腐女子&妄想部屋へようこそ♪byななりん

映画、アニメ、小説などなど・・・
腐女子の萌え素材を元に、勝手に妄想しちゃったりするお部屋です♪♪

You&I~MewGulf's story~No.59

2024-05-27 16:53:48 | Mew&Gulf
Kikiとのことがまだ心に引っかかりながらも、僕はなんとか気持ちを切り替えて日々仕事に臨んだ。
今日はP’Mewと二人で化粧品会社のイベントに出た。
イベント自体は1時間くらいのもので、特に何もなくスムーズに進行していって、だいたい予定通りの時刻に終了した。
「二人ともお疲れ様でした。 まだたくさんファンが外で待ってるみたいだから、気を付けて帰ってくださいね」
ディレクターがそう言って僕たちに労いの言葉をくれた。 ディレクターの言うとおり、会場の外からは大勢の女性の声が聞こえてくる。
前をP’Mew、後ろをP’Bestに挟まれる形で、僕は外の通路につながるドアをくぐった。
「キャー!」「P’Mew~!」「N'Gulf~!」「こっち向いてぇ!」
僕たちの姿が見えると、一斉に黄色い声があたり一面から沸き起こった。 そのあまりの声量に一瞬耳がキーンとなる。
もうだいぶ慣れたけど、それでもやっぱりこの熱量というか、彼女たちの迫力にはいつも圧倒される。 
このパワーを何かに活用できたら・・・とか変なことを頭の片隅で考えながら、僕はいつの間にか僕の手首を掴んだP’Mewに引っ張られる形で出口へと進んだ。
僕たちが通る道沿いにずらりと並んだファンが僕たちに向かって手を差し出して、少しでも触れようとする。 これもいつものことなので、僕は軽く手を出して彼女たちの手にタッチしながら歩いていく。
すると突然、僕の顔にぬっと手が伸びてきて、頬のあたりを撫でられた。 突然のことにびっくりして、僕は思わず声をあげてしまった。
「わっ!」
僕の声を聞いたP’Mewがとっさに振り向く。 僕の頬から顎にかけてを撫でてる様子を見た瞬間、彼がすばやく僕とファンの子との間に立ちふさがった。
「N'に触らないで!」
めったにファンに対して声を荒げないP’Mewが、かなりの剣幕でそう叫んだ。 言われたファンはびっくりしてすぐに手を引っ込めたけど、僕もそんな彼の珍しい様子に驚いた。
そんな僕たちに気づいたP’Mewが、少しだけ表情と声音を和らげて付け足す。
「顔に触るのは反則だよ。 手だけにしてね」
P’Mewはにっこり笑ったつもりかもしれないけど、目は全然笑ってなくて、それがなんだか妙に怖く感じる。
目を見開いてる僕の腕をぐいっと掴んだP’Mewが、さっきよりももっと速い歩速でずんずん歩いてく。 腕を引っぱられるまま、ほとんど小走りに近い状態で僕も必死についてく。
やがてファンたちの姿も声も聞こえないところまで来ると、ようやくP’Mewが僕の腕を離した。
「大丈夫か? ほかに何もされなかったか?」
そう言うなり、僕の頬にP’Mewが手を当ててきた。
「大丈夫だよ、ちょっと触られただけだから」
そう説明してもP’Mewの手は僕の頬から離れない。 それどころか顔じゅうに手を這わせてきて、まるでどこも怪我してないか丹念に調べる母親みたいだと思った。
「大丈夫だって。 いきなりだったからそりゃ少しびっくりはしたけど」
ちょっと大袈裟だなと思いながら、P’Mewの手をやんわりと剥がす。 するとなぜか彼は少し険しい顔になった。
「・・・もしあれがファンじゃなくて他意を持った人間だったら、おまえ怪我してたかも知れないんだぞ」
「他意?」
「おまえを良く思ってない奴が、おまえを傷つけようと近づいてくる可能性だってあるんだ。 おまえは無防備だから心配なんだよ」
そんなこと考えもしなかった。 P’Mewに言われて、初めてそんなことが起きる可能性があるってことを知った。
「こんなことは考えたくないが・・・」
言葉を濁しながら、P’Mewが呟く。
「たとえばArtだ。 あいつはなぜかおまえを憎んでる。 それにあいつの性格からして、おまえに今後も何か仕掛けてくることも考えられるから、くれぐれも気を付けろよ」
「K’Artかぁ・・・」
