映画プロデューサー日記

映画人34年、日本映画の活性化をめざして映画アナリストに挑む!

映画人と金融人の言葉がなぜ通じないのか?

2005-08-19 13:39:09 | 映画ビジネス
8月18日 映画・映像コンテンツセミナー「映画・映像コンテンツと金融技術の進化」(主催:ぴあMOOK「映画・アニメ・CMの全仕事」編集部)第1回に参加しました。
『コンテンツ産業にとっての金融』をテーマにジャパン・デジタル・コンテンツ信託株式会社代表取締役社長の土井宏文さんの講義でした。

①「知的財産推進計画2005」
知的創造サイクルの確立と必要性から、創造・保護・活用・人材の確保の為に知的財産立国への実現により経済・社会の活性化を図る。
○業界の近代化・合理化の支援
○コンテンツの制作・投資を促進
○人材育成を強化し、顕彰を充実
○コンテンツ流通大国に向けた改革
○海外展開の拡大

②コンテンツビジネス市場
日本のコンテンツ産業の市場規模は約14.7兆円あるがGDP比率は、世界平均や米国に比べても低く、海外売上比率は米国の5分の1以下。
○製作段階に海外展開の戦略がない
○流通が日本のコンテンツ構造を壊そうとしない。産業構造を変えていかないといけない。メディアが流通をおさえておりビジネス構造を変えにくい

③コンテンツ業界内の資金供給環境
業界内の資金のみで業界外の資金供給はほとんどない。
○製作委員会システムは自分達の窓口権を買っているだけだと判断される
○金融機関は、ほとんどの制作会社が中小企業で担保能力が無く融資されない
○法人投資家・個人投資家・ベンチャーキャピタルにとっては事業に関らない純粋投資は回収が難しくて積極的でない投資に関心があるが制度・仕組みが未整備

④投資家保護の強さ
製作委員会方式(有限責任組合・任意組合・匿名組合)、SPC方式、映画ファンド方式があるが昨年の信託業法改正による知的財産信託方式が少しずつ進められている。2005.8.1施行で有限責任事業組合(L.L.P)が出来たがメリット、デメリットがある。

⑤完成保証
アメリカ映画は平均製作費が40億~50億、日本は3億~4億なので保険会社が国内ではビジネスにならないと見ている。

以上、土井さんから映画ビジネスの投資のあり方の説明があった。

しかし資金回収できない作品がほとんどですから、ハイリスク回避を投資システムと作品クオリティの両面から検討されねばならないと私はあらためて思う。
困ったことに日本では過去のトラックレコードが保存されていないし、あっても守秘義務から公開されていないのが現状です。
    

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