直列☆ちょこれいつ

最近は神社や神道などの古い文書の解読をしています。
研究のまとめはカテゴリ『自作本』から。

和訳 ピアノマン ビリージョエル

2007年04月15日 | ちょこのひとかけ


CDを聞いていたら、いつぞやCMで流れていた曲が聞こえました。
なんて曲? と調べてみると、
ビリージョエルの『ピアノマン』だとわかりました。

気になって歌詞を見て、日本語訳、和訳を見てみると……
今ひとつ意味がわかりません。
そこで訳してみることにしました。

まとめの訳は後日として。
悩みながら訳した考え方も一緒につけておきます。
しょせん英検2級の訳なので、
ここちがってるよー など気付いたら教えてください。


Pianoman / Billy Joel

ピアノマン ビリージョエル


It's nine o'clock on a Saturday
The regular crowd shuffles in


 内容:It's~that 強調構文です。
The regular crowdがshuffles inするのは、
a Saturdayのnine o'clock。
いつもの群集(客)がばらばらとインしてくるのは、
土曜日の夜9時。

 解釈:なぜそんなことを言うのか、といえば。
たぶん歌詞の『絶対1人称』であるオレ、が見ているからです。
後で自分をカウンターに座る一人の客だと思うと
歌詞がわからなくなるので、ここは『オレ』がピアノを弾く人で
その時間がステージの始まる時間だと解釈するのが自然です。

後で、客はオレを見にやってきてる、という文があるので、
『いつもの』客が、『9時に』やってくること自体、
ちょっとした誇りでもあるのでしょう。


There's an old man sitting next to me
Makin' love to his tonic and gin


 内容:オレのnext toに
座っている一人の年寄りの男、
彼のtonic and ginをメイクラブしている。
おれのそばにはジントニックを
ちびりちびりとやっているじいさんがいる。

 解釈:ここのnext toを隣、と訳すと、
自分がカウンターに座っている気になるので、
これは近く、と訳すほうがよさそうです。

トニックアンドジンは、日本ではジントニック。
これをメイクラブなのでちびりちびりやっているのでしょう。
少なくとも一気に飲んでおかわりを頼むような飲み方ではありません。

場末の小さなピアノバーのようなところを想像するのがよさそうです。
もしくは西部劇の、丸テーブルがいくつかあって、
カウンターもあるようなこぢんまりしたバーでしょうか。


He says, "Son, can you play me a memory?
I'm not really sure how it goes
But it's sad and it's sweet and I knew it complete
When I wore a younger man's clothes"


 内容:He says「Son, can you play me a memory?
 (A Memory that)I'm not really sure how it goes...」
どうit(曲)がgoes(流れていく)のかは確かでない、
memoryを弾いてくれ。

ワシはreallyにはどう it goesなのかは確かではない。
でも、it(曲)は、悲しく、甘かった。
そしてそれをわし(老人)は完全に知っていた。
もうちっとばかし若ぶった服を着ていたときは。

 解釈:Sonは息子ですが、息子くらい若い者、のことでしょう。
坊や、といきたいところですが、babyかboyになりそうです。
若いの、あたりが無難でしょうか。
もしくは呼びかけて「にいちゃん!」でもいいかもしれません。

メモリーは記憶ですが、かっこつきの"memory"ではないので、
思い出、という直接的な曲名ではありません。
『a (melody with a) memory』か
『a (song with a) memory』で、
『思い出の曲』となるのを略しているようです。

後に出てきますが、この段階でピアノマンは歌いません。
そのため、『歌曲』なのか『器楽曲(ピアノ曲)』かを
伏せるためにかっこ部分をあえて出していないか、
単に歌詞の尺が合わずに省いたかのどちらかでしょうか。

その曲がどんな曲かといえば、
「どんなもんだったかは はっきりしないが、
悲しくて甘かったのは覚えている。
わしが今より若い服を着ていた頃には完全に覚えていたんだが」
とのことです。


La la la, de de da
La la, de de da da da


 解釈:ただの雰囲気、もしくは、
笑いあたりでいいでしょうか。

ははは、そんなあのころだったんだ。
現在形で書かれていますが、基本的には過去のことです。
~~すれば、~~する、というのを
日本でも現在形で書きます。
『あの頃の話をしよう。おれが球を投げれば、
 あいつが走る、そんなときのさ』
のように、現在形だけでも過去になります。


 (Chorus)
  Sing us a song, you're the piano man
  Sing us a song tonight


内容:「おれたちに歌ってくれよ、
それがピアノマンってやつ(you're=it's the)だろ。今夜一曲歌ってくれよ」

解釈:コーラスです。
これはこの歌の視点、絶対一人称の人ではなく、別の人の視点です。
内容からすると、ピアノマンに呼びかける、会話文のようです。
この内容は繰り返されるので、実は重要になってきます。


  Well, we're all in the mood for a melody
  And you've got us feelin' alright


 内容:「おれたちはメロディーのムードになってる。
you have got us でオーライだ」
「歌が聞きたいムードになってる。すっかりいい雰囲気におまえがした」

 解釈:メロディーは旋律ではなくて、歌曲のほうでしょう。
現在完了形で、観客たちがオーライな気持ちを感じるように、
ピアノマンがさせました。
それで、メロディーを求めている雰囲気になっています。
「もうすっかりできあがっちまった。ここらで一曲たのむよ」
あたりの意味でしょうか。


Now John at the bar is a friend of mine
He gets me my drinks for free
And he's quick with a joke or to light up your smoke


