでしょうかねえ。


現実はままならないものです。
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