5月17日、私たち製作委員会メンバーが待ちに待った、「野のなななのか」全国公開の日を迎えることができました。この日は、東京の「有楽町スバル座」と「T・ジョイ大泉」の2会場で舞台あいさつも行い、満席となった観客の皆さんとともに、作品の新たな門出を祝いました。
有楽町スバル座で登壇したのは(写真左から)大林宣彦監督、寺島咲さん、村田雄浩さん、常盤貴子さん、品川徹さん、安達祐実さん、左時枝さん、山崎紘菜さんと、当製作委員会の宗方裕之委員長。大林監督は、「北海道の芦別で作った、自主製作で自主配給の小さな映画。観客席を埋めて下さった皆さんは、応援団です」と呼びかけました。
また、大林監督の前作「この空の花-長岡花火物語」(2012年)の舞台となった新潟県長岡市の森民夫市長から届いた「ふるさとを思う慈愛と真の平和を願う映画の公開、おめでとうございます。(長岡と芦別の)両市が『ふるさと映画』というバトンで結ばれたことには大きな意味があります」とのメッセージが披露されました。
常盤さんは、「私はこの映画で、変わりました」と宣言。「この映画に出会って、撮影して、みんなで宣伝活動をしている中で、『人っていいなあ』って改めて思いました。本当に素晴らしい現場で、(スタッフやキャストの)人と人とはこんなに優しく思い合えるんだと教えてもらいました」と振り返り、「大林監督は『映画は人の花』と話していました。この映画が、皆さんの人生にとっての『花』になればと思います」と話しました。
T・ジョイ大泉でも大林監督、村田さん、品川さん、安達さん、山崎さん、宗方委員長が登壇。
品川さんは「台本を覚えながら、こんなものだろうと役の感覚をつかんではいたが、まだ頼りなかった」と撮影前の心境を明かし、「撮影の合間に監督に『(自分が演じる鈴木光男は)ちょっと女々しいですね』と言ったら、監督は間髪を入れず『女々しいというのは、男の人のためにある言葉』とおっしゃられた。それがヒントになり、『女々しさの美学』があってもいいのではないかと考えて役を演じました。心象風景を語るような(劇中に引用される)中原中也の詩が、とても助けになりました」とあいさつ。これを受けて大林監督は「国のために死ぬこともできず、戦争にも行かず、30歳で死んでいった中原中也は、『女々しい』奴だったんです。当時は平和を願い戦争をいやがると、女々しいどころか国家犯罪人でした」と話し、「今も『戦争はいやだ、平和が良い』というと、女々しいと言われるかもしれない。でも、平和をつくるのは、その女々しいと言われる美学なんです」と語りかけました。
また、宗方委員長は「北海道に来た時に芦別というところに来ていただけば、この映画と同じようにきれいな風景が皆さんをお迎えします」と芦別の魅力をPRしました。
【他の登壇者のみなさんのコメント】
<寺島さん>
とても個性的なキャラクターばかりが出てくる中で、私は一歩引いて見ている役。台詞がとても多く、自分や他の役の台詞を聞いて「生きるって何だろう、死ぬって、戦争って…」と、本来なら普段考えなければならないようなことを、たくさん考えました。みんなと親戚のように楽しく撮影した作品を、多くの人に見てもらえてうれしいです。
<村田さん>
いつも演じるのは「人のいい」役が多いが、今回は親戚に煙たがられるような役でした。役者はこういう役をもらうと生き生きします。いつもと違うキャラクターで、やり甲斐がありました。
「後期高齢者」が撮ったと思えないぐらい、(大林監督は)年齢や経験が増すごとに、すごい映画を撮られていると思います。
<安達さん>
大林監督の映画に出るのが夢で、奇跡が訪れたと思いました。緊張して現場に行ったら、私がいるのが当たり前のような感じで受け入れてくださいました。常に前に前に進んでいる現場で、自分が生きているという実感ももらえました。自分が大林監督の映画の一部になれて、とても幸せな気持ちです。
<左さん>
昨年6月9日に撮影のために芦別に入った時に、「北海道は涼しいだろう」と思って行ったらとても暑く、まず芦別のまちの美容室に行って、芦別の人間になったつもりで髪を切りました。
映画の最後の野原の黄色い花の畑はCG(コンピューター・グラフィック)ではありません。原っぱだけじゃなくて、山全体が黄色い花(が咲いている)なんです。あそこに立った時の興奮はものすごかった。ぜひ、一度行ってみてください。
<山崎さん>
私のような戦争を知らない世代の方にこそ見ていただきたい映画。見ていただいた大人の方には、お子さんやお孫さんなど、次の世代にこの映画を伝えていただきたいです。
芦別はおいしい食べ物や景色など、魅力のある所なので、ぜひ一度訪れてください。
(来場した皆さんに、ロケ地マップを配布しました)
(来場者がポスターをカメラに収める姿も)
なお、各地の上映館と日程は、公式サイトの
「劇場情報」でご確認ください。
(事務局・S)