kakaaの徒然な日記

日記がわりにときどき、ふと思いついたことをつぶやきます。

日本は「安い国」?(1)―インバウンドの“真実”が語る衝撃―

2021-07-08 18:31:26 | 転載記事

日本は「安い国」?(1)―インバウンドの“真実”が語る衝撃―

日本スゴイ系の人たちはこの事実を絶対に認めないでしょうが、、

実はこれが諸外国から認知される日本の現実です( ^ω^)・・・

大木昌さまのブログより転載させていただきました。

 

日本は「安い国」?(1)―インバウンドの“真実”が語る衝撃―

最近出版された本の中で、中藤玲『安いニッポン「価格」が示す停滞』(日経プレミア
シリーズ、2021年5月)は、かなりショッキングでした。

この本が示す具体的な数字や内容の詳細な説明は別の機会に譲るとして、本書の「はじ
めに」で著者が紹介しているインバウンド(訪日外国人)の現実から私が受けたショッ
クから書いてみます。

それは、かつてインバウンド(訪日外国人)で賑わう家電量販店の幹部が著者につぶや
いた言葉です。

「彼らは日本が素晴らしいから何度も来ているんじゃない。お買い得だからきているん
だ」。

つまり、日本の物価が安いから、それを目当てに日本に何度も訪れているのが実情です。

訪日外国人の数は、2013年には1036万人だったが、2018年にはその3倍の
3119万人と激増しました。まさに日本がインバウンド・バブル沸いていたころです。

もちろん、この訪日外国人がすべて観光客というわけではなく、ビジネスも含めてさま
ざまな目的の人が含まれます。これを考慮したうえで、彼らの出身国・地域を見ると、
以下の通りです。

2018年の実績をみると、訪日外国人の34.2%が中国、13%が韓国、12.9
%が台湾、7.4%が香港、6.4%がアメリカ、残りがその他の国と地域からでした。

つまり、インバウンドの7割弱(67.3%)が近隣の東アジア諸国からの訪日客だっ
たのです。観光客だけをみるとさらにこの比率は8割を優に超すでしょう。

彼らが日本に来て実際に何をしたかは、下のグラフに示されています。上位5項目は、
日本食を食べること、ショッピング、繁華街の街歩き、自然・景勝地観光、日本の酒を
飲むこと、の順になっています。

これらのうち、「日本食を食べること」が断然多く、訪日客のほとんど(96.2%)
が実際に日本食を楽しんだようです。次がショッピングで、84%と高率でした。

しかし、一般に海外旅行の主目的と考えられる「自然・景勝地観光」は4番目、「日本
の歴史・伝統文化体験」は9番目でした。
   
  
 出典 https://www.intage.co.jp/gallery/hounichigaikokujin/ (2019.6.11)

こうしたデータを見ると、日本人は、日本が素晴らしいから訪日外国人が増えている、
と思いたいのですが、実態は東アジアの人たちが、安い買い物のついでに安い日本食
(後述)を食べてお酒を飲むことが来日の主目的のようです。

この傾向はインバウンドの訪日客が実際に使った項目別の金額でさらにはっきりします。
つまり、全支出のうち買物代が全体の35%弱、飲食費が21.7%で、この二つで全
体の半分をはるかに超える56.7%も占めています。

ちなみに、宿泊費が30%弱ですから、泊まって買物と飲食した金額は全体の87%近
くに達します。これがインバウンド・バブルの実態です。

そして、そのショッピングの動機は、ただただ日本の物価が安いからです。冒頭で紹介
した本では、幾つも事例で、日本の物価が諸外国(東アジアも含めて)いかに安いかを
示しています。