 内容:さて。バーにいるジョンは友達の一人。
おれにタダで飲ませてくれるし、当意即妙のジョークも言う。
あんたたちのたばこに火をつけもする。

 解釈:Now、間投詞の「さて」。
2人のピアノ弾きと一人のコーラス女性が場末のバーで
のし上がる映画がありましたが、あんな感じでしょう。
鍵盤を叩きながら、歌を歌わずに回りの状況を見回しているようです。

ほら、見渡せばジョンがいます。ジョンはオレのともだちの一人。
ただ、at つきのバーなので、バーの中にいる、ではなく、
バーという特定の場所です。
ここではバーはカウンターの細長いバーのような場所、
つまりカウンターにいる人です。
映画「バーテンダー」だか「カクテル」だかで、
雇われバーテンがシェイクシェイクで踊っていましたが、ああいう彼です。
オレにdrinks複数形をただでくれます。

この無料で飲ませてくれるというのが、
彼が自腹でお金を払いおごってくれているのか、
それともカクテルを作りながらこっそりくすねたお酒を
飲ませてくれているのかは定かではありません。

そんな彼はjokeをquick with して、your smokeにもlight up します。
すばやいジョークの切り返しできる人。
おまえ(歌の聞き手)(が、もしこのバーに来て、
タバコをくわえたら、そのおまえのたばこ)に、
自然に火をつける、彼はそういう人なのです。

ジョークも言えればたばこに火をつけられる。
気配りもできるイカした男性です。
このバーになくてはならない人です。


But there's someplace that he'd rather be
He says, "Bill, I believe this is killing me."
As the smile ran away from his face


 内容:でも、どこかがある。むしろ彼のいるべき場所が。
彼は言う。「ビル(絶対一人称の歌詞主)、thisはkilling meだよ」。
顔から笑みが走り去るとき。

 解釈:頭の回転も早く、洒落も返せるし気も利く男性。
そんな人はこんな場末のバーで働くよりも、もっといい場所があるはずです。
そんなことを『オレ』は彼に言いました。
すると、彼は言います。
「なあ、絶対これはおれをだめにする」

killingなどの死に関わる言葉は、訳すと軽めになります。
たとえば、「Never say die!」=「死ぬと言うな」は、
戦場のシーンを思ってください。
「ボビー! すげえ砲撃だ。とてもじゃないが生きちゃ帰れない。
おれたちはここで死ぬ(die)んだ!」
「ばかやろう! 死ぬなんていうな!」
 =「ばかやろう! あきらめるんじゃねえ」の意味です。

自分が動作対象になるkill、自分が死ぬdie、
だめ、という意味が近いでしょうか。
「こんな生活続けてたら、だめになっちまう」
そう言うバーテンの顔からは、すっといつもの笑みが消えます。

そして、ちょっと注目です。
友達のジョンは、『オレ』のことを『ビル』と呼びます。
オレはビルなのです。



"Well I'm sure that I could be a movie star
If I could get out of this place"


 内容:「ああ……。ここから抜け出せたなら、
ムービースターにだってなれるだろうさ」

 解釈:
ここで骨組みを作っているのは仮定法です。
could~could /もし~~できたら、~~できるだろうに
の意味です。

仮定法には、有名な文で
『If I were a bird, I could fly.』というものがあります。
和訳は、『わたしが鳥だったら飛べるのになあ』ですが、
これはどういう意味でしょうか?
『わたしは鳥になりたい! 空を飛びたい!』でしょうか?
それとも、『わたしは鳥でもないし、飛べもしないなあ』でしょうか?

答えは、後者です。
日本語でも、『お金があったら車が買えるのにねえ』と言った場合、
『お金持ちになりたい! 車を買いたい!』ではなく、
『うちにはお金がないから車が買えない』という
諦めのためいきであることはわかると思います。

つまり仮定法とは、『希望』を表すのではなく、
『諦観』を表すのです。

この一文も、同じことです。
バーテンの彼は、『ここから抜け出したい! 映画スターになりたい!』
なんて思ってはいません。
仮定法なのですから、
『(お前が言うようなどこかなんてない。)おれはここから抜け出せない。
バーテン以外のもの(たとえば映画スター)にもなれやしない』と
ため息をついているのにすぎません。

見方を変えれば、『ここから抜け出すこと』は
『こんな俺が映画スターになってしまうこと』ほど
難しいのだと言っているのです。

ここでの『映画スター』にはたぶんそれ自体に意味はありません。
「大統領にだってなれるぜ」でも構わなかったと思います。
もしかすると、絶対一人称の『オレ』はバーテンの彼に、
「そんなに話もうまいんだし、もっとどこかいいところがあるよ」
とでも言ったのかもしれません。
それに対し、喋りがうまくて頭の回転の速いバーテンの彼は、
しゃべりだけで映画俳優になり、映画俳優から大統領にまでなった、
レーガン大統領を暗喩して、
「(おれはレーガンのように大統領になれもしないし、そもそも)
映画スターにさえなれやしないさ」
と皮肉を言っているのかもしれません。
……それは考えすぎかもしれませんけど。


さて、ここでこの歌の主題がはっきりと出てきました。

恵まれた才能を持っているように見えるバーテンダーさえ、
実は不満をもっています。
どこかに逃げたくてもどこにも行き場がないという閉塞感、
なにかが足りないという気持ち。
みんなそれを持っているのだ、というのが
この歌のテーマのようです。

歌のメロディ自体は明るめで基本的に穏やかですが、
実は内容はほのぐらいのです。
実際にこの後でも、人と状況を変えて
何度も閉塞感のようなものが歌われていきます。



Oh, la la la, de de da
La la, de de da da da


 内容:ははは、そんなあの頃。
 解釈:鼻歌と同じようなものです。
合いの手、といったところでしょうか。



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