あの人はほんとによくわからない。 なんで何の関係もない僕をあんなに毛嫌いするんだろう? べつに万人に好かれたいわけじゃないけど、何もした覚えのない相手からここまで敵意をむき出しにされるのは、やっぱり良い気がしない。
ふと、P’Mewを見る。
考えてみれば、いつもP’Mewは僕のことをよく見てくれてる。 僕自身が気づくより先に周りのことに気がついて、先回りして僕を守ってくれることも多い。
人の世話を焼くのが癖だなんて言ってたけど、いつもそんなに気を張り詰めてたら疲れちゃうんじゃないかな。
不意に、出会った頃のP’Mewを思い出した。 
あの頃の彼は、今よりももう少し線が太くてがっしりした感じだった。 でも今は、あの頃より全体的にほっそりしたような気がする。
やっぱりいろんな気を遣って神経をすり減らしてるから? その原因はもしかして僕にもあるんだろうか?
これまで何度もP’Mewに注意されたり叱られたりしてきた。 その時はムッとしたり反抗的な気持ちになったりして、素直になれなかったことも多かったように思う。
だけどそれって、やっぱり僕のことを思ってしてくれてたことなんだよね。 それなのにそんな態度を取ってたなんて、自分がすごくワガママな子供みたいに思えた。
「・・・ごめん、P’Mew」
「え?」
心の中で呟いたつもりが、つい口に出てしまった。 慌てて口を押えたけど、P’Mewにはバッチリ聞かれちゃったみたい。
「なんで謝る?」
「あ、いやその・・・」
どうしたものかと口ごもってると、なぜかフッと笑ったP’Mewが僕の頭をぽんぽんと軽く叩いた。
「もしかして俺に感謝してる? だったら謝るんじゃなくてちゃんと礼を言ってくれよ」
なんか微妙に違うような気もするけど、でもそういうことになるのかな? ここはやっぱり、素直に伝えておくべきなんだろうな、きっと。
「・・・うん、そうだね。 いつもありがと」
そう告げると、自分が言わせたくせにP’Mewがひどく驚いた顔になった。
「へぇ、Gulfの口からそんな素直な言葉が聞けるなんてね。 ちょっとは俺のありがたみがわかったってことか?」
「まぁ・・・そういうことかな」
「なんだよ、急に歯切れが悪くなりやがって。 ここも素直にそうですって言えよ!」
「そう言われるとなんか反抗したくなるなぁ」
ニッと笑って悪戯っぽくペロリと舌を出してやる。 すぐにP’Mewが僕の首に腕を巻き付けてきた。
「おまえ! さっきの素直さはどこ行ったんだよ? ほら素直に言えってば!」
そう言いながら僕のこめかみに拳をグリグリと押し付ける。 その手をどうにか振りほどいた僕は、ちょうどいいタイミングでやってきたP’Bestの腕を取って、また明日!とだけ言い残し素早くP’Mewのもとから逃れた。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 風に吹かれて(#227) | トップ |   
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (続き希望)
2024-05-28 09:48:40
こんにちは。更新ありがとうございます🤍
今回のエピ大好きなやつです😆
こうやって、表なり裏なりで守ってたんですよね。
がるぴなりに考えや気持ちがあったんだろうけど、素直になってー🤣🤣
謝るの大事🥹でも、謝罪よりお礼をって言えるぴみゅが好きです🤍(こういう人だからこそ、強情ながるぴに寄り添えるんですよね〜あ…なぜか目から水が…😢)

続き楽しみにしてます🥰
続き希望さま✨ (ななりん)
2024-05-28 22:45:15
わたしもこのエピ好きなんですよ~♡
ぴみゅの「がるふは俺のものだから触るな!」感が好きすぎて・・・(笑)
当のがるぴは全然気にしてなさそうでしたが(^^;
でもこうしてぴみゅがいつも見守っててくれたから、がるぴは安心していられたんだって思ってます。

切なくて、懐かしい気持ちです。
あ、わたしも目から汗が・・・(笑)

いつもありがとうございます♡

コメントを投稿

Mew&Gulf」カテゴリの最新記事