たとえば、ダイソーの「100均」を考えてみましょう。ダイソーはインバウンドの人
気スポットでした。

マレーシアから来た女性は、キャラクター型のスポンジや、プラスチックのケースなど
カゴ一杯に詰め込んで、「こんなに安くていいのかしら」といったという。

ダイソーは海外26か国・地域に2248店を出店している。海外では「100円均一」
のような単一価格ではなく、商品によって3段階ほどの価格差があります。

しかし、商品の基本価格(この場合、最も多い商品の価格で、日本でいう税抜100円)
をみると、タイは60バーツ(210円)、フィリピンは88ペソ(190円)、マカオ
は15パタカ(200円)、イスラエルは10シェケル(320円)という具合です。ち
なみにアメリカでは160円、ニュージーランドでは270円です。

海外でダイソーの商品が基本価格100円で売られている場所はありません。ダイソーの
幹部によれば、海外の場合、人件費や賃料などの現地維持費が高いためにこのような価格
になってしまうのだそうです。

それでも、タイでは210円でも安いと、中間層に人気なのです。

日本企業のダイソーは商品も日本産だから、日本は物流費がかからずに一番安いのではない
か、とも思える。

しかし、中国から調達する商品もあるにも関わらず日本は中国(160円)より安いのです。

ダイソーの幹部によれば、海外での価格が日本よりずっと高いのは、
    いま進出している国や地域の全てで人件費、賃料、物価、そして所得が向上してい
    る。20年前ならいくら高品質でも「新興国で200円前後」なんて売れなかった
    が、今は現地の購買力が上がったため成り立っている
ということです。

新興国では人件費(働く側からみて賃金)、賃料(家賃)、物価水準、そして所得も上がっ
ているので、日本の倍以上の値段でも売れるのです。

言い換えると、新興国では日本よりも賃金も不動産価格も高く、一般の物価水準も所得も上
昇傾向にあるということになります。

これは現在の日本経済の停滞を象徴しています。日本では1997年をピークに実質賃金が
長期低落しており、企業は物価を上げられず、したがって利益も確保できなくなるから賃金
はますます低く抑えられ、それがまた物価の上昇を抑える、というデフレの下降循環(デフ
レ・スパイラル)に陥っています。

ダイソーと同様のことは「100円寿司」についてもいえる。くら寿司の「100円すし」
の価格はアメリカ店では270~310円、台湾では140円で、日本より高い。

では、外国企業が提供するサービスに関してはどうでしょうか。これを世界のディズニーラ
ンドの入場価格で比較すると、ここでも日本の安さが際立ちます。

2021年1月の予約価格をみると、日本では8200円、フロリダ州の場合1万4500円、
カリフォルニア州やパリ、上海でも1万円を超えていました。日本より敷地が狭いといわれ
る香港でも約8500円です。しかも、コロナ禍まえの2020年3月までフロリダ州の半額の
7500円だったのです。

日本のディズニーランド入場料は世界で最も安い水準なのです。

日本のダイソーも、くら寿司もディズニーランドも、現行価格を上げるとお客さんが減るこ
とを心配して、低価格を維持しています。そこでは、働く人たちの低賃金という犠牲のうえ
に、この安さが支えられていることを忘れてはなりません。

最後に、テレビでも取り上げられた中国のアニメ制作事情は、日本の賃金水準の低さを考え
ると非常に象徴的でした

最近、中国ではアニメ作品の制作が盛んですが、その制作のため、日本に企業を設立し、腕
の良い日本人アニメーターをさかんに雇っています。

中国のアニメ制作会社の説明では、同じ品質のアニメを作るなら日本人を雇った方が中国人
を雇うより賃金が安くて済むということでした。

そこで働く日本人アニメーターは、正規社員として雇ってくれて、賃金も日本企業で働くよ
り高いので満足している、と語っていました。

今や日本は、中国の下請け的存在になりつつあるのです。ただし、このように日本人の優れ
た技術者がアジア諸国から高級で引き抜かれているのは、アニメ界だけではなく、他の分野
でも、そして韓国でもずいぶん前から進んでいました。

次回は、なぜ、日本は「安い国」になってしまったのかを、もっと広く日本経済の構造的問
題、そして、これからどんな選択肢があるのかを考えたいと思います。